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2018年02月27日22:25

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映画 ”ゆれる人魚”

“ゆれる人魚”

一昨年、”奇妙でポップなジャパネスク・ファンタジー”という宣伝文句につられて見た、
摩訶不思議なハンガリー映画”リザとキツネと恋する死者たち”(2016/1/10日記 
おすすめ!)がかなりツボにハマりましたが、今度は同じく東欧のポーランドから、
人魚の姉妹が主人公の”ホラー・ファンタジー&’80sサウンド・ミュージカル”という
やはり摩訶不思議な作品がやって来たということで、いざ鑑賞!

人魚の姉妹が海から上がってくる。
女ボーカル、イケメン・ベースと中年オヤジドラマーの三人バンドと出会い、
三人が専属で出演する80年代のワルシャワのナイトクラブに連れてこられる。
二人はバンドに歌手兼踊り子として参加し一夜にしてスターになり、
人間社会での生活を楽しむ中、姉のシルバーがハンサムなベーシストに恋をしてしまう。
恋に破れると海の泡になるのに、初恋に溺れてしまった姉は人間になることを夢見る。
一方、妹ゴールデンは人魚の本性である人食いの衝動が抑えきれなくなる。
たちまち二人の関係がギクシャクし始め、やがて限界に達した二人は、、、。

物語はアンデルセンの”人魚姫”をベースに、
姉に悲恋もののヒロインとして初恋の暴走と無償の愛を表現させ、
そして妹には自由奔放さ嫉妬深さ、そして西洋の昔話につきものの残虐性を持たせ、
きらびやかで猥雑なナイトクラブを舞台に彼女たちの人間社会での人間と同じ
ドキドキや苦悩をドラマチックに仕上げた作品になってます。

とはいえ、この映画は物語を楽しむというより、
全編ふんだんに流れる80’s っぽいシンセサウンドにのせて
人魚姉妹(人間の姿)がステージでアイドルっぽく歌い踊ったり、
ロックっぽいパフォーマンスやストリップっチックだったり、
時には”ラ・ラ・ランド”さながらの群舞シーンがあったり、
一転して生臭さが漂ってくるリアルな鱗の人魚姿、
さらには肉食本性全開で人を食らう姿なんかを単純に楽しむ映画でした。

企画当初は監督や音楽を担当しているポーランド・インディーズシーン?で
活躍するブロンスキ姉妹が小さい頃に体験した1980年代(まだ共産主義時代)の
ナイトクラブを舞台に、ブロンスキ姉妹の自伝的な映画を撮ろうと思っていたそうです。
ところが姉妹からその設定にダメ出しをされ、
仕方なく人魚の姉妹を主役に変えたら逆に物語が膨らみ、
人魚が主人公でありながらも大人になる手前の少女の純粋さと残酷さ、
当時の夜のショービジネスの実態(人魚を見世物扱い、音楽やストリップ、大道芸が混在)
なんかをより深く描くことができたと監督は語ってます。
さらにはポーランド映画にはそれまでなかったホラーという要素を
初めて盛り込んだ画期的な作品だそうです。
実際、姉妹の裸より人を食いちぎるシーン(欧米の最先端のホラーと比べたら
子供騙しの様ですが)の方が問題になったとか。

80sエレポップ実体験世代としては音楽がツボでした。
それにイケメン、熟女、中年オヤジの三人バンドもキャラがはっきりしていて面白いし、
姉の下半身を入れ替える手術の雑さとか含めていい意味でB級感というか
往年のカルト映画感が満載。

てな感じで、美しくて、儚くて、残酷で、猥雑で、音楽満載、
”リサとキツネ〜”同様のポップでキッチュな摩訶不思議な東欧ムービー、
最後は姉の純粋さと妹の姉への思いにホロっとさせられて、
楽しませてもらいました。
https://www.youtube.com/watch?v=n3pIDJTZMV4


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