この数年、春に福井方面の山に登っている。
大好きな白山を雪があるときに眺めたい。
この時期の福井の山は花も多い。
とても魅力的だ。
滋賀に住むSさんと1年ぶりに一緒に行くことにした。
去年は何度か雪山に一緒に行って、いろいろ教えてもらい、私の技量では登れないような雪山を経験することができた。
だが、昨年の10月にSさんは単独で行った沢で滑落した。
大けがを負った足で稜線に上がり、尾根を下って帰宅し、シャワーを浴びてから病院に行って1ヶ月半ほど入院したという。
まだ完治していなくて痛みはあるが登山を再開していた。
Sさんが行きたい山は姥ヶ岳と越前甲とのこと。
ということで、越前甲から加賀大日山に行くことにした。
5月11日
道の駅「禅の里」で待ち合わせる。
私の車をそこに置いて、Sさんの車で登山口に向かう。
国道416号線は工事中で登山口の下のほうの路肩に駐車した。
ちょうど地元のおじさん二人がなにやらパトロールに行くということで登山口まで一緒に歩く。
するとペットボトルだけを持った男性が下りてきた。
越前甲の登山口がわからなかったそうで一緒に行くことにする。
20分で登山口に着いた。
おじさんが迷いそうな所を教えてくれた。
単独の男性はペットボトルだけを持って登って行った。
「あんな格好で越前甲まで登るのかしら?」
「トレランなのかしらね。」
沢沿いの道には少し残雪があった。
踏み抜かないように注意しながら進んで行く。
すると、先の男性が下りてきた、。
教えてもらった迷いそうな所を確認してきたそうだ。
なんでもツアーのガイドで下見に来たそうだ。
能郷白山の予定が行かれないのでこの越前甲に変えたそうだ。
「越前甲に行ったら、雪の状況を教えてもらえませんか?」
と言って、私の電話番号を聞いて下って行った。。
Sさんのご主人のKさんは登山ガイドをしている。
「Kさんならどんな低山でも必ず自分で下見に行くわ。休憩場所や、どんな説明をしようか考えているわ。自分で行かないで人に聞こうなんてどういうつもりかしら。自分で見なきゃ山の様子なんてわからないのに。」と憤慨している。
確かに!
もし、私たちに会わなかったらどうしたのだろうか。
登山道には春の花がいろいろ咲いている。
だが急な登りだ。
時々ロープが張ってある。
倒木も多い。
山頂近くになって、やっと視界が開けた。
白山が大きく見える!
越前甲の山頂に着く。
誰もいない。
目の前には白山が大きい。
だが、空には薄雲がかかっていてくっきりとはしていない。
周りの山もいろいろ見える。
福井の山に大分登るようになって、山座同定も出来る様になってきた。
能郷白山が見える。
能郷白山に重なって姥ヶ岳が見える。
明日登る予定だ。
少し休んでから加賀大日山に向かう。
この稜線が気持ちいい。
時々残雪も出てくる。
花もいろいろ咲いている。
加賀大日山が近づくと、道の両側にはカタクリが一杯咲いている!
まさにカタクリロードだ!!
こんなたくさんのカタクリの群落は初めてだ。
加賀大日山に着く。
すぐ下に展望台があるらしいので、行ってみる。
「おおっ!」
白山がど〜〜〜んとそびえていた。
越前甲からの稜線もよく見える。
地元の方が二人休んでいる。
加賀大日山には何度も登っているそうだ。
しばらくお話する。
二人が下山してからも、Sさんと白山に見入っていた。
下り始めると、さらに空が青くなってきた。
白山もよりくっきりと見える。
タムシバがきれいだ。
雪のためにちょっと違う尾根に行きかけたが、Sさんがすぐに気づいて軌道修正をする。
下りではチェーンスパイクを付ける。
Sさんは長靴のままだ。
越前甲に戻る。
もう雪は少ない。
チェーンスパイクを外す。
ところが・・・
何ともないと思ったところで滑ってしまった。
止まらない!
2〜3mだろうか、滑って藪で止まった。
大きな枝が左胸の下に当たった。
肋骨が痛い!!
態勢を整えて起き上がった。
Sさんが心配する。
「ゆっくりここまで登ってきて。」
「肋骨が痛いけど・・・折れてはいないと思うわ。」
「折れたりヒビが入れば息をするのも痛いはずよ。」
Sさんのご主人は肋骨を折ったことがあるそうだ。
そこまでは痛くない。
油断大敵だ!
自戒する。
ゆっくり下り始める。
「明日姥ヶ岳に行く予定だけど大丈夫かなあ〜〜〜」
「足を怪我したわけじゃないから平気じゃない?」
うん、痛い足で登るSさんの言葉に妙に納得する。
登りでは気づかなかったオオカメノキやサンカヨウが咲いていた。
心が和む。
無事に下山する。
朝はまだだった工事をしていた。
重機を止めて通してもらう。
道の駅「禅の里」に戻る。
肋骨はそれほど痛くはない。
明日も大丈夫そうだ。
アクシデントもあったが、楽しい山歩きだった。
やっぱり雪の白山は美しい。
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