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2018年06月19日23:38

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マタイ受難曲の解説

22日の金曜に「クラシックききかじり会 バッハ編」の為に、マタイの解説を書きました。
全曲を聴く時間はないので、日曜に3CDから抜粋を作るのに苦心しました。
結局、10曲ほどチョイスしました。

第一曲は、絶対外せないし、繰り返し現れるハスラーのメロディーや有名なアリアも。
そしてイエスの死や地震のシーン、終曲なども。

解説に第〇曲とあります。
よかったらマタイ初心者は参考になさってください。

抜粋CDを繰り返し聴いていますが、飽きないです。
すごいことです。Aus Liebeなど泣けます。

★★★リヒター以外で好きな演奏はありますか?
また僕が記しているナンバー以外でお好きなアリアやコラールはありますか?
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マタイ受難曲

マタイとオペラの違い→物語の先(ユダの裏切りや磔など)を予言したコラールやアリアが挿入される。単なる劇ではない。第一曲で、すでに人間の罪を予言する。(「キリストを死に追いやったのは人間である」という視点による。)
体の動きによって劇を表現するオペラと違い、マタイで歌手は演技せず立ちっぱなし。物語の進行を説明する人が必要になる。
それとコーラスが劇全体を俯瞰する内容を歌う。(神の視点というか。)劇と聴衆の2点だけでなく、第3の視点といったものが加わる。これが受難劇全体を立体的なものにしている。

マタイの個人的感動ポイント→クリスチャンではないが、ユダのうらぎり(お金によってイエスを売る)やその苦悩に、人間的な苦悩や弱さを見る想い。物語を通して聴くと最後には「ユダはわれわれと同じ人間なのだ」と感動してしまう。また音楽だけでも実に劇的なドラマとして起伏に富んでいる。民衆の簡単にうらがえってしまう群像にも、人間社会の愚かしさを見る思いがする。歌詞を知らずともアリアやコーラスは純粋に音楽としても秀逸。

演奏→カールリヒター指揮 1958年録音。youtube(翻訳テクスト付き!)にあり。「クラシックパブリックドメインの歴史的音源」というサイトにも全曲あり。トラックごとに聴きたい場合はそちらが便利。

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第1曲 構成が壮大で、音楽、歌詞ともに素晴らしい。
冒頭コーラスが、2郡に別れ、かけあう。「Kommt ,ihr Tochter,来たれ、娘たちよ、我とともに嘆け」、「見よ!sehet」「誰を?Wen」「花婿を!Brautigam」〜「見よ!sehet」「なにをWas」「その忍耐を!die Geduld」〜「見よ!」「われらの罪を!unsere Schuld」
途中、少年合唱がコラール「おお神の子羊、罪無くして十字架に〜O Lamm Gottes unschuldig」と挿入されてきます。最高のステレオ効果であり、立体的な構成。(youtubeだと歌詞が出るので9分ほど鑑賞。)

第11曲 レチタティーボ ユダ(プレープストル)が裏切りの決意をするシーン。エヴァンゲリスト(ヘフリガー)とユダのやりとり。

第12曲 ユダの裏切りを悲しむ痛切なソプラノ(ゼーフリート)のアリア Blute nur,du libes Herz! 「血を流せ 我が心よ!」超有名曲!名唱!
このパターン(行為→アリア)で物語は進行していく。

第21曲 コラール 何度も用いられるハスラーのメロディー 計5回マタイで引用される。当時の人々にとって、親しみのあるメロディーだったとのこと。元は「私の心は千々に乱れ」という恋の歌。

第47曲 アルト(テッパー)のアリア erbarme dich,mein Got 憐れみたまええ、わが神よ。(youtube 第二部 17:11) Vnソロが素晴らしい。超有名曲!

第53曲 21曲 72曲と同じコラール。マタイのテーマ曲。曲全体の通奏低音。

第58曲 ソプラノのアリア 「Aus Liebe 愛により、我が救い主は死なんとす」ゼーフリートの絶唱とフルート。超有名曲。女性歌手によるバッハアリア集などには必ず入る。

第63曲 血潮したたる主のみかしら またもハスラーのメロディー すばらしいコラール!

第71曲 レチタティーボ イエス(エンゲン)が磔にされ「eri eri lama asabthani? わが神、我が神、何故にわれを見捨てたもうたか?」と叫ぶ。名演!
民衆が「お前が神の子ならエリヤが助けにくるはずだ」と叫ぶ。人間的なドラマ。
エリアは救いに来ず、イエスは息絶える。

第72曲 コラール ハスラーのコラールが今度は静かに感銘深く歌われる。感動!

第73曲 天地が裂け、地震が起こる。オルガンとVcの描写。劇的シーンのバッハの描写! 
その後、静かに「本当にあの人は神の子だった!Wahrlich,dieser ist Gottes Sohn gewesen」と歌われる感動的なシーン。

第75曲 バス(ディースカウ)のアリア Mache dich,mein Herze rein わが心よ、おのれを浄めよ。Ich will Jesum selbst begraben われはイエスそのものをほうむる。(誰の視点のテクストか不明瞭。)しかし曲はすばらしい。そろそろマタイが終わるという予兆。

第78曲 Ruhe sanft 休らいたまえ、安らかに。 
第1曲と同様、合唱が2群に別れ、かけあう。大波のようなコーラスが聴衆を押し流す。

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