2月23日に掲載した第1報に続いて、下記のようなことに気づいてきました。
(1)木管楽器や金管楽器の使い方について
和声法(フォモフォニー)では、
2つの同じ楽器を「上吹き」と「下吹き」の使い方をしている
ことにに対して、
対位法(ポリフォニー)では、「上吹き」と「下吹き」の使い方の概念はないのではないか
と総譜(オーケストラ・フル・スコアー)を診て気づいたのです。
例えば、
木管楽器の第1フルートは「上吹き」で、第2フルートは「下吹き」をしています。
1つの木管楽器では、1音しか出せないためです。
従って、第2フルートは、第1フルートの補強役、補助役を呈しています。
オーボエ、クラリネット、ファゴット(バスーン)も同様です。
和声法では、これらの「上吹き」と「下吹き」で、1セットとして、音の流れ(サウンド・ストリーム)にマッチングしていますが、
対位法では、各声部が1声部1声部独立しているので、音符(♪)の流れを診ていると「上吹き」用とか「下吹き」用としての用件(要件)でないことに気づいたのです。
和声法での使い方と対位法での使い方に相違があるのではないかと想ったのです。
私が所有している教会カンターターの数々の音源で、木管楽器や金管楽器の使い方を精査すると、対位法でも和声法と同様な楽器配置で演奏されているのです。
リスナー(聴く側)・観客席側から診て判断すると、
和声法では、
第1フルートの隣左側に第2フルートの配置(ピッコロは第2フルートの隣左側の配置)
第1フルートの隣右側に第1オーボエの配置
第1オーボエの隣右側に第2オーボエの配置(※コールアングル、イングリッシュホルンは第2オーボエの隣右側の配置)
※バロック時代はオーボエ・ダモーレ、オーボエ・ダ・カッチャと言う名称で使用され、音色は全く違い異なります。
フルート族とオーボエ族の後方にクラリネット族とファゴット族が同じスタイルで配置されています。
クラリネットはモーツアルトやベートヴェンの時代以前にはありませんでした。
対位法でも、今までの演奏・録音を検証した結果、和声法と同様のスタイルでした。
ここに、違和感を覚えたのです。
対位法では、
第1フルートを左側ステージ面に、第2フルートを右側ステージ面に離れて配置(隣でない)
第1オーボエを左側ステージ面に、第2オーボエを右側ステージ面に離れて配置(隣でない)
このようなスタイルで配置すれば、弦楽器群と同じように、
左側ステージ面の「善」の世界観、右側ステージ面の「悪」の世界観の掛け合いが楽しめるのです。
ルネッサンスやバロック時代のフルートは金属製でなく木製のフルートであり、音楽作品によって、リコーダー(ブロックフレーテ)に置き換えて演奏されたものも多くあります。
(2)ボーカル(ボイス声部)の配置について
通常、
左側ステージから右側ステージにかけて、ソプラノ→アルト→テノール→バスと配置される場合
ソプラノ→テノール→アルト→バス
ソプラノ(左)&アルト(右)の後方にテノール(左)&バス(右)
音楽作品によって、色々な配置が診られます。
和声法では従来から活用されているこのスタイルの配置で違和感がありませんが、対位法では音楽作品によって、違和感を感じるものもありました。
ボイス声部においても、総譜を診ると、対位法では、左右の音の掛け合いを味わい楽しむ世界観でありますから、
ソプラノ(左)の隣にアルト(右)を配置するよりも離れて左右に配置した方が掛け合いが明確(明瞭)に判別出来るのです。
ソプラノ・アルト・テノール・バスの4つの声部で、色々な組み合わせがありますが、基本的に、高い声域部を左側に、低い声部域を右側に離れて配置すると掛け合いが明瞭に判別出来ます。
(3)ボーカルと楽器群との関係
ボーカル(ボイス声部)と楽器の掛け合いが味わい楽しめるように、左右に離して配置するとイイと想うのです。
音楽作品によって、種々のボーカルと楽器配置との関係においても、和声法と対位法では違うのではなかろうかと想ったのです。
ルネッサンス時代の音楽は対位法のみの芸術観であり、
バロック時代の音楽は対位法を主体(中心)に和声法との融和(調和)された芸術観なのです。
前期古典派(ロココ)時代から和声法が主体(中心)になり、対位法は演奏が難しいと言う理由で徐々に廃れてきたのです。
宗教(教会)音楽は一貫して対位法が引き継がれてきましたが、ハイドンやモーツアルト、ベートーヴェンの交響曲(シンフォニー)での対位法採用後、徐々に採用されなくなりました。
バロック音楽は「歪んだ真珠」とも言われ、音のテンポやリズム観の強弱感、早遅感、左右の音の掛け合い感を味わい楽しむ音楽空間(音楽風景)なのです。
対位法芸術観を味わい楽しむために、和声法と同じ楽器配置では、味わい楽しめないことが発見(気づき)出来た次第です。
感謝
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