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2018年08月23日23:13

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絵コンテに金払うやつはいない

自分の経験からもわかるが
コミックは要するに上等の絵コンテでしかない。
これに不思議な評価がついていたに過ぎないのでは。

コミック市場の最盛期は1980〜1990年ごろで
このころにDrスランプ、北斗の拳、ドラゴンボール、きまぐれオレンジロード
キン肉マン、バスタード
なんかが出ている。
その前の時代はサーキットの狼が大っぴらに子供を取り込んだ社会現象になるまで
どっちかというと大人のマニア物の世界を子供が覗いている感じであった。
トイレット博士やハレンチ学園、がきデカも
男大空も、暴力大将も、ほんとうは今でいうR15やR18対象の
きわどいものであって、だから社会問題にはなりこそすれ、
社会現象にはならなかったのだ。

子供も読めるようにという出版社側の歩み寄りで80年代に大きく
飛躍したのはこの傾向による。北斗の拳は今ではおそらくNGだが
当時はスプラッタ映画ブームもあってギリギリ受け入れられた。

漫画の起源は戦後の困窮期にはじまった貸本、その前の紙芝居を
個人宅に持ち込む、だが、ゲゲゲの女房を見ればわかるように
貸本ではみんな食っていけず、まともな市場が形成されなかった。

ここでわら半紙より安い紙で粗い製本をして、
1990年でも190円程度で買える漫画を実現したのは
高度経済成長による。
いわゆるトキワ荘時代がこれ。

1980年ごろまで漫画市場は下積みの時代で、
ホテル王だの自宅まで自分用道路が引かれるだの
高額納税者がどんどん出てくるのは
高度成長期以降+円高+バブルの恩恵を受ける1980〜1990の
漫画市場の神話のおかげになる。
(サーキットの狼時代は税率が高すぎてまともに資産を残せなかった)

1990年以降の漫画家はみんなこの神話を夢見ているのだ。
私は1993年デビュー組だが、とにかく競争が激しかった。
すでに集団作画作業と化していたバスタードといきなり戦う時代である。

なので
何年もネームを没にされ続ける
読みもしないで落とされる
連載寸前まで行って落とされる
精神崩壊して田舎に逃げ帰る
ようなパワハラ編集は普通だった。

それは2000年ごろから下り坂になってきて
今はパワハラというより、ほんとにお金や枠がなくなってきている。

神話が終わって、出版社が週200円前後で出版する紙媒体
というビジネス自体が終わりかけている。
これは新聞はじめTVにも言える話で、
実は支えているのは団塊ジュニアから前後5世代の話なのだ。

TVは団塊世代が多く支えているので、TVのほうが早く終わるだろう。

個人的には漫画をあきらめてインターネットのほうに行って
とりあえずよかったと思っているが
今後はすべてがモバイルに移るだろう。

絵描きとして思うのは、インターネットになると
コマ割りが不要
カラーで描く必要
手間が余計にかかる
アニメと同じになりかねない
吹き出しもいらなくなる

という傾向を感じている。

1950年代は、4コマ漫画の新聞連載で飯が食えたのである。
今似たような4コマ漫画はツイッターで時折鋭いネタが見られるくらいで
多くサラリーマン川柳のような自虐的なネタが多い。
それで飯が食えているかというと疑問で、
今コミックは細分化し、食うや食わずの雑誌や作家も多い。
しかし漫画家になるというハードルは1993年当時よりは確実に
下がっていると思う。

今はyoutuberやTVタレント、芸人になって飯を食う確率のほうが低い。

バンドマンは言うに及ばずで、どんなバンドもこれからはIT知識なくしては食えない。
みんな短絡的にライブでくうしかないほどひどい状態になる。
バンドや映像はデータレートを上げていけるからネットに対応できるけど、
多くても256色で済むコミックの需要、
ましてそれに払う対価はカラー、一コマ一画面、下手すれば動画という
制作の手間にはならず、絶対今の白黒対価を超えないだろう。
つまりお客さんは一作品に100円も払うかどうか、という話になる。
もっと払うとしたらがきデカじゃないが、そういうヤバイ、きわどいものになる。
(コピーの問題が解決されればの条件付きだが)

スクリートーンは手塚治虫がカラーで作れない雑誌のために生み出した
苦肉の策であり、日本アニメのお家芸、3コマ4コマ5コマ、止め絵撮りも
虫プロが苦肉の策で編み出したものである。
いまだにソフトでそれを再現している状態。

雑誌がなくなればスクリーントーンもなくなり
ページ制限はコマ数制限になり(一ページ一コマ、または二コマの時代)
アニメがフィルムやセルでなくなればレイヤーで動かすだけになる。
コマ数制限は今やgifでしか使わない。
しかも今は30pでなく60pの時代になりかけている。

正直手書きの良さをどう売るか、より
どう市場として残すか、防衛するか、という時代になっているのを感じる。

一部企業家はTVの凋落を見て、もうメーカーは売らず、
無料で配るに転換したほうがいい、と言い出した。
今の4K8Kを進めること自体が無意味ということだ。

漫画も無料で配るほうがいい時代になる。

そうすると漫画家はやばいもので民衆を煽るしか食っていけないわけで
今イラストレーターがほぼタダ働きになっているが、
映像+シナリオの絵コンテ力でどうにか漫画家は持っていると考えると
この映像+シナリオの絵コンテ力が失われたときに
漫画家もコミックビジネスも存在意義を失う。

クールジャパンなんて言っている場合ではもはやないことがわかるだろうか。
もうコミケで出すようなやばいものでしか食っていく
可能性がなくなりつつあるのだ。

清廉潔白な漫画にはもはや新しいシナリオを個人が発信していくだけの
余力も拡張性もない。
”ビジネスの裏側漫画”や”実態はこうだ”漫画でしか
発信できない状況がそれを表している。

一般の方にはコミックは成熟を迎えたことがわかるだろうか。
私はコミックではなく、そのあとのデバイスに合わせて
如何に個人がコミックのように発信して市場を形成するか
が課題として横たわっているかを感じる。

映像や音楽に比べて、それは大変難しく思える。
危惧しているのは、インターネットが各国政府に制限規制される世の中だ。



■漫画家たちから編集者への不満噴出 「1ヶ月かけて1万円」「やっぱり連載させない」「200ページもネーム没」
(BIGLOBEニュース - 08月23日 19:40)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=258&from=diary&id=5257090
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