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2018年08月26日02:48

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ドリフターズ

《昭和生まれ》

『8時だよ! 全員集合』を延々と観てしまった。

時代の流行りと言ってしまえばそこまでかもしれないが、個人的にはどのテレビ業界でも今後見る事の無いグループとその内容だと思っている。
何しろ、全編が生放送というシステムが既に捨てられた内容であり、編集力にこだわった番組内容はキャストが変わっただけの分かり切ったワンパターンだからだ。

『8時だよ! 全員集合』は…これまたワンパターンな内容が多い。
全ての公演は過去の公演の使い回しで、5人構成からなるメインメンバーのみで右往左往するその内容にも、同じ顔ぶれだからこその変化が無い。

でも、そこが生放送の面白さとなっており、前回と全く変わらない構成の全く変わらない内容であっても、リハーサルには無い失敗やセリフの異なりなどがわりとその辺に発生しており、臨機応変に全員が反応する姿は『職人』を思わせる。…と同時に失敗を無事に乗り越えた安堵感を覚え、その先の強引なギャグなどに自然と笑ってしまえる。

志村けんは俺の中の最高の芸人だと思う。
子供らしさを惜しみなく外に出し、決して大人びない姿でバカしているのが観ていて楽しい。笑わせる事が好きというよりは自分が楽しむスタイルのようで、純粋に楽しんでいる感が見え、ついでにスケベだ。
考えを隠さず、正面に出すからこそスケベな内容がスケベらしさを伝えない。ずるい。

そんな意を汲む加藤茶もやはりベテランそのもの。
頻繁に発生する志村のアドリブを上手い具合に受け、跳ね返し、バランス良く合わせる事で話の盛り上がりを期待値以上に盛り上げている感が強い。

そこにどちらかというと下火役の中本工事と高木ブーが陰の役を演じる事で、先の二人が更に映えるわけだが、そんな下火役がたまに爆発すると、これまた必要以上に面白いのだから、結局総合的なバランスは高い水準で取れていたのだろう。

もちろん、4人が映えるにはいかりや長助といった、完全に異なる怒り役の存在があってこその話だ。

懐かしの番組を眺めていて思えるのは、ドリフターズは決して芸のプロではないという事。
プロではないが、純粋に客と同じように自分たちが楽しんでいるところが理解出来てしまい、その流れで笑い、そして先が気になる。

どれだけ同じ内容の繰り返しでも微妙に異なる前回までのとの比較が『やられた感』を覚えさせ、いつもと同じ終わり方を見せつけられる事で無事終了したという安心感と、次週への長い時間が憂鬱感を思わせたものだ。

単純な感想だが、ドリフターズはきっと面倒を惜しまなかった集団なんだなと思う。
というか、仕事を楽しんでいたと言えばいいのかな?
とにかく今後、誰もが真似する事は出来ず、そして真似をしようとも考えない面倒さを有した生放送は、俺にとって『8時だよ! 全員集合』が最初で最後の番組なんだろうな。

それだけに、過去の思い出が妙に鮮明で印象の残る番組だったな。

たまに『8時だよ! 全員集合』を真似たような番組を見掛ける事があるが、アレは観ていて楽しくない。いや、楽しさの元にはなっている。
けど、やっぱりああいった内容は記録を放送するのではなく、あくまで生放送で行うから面白いと感じるものであり、強いては何回も繰り返すからこそ印象がより深まるものだと思う。
一回きりのトライで反響が返ってくるならどの芸人だって苦労する事は無い筈だ。


《舞台裏》

生放送の凄さの一つに舞台裏が存在する。
次々と飛び出す小道具をスタッフが絶妙な時間で並べたり片付けたりする印象は考えるまでも無いが、BGMを担当するバックオーケストラは考えてみると、それだけで凄い。

表の舞台と裏の舞台の間には短くない距離で大道具が挟まる事で互いの姿を認識できないのだが、場面場面に合わせてきとんと音楽をのせてくるのだから本当にすごい。
今の時代なら様々な分野がデジタル化していて『壁の向こう側』を察知する事なんて容易いのかも知れないが、当時はまだまだローカル時代。
誰かが目視で判断して指揮を執っては居たのだろうが、それにしてもぴったりなタイミングで音楽を合わせてくるその動きは目立たないながらもいちいち神がかりだと思う。

他のユニットが編集に頼るワケだ。そんな納得さえしてしまう。

なんかもっと書きたい事があった筈だけど、ダメだ。どうしても意識がコントに行ってしまう。


《あとがき》

昔、ドリフターズを好んで観る友人同士で言い合った事は、
『死ぬまでに一回は会場に見に行きたい』
という内容。
本気で考えた小学生時代だが、まさか視聴率の影響でお払い箱になるとは予想もつかなかった。

調色師見習いの単身赴任当時、プライベートがあまりにも暇だったのでレンタルDVDをまとめて手にした事があったが、その中に『8時だよ! 全員集合』も2枚ほど紛れていた。

…で、過去の興奮と共に鑑賞しようとしてオープニング直前のテロップが目に入って愕然とする。
『取手市民ホール』…。

『え? ドリフって、取手市によく来てたの??』
当時32歳。唯一と言っても過言ではないくらいの存在が、電車で数十分の場所に頻繁に出入りしていたとは…。

小学生の頃知っていたら、絶対に行ってたのになぁ…。

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