プラターズとヴァン・ヘイレン

まめこが約20年前、友達とメキシコに旅行した時のこと。
バハ・カリフォルニアのカボ・サン・ルーカスという土地からラパスに向かうバスに乗るために、重い荷物を抱えてバスターミナルに向かっていたら、地元の男性に声をかけられました。
しばらく話を聞くうちに、彼はCabo Waboというクラブで働く人だということがわかりました。Cabo Waboなら何度もその前を通りかかったことがあります。中に入ろうとしたこともあります。なんか入口がミョーに閑散とした雰囲気だったのでやめたのですが。
「Cabo Wabo知ってるよ」
と言うと、彼はたいそう喜び、
「2〜3日滞在を伸ばさないか？バレンタインデーにCabo Waboにプラターズが来るんだぞ！」
と言うではありませんか。
プラターズといえば『Only You 』。♪Only you〜♪と言う有名な歌い出しを知らない人はまずいないと思いますが、とどまることを決意するほどの興味はありません。私たちはカボを去りました。

約一週間後。ラパスを去ろうとしていた私たちは、ラジオを聴きながら荷造りをしていました。すると、耳に「ラパスラパ」という言葉が飛び込んできた。ラパスラパとは、ラパスにあるクラブの名前である（安直な・・・）。DJはこう言っているようでした。
「2月○日、ラパスラパにプラターズがやって来る！」
またプラターズと入れ違いに我々はラパスを去りました。

それから更に10日ほど経ったある日。
ユカタン半島はカンクンのビーチで青い海に白い波と戯れていた私たちは、アドバルーンならぬアドエアプレインがぶーんと飛んで来るのを見ました。小さな飛行機は、次のような宣伝文句をなびかせていました。
「カンクンにプラターズがやって来る！」

プラターズに追いかけられたメキシコの旅、もしくは、我々が、プラターズのメキシコ巡業の先回りをしていたようでもある。
こんなに縁があるのなら、どこかの町で会っておくべきだったかもしれない、プラターズに。そんなことを思いながら、帰国後「ぴあ」を見たら
「プラターズがもうじき来日する！」
という情報が載っていました・・・。


なんでこんなこと急に思い出したかというと、ここに出て来る「Cabo Wabo」というのが、元ヴァン・ヘイレンのサミー・ヘイガーが経営するクラブであるからです。
まめこヴァン・ヘイレンは好きな方です。世代的に、初代デイヴ・リー・ロスではなく2代目のボーカル、サミー・ヘイガーの頃の曲をよく聴いてました。来日公演にも行ったような気がします。代々木だったかな。
サミー・ヘイガーのボーカルとても好きです。しかもなんと誕生日がまめこと一緒。これは何かの縁かと思い、ヴァン・ヘイレンをやめてからも彼の動向は結構チェックしてました。

しかし彼には問題が。曲が、いまいちよくない。そんなに詳しくはないのですが、ソロのアルバム聴いても曲がなあ、あまりよくない。「There’s Only One Way To Rock」とか「I Can’t Drive 55」とか、いい曲はあるのですが。
良い曲に恵まれたヴァン・ヘイレン時代が一番輝いていたのでは・・・と常々思っていたので、ジョー・サトリアーニやレッチリのチャドなんかと新しくバンドを結成したと聞いて、なんだかものすごく安堵したのを覚えています。

そんなわけでその新しいバンド「チキンフット」の1stアルバム買いました。聴きました。おっさん達頑張るぜ！という骨太ハードロックで、演奏素晴らしかったです。でもシングルとして売れそう！という曲がある感じではなかった。ギターもドラムもベースもボーカルも演奏は本当かっこいいんですけどね。
そんな感想だったので2ndアルバムは買わなかったのですが、こないだサミー・ヘイガー情報として
「The Circleなるバンドを結成してライブでヴァン・ヘイレンの曲とかツェッペリンのカバーとか演奏してる、ライブアルバムが出てる」
と聞きつけ、これは買わねばなるまい！と、アマゾンでポチっとしました。日本盤が出てないみたいなのが悲しい。ついでにチキンフットの2枚目も買いました。

チキンフットの方は、1枚目よりも曲がわかりやすい感じのが多いのでは？暴れまくってた1枚目と比べて、ジョーさんのギターが控えめなような。まだ一回しか聴いてないのでよくわかりませんがこれからじっくり聴いてみようかと思います。

