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2018年02月13日19:46

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芥川賞 2作品 インド と 東北

5日毎のケアハウスの姑さんを風呂に連れて来る帰り、(彼女は介助無しで入るけど)
図書館で 芥川賞を読んだ。

2作共、読みたかったけど、1時間半しか無かったので、
1作半しか 読めなかった。(文芸春秋最新号)

両方とも、3mmほどの厚さ分だけど、
時間が足りなくなったので、飛ばし飛ばしになった。

「百年泥(どろ)」の方の著者は、東大大学院卒だけど、
大学も東大なんだろうか?
東大は、大学院より大学の方が難関だし気になった。

リアル インドのチェンナイの今が舞台だけど、
語り手の日本での過去が 時々バックしてくる。

借金や、離婚再婚を繰り返す かなりアウトローな過去。
サラ金取立ての裏の世界の手口も出てくる。
利息だけでも払わせるために、別のサラ金で借りさせるとか。

語り手の学校生活も、無口な同級生の境遇などが描かれる。

ほとんどインドでの日本語教師の授業風景や、
生徒の過去の物語りなどだけど、
重役階級は 羽を使って飛んで出勤するとか、
泥の中から、生きた人間が出てきたり、
不思議なフィクションが混ざる。

でも、そんなフィクションは少しで、
歯切れ良い簡潔で詳しい描写があふれる。
インドらしい、バラナシでの葬り物語りもある。

貧しい生まれの教室のピカ一の生徒の波乱万丈の育ち、
恋愛御法度のインドの結婚事情、
女の子は持参金を持って嫁に行くので嫌われ、
赤ちゃんのうちに殺されることも多いことなども。

無口な理由、男が沈黙を嫌うこと、ここらも読ませる。
ごく短い説明なんだけど、要領よく分かるように書く。
私も無口な方なので、共感できる。

芥川賞作品は、恋愛沙汰が 必ず入ることが多いが、
この要素は、ピカ一生徒の美貌になるのかな?

美貌な生徒の美貌を詳しく描写しなくても、
インド、アラビアの一般的な風貌を思い起こせば
充分、説得力がある。
(生徒は全員、男である)

それとも、どろどろの離婚再婚の過去(詳しくは書かれない)か?

とてもインドを感じさせる物語りだし、濃厚で盛りだくさん。


ちょっとしか読めなかった
「おらおら、ひとりで行ぐも」だったかは、
東北弁が分かる人には、たまらない響きがあると思う。
分からない私には、その点は もどかしい作品。

私が読んだ初めの方には、東北の香りは薄いと思う。
後半、東北らしさが出てくるのかな?

方言と標準語の自己分裂のことは 私も体験しているが、
なかなか うまく書けない問題だ。
年をとると、自分の中の方言も消えかかるし。

孫もいる作者の祖母、母、自分、娘、孫(女の子)の5世代の話しになって、
ぐっと、家族関係の問題が浮き上がってくる。

インドの作品でも、女子差別が出てきたけど、
この作品でも、女子差別が出てくる。
その差別は 受け身でなく、
差別する側に女性の自分が立ってしまっているのだ。

オレオレ詐欺が現実の体験として出てくるので、びりっと感じる。

ワタシワタシ詐欺が無い理由を考えさせる。

ここらで面白く感じたので、ぜひ、続きを読みたい。



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