極めて残念な事がある。
籠池が変節して、有りもしなかった不正な「政治介入」へと議論を誘導しようとした結果、せっかく彼が自身の人生を賭けた小学校事業を自ら貶める証言を重ねた事である。
「国有地の収得につきまして、政治的な関与という内容について、あったのだろうという風に認識しております。まあ様々な長短があろうと思いますが、その都度、その都度の場所で政治的な関与があったのではないかという風に思っております」
これは籠池が一貫して、政治家の力を借りた事はなく「不当な口利きの事実などない」と言明してきた事を、先述した諄子と昭恵のメールのやりとりの内容を完全に裏切るものだ。この変節を強く窘めたのは、維新の会の下地幹郎である。
「これは、大阪府は、新しい制度を作って、幼稚園をやられている方でもその小学校を作れるという新しい規制緩和をしたんです。それが専門学校でも全部できるようになったんです。あなたに対して、教育の熱心なあなたに対して枠を広げたんです。それでこの制度はスタートしたんです。その時に今言ったようなそのような働きかけがあったというような事であれば、もっと具体的に言わないと」
要するに、こういう事だ。
塚本幼稚園の先代からの政界との交流、幼稚園自体の評価の高かった事、大阪の公立小学校の左翼色のどぎつさ等が相まって、大阪の保守系ネットワークや保守系議員の籠池応援は、確かに広範囲に存在していた。
籠池自身、この証人喚問で繰り返し、自民党の元大阪府議長で、平成26年9月18日に他界した畠成章の尽力について語っている。畠の選挙区には塚本幼稚園がある。森友学園の先代や、松井知事の実父である府会議員松井良夫とも昵懇だった為、籠池に対しても協力的で、畠からは「松井知事に話しておいたよ」等の電話もあったという。
つまり、民間の小さな幼稚園経営者が、志を持って小学校を作ろうと奔走、陳情を繰り返した時に、その陳情に応じて政治家も応援し、行政もこれに協力的に対応していたという事なのだ。それをどうして、よりによって籠池自身が、証人喚問という場で、努めて政治による不当な介入があったかのような汚れた話にしようとするのか………
そして籠池は、この証人喚問の中で、有名になった次の一節を吐く。
昭恵からの百万円の件を問われた時の事だ………。
その39へつづく。
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