そしてそのThe Circleのライブアルバム、うーん、これはどうなんだろう？ギターはヴィックなんとかいう聞いたことのない人ですが。
ただ、本家ヴァン・ヘイレンのライブでは今や絶対聴けないサミー・ヘイガー時代の曲を演奏しているのはやはり嬉しい。
ヴァン・ヘイレンは今またデイヴ・リー・ロスがボーカルに返り咲いて活動してますが、サミー・ヘイガー時代の曲はやらないだろうし、デイヴにサミー・ヘイガー並みの歌唱力は望めないからなあ、とも思います。ぶっちゃけ、サミー・ヘイガーのボーカル能力の高さがヴァン・ヘイレンを音楽的ステージの別の高みに押し上げた感ってあると思うのです（特に「For Unlawful Carnal Knowledge」以降）。「Judgement Day」や「Seventh Seal」「Man On A Mission」なんか、デイヴには絶対歌えんだろ。もちろん逆にサミー・ヘイガーがデイヴの曲を歌ったら変、という曲もあるんでしょうけど。
デイヴが下手だというわけではないんですのよ。ただデイヴはパフォーマーとして優秀というかステージングがうまいというかキャラクターが強烈な人なので・・・今も変わらないのかな？ソロの頃のコミカルな感じの曲なんかは「ああ、デイヴじゃないと歌えないなこれ」と思ったりもします。そうそう、私デイヴの「EAT ‘EM AND SMILE」てアルバム好きだったんだわ。

まあともかく、ヴァン・ヘイレンの大好きな曲「Finish What Ya Started」や「Right Now」がまた聴けて、素直に楽しめて良かったです。
ただ、どうしてもヴァン・ヘイレンのライブアルバムと聴き比べてしまう。ヴァン・ヘイレンのライブアルバムはなんだかでっかい会場でやってるぞー！というスケール感がものすごかったですが、今はやっぱし小さめの会場だよね？とちょっと寂しくも感じました。
でも、お客さんが大合唱してるのを聴くと「やってる方も見てる方も楽しいんだろうなー」と羨ましくなります。サミー・ヘイガーのソロの曲なんかも演奏して盛り上がってるし、サミー・ヘイガーのファンならば気軽に楽しめるライブアルバムです。個人的には「Little White Lie」が聴けて嬉しかったな。

ベースがこれまたヴァン・ヘイレン脱退組のマイケル・アンソニーなので、おなじみハイトーンのコーラスを聴けるのも嬉しい。そういえばマサが
「ヴァン・ヘイレンのベースは決してマイケル・アンソニーでなければいけないってわけじゃないけど、あのコーラスは必要なんじゃないか？」
と言ってましたなあ。
ヴァン・ヘイレンはコーラス今どうしてるんだろ。エディの息子がベースやってますがコーラスもやってるんでしょうか。どうでもいいけどバンド4人のうち3人が家族ってちょっとキモいので（失礼！）今のヴァン・ヘイレンに興味はないです。アルバム試聴したら、サミー・ヘイガー以前に逆戻りしたような感じだったので買いませんでした。ちゃんと聴けば良さがわかるのかな？

ちなみにこれは余談ですが、うちにはなぜか「ヴァン・ヘイレンのツアーを回ったアンプ」があります。マサがヴァン・ヘイレンの仕事をしたわけではなく、なぜかアンプだけがあるのです。マサにそれを聞かされ

「えっエディ触った？触った？」
「触ったんじゃねえか〜」
「きゅうう〜〜ううう〜(@_@)」

と大騒ぎしたまめこですが、実はそれはギターアンプではなくベースアンプ。
エディのじゃないの・・・とちょっとがっかりしましたが、でもでも、もしかしたらデイヴも触った、いや飛び乗ったかもしれない！と思うと愛おしさがこみあげます。
とりあえずペタペタ触っておきました。ご利益がありますように・・・（なんの？）。

そしてThe Circleですが、現在オリジナルアルバムを製作中だとか・・・ああどうしよう、もし曲が「よくない」だったら？ああ、とっても不安な気持ち。演奏も正直、チキンフットに比べたら「うーん・・・まあまあかな？」て感じだしねえ。個人的にはどっちかというとチキンフットの新作を聴きたいのですがねえ。しかし、ものすごく各方面に失礼なこと言ってますねまめこってば（汗）


そして話は戻ってCabo Wabo。どんな店だろ！とわくわくして行ってみたのですが、これが本当に閑散として・・・えっこれ本当に有名人の店？お客さん入ってないの？と不安になったので、入りませんでした。
でも今にして思えばどんなにガラガラでも行っておけば良かったなあ〜と後悔しています。
しかしその一方で、
「バレンタインデーにプラターズを呼ぶ店の客層ってどんな？中年夫婦とか？地元の若者は来ないの？」
とやっぱり不安になったので、行かなくて良かったのかもしれません。それとも、バレンタインデーは若者たちも「♪Only you〜♪」を聴きながら恋人同士目を見つめあって踊ったりするのでしょうか？いくら考えても、わからないのですよ。やっぱ行くべきだったのですかねえ。