騒動が大きくなり始めた後、籠池諄子は、昭恵に対して再三メールや電話で相談を続けていた。メールは後に、政府側から公表されたが、その公開メールを少し辿ってみよう。
2016年6月4日
籠池諄子:
ご無沙汰しております。本日「殿利息でござる」の映画を観てきました。ある方が籠池さんとだぶるからと勧められての事清まりました
安倍昭恵:
携帯水没でデータが一部飛んでしまいました。失礼ですが、お名前を教えて下さい。
籠池諄子:
今晩は。塚本幼稚園、籠池泰典の家内です
安倍昭恵:
大変失礼致しました。
翌6月5日
籠池諄子:
殿利息でござるの映画を是非ともご覧ください 籠池
この前年の九月に昭恵は名誉校長を引き受けているが、諄子からのメールはご無沙汰挨拶で始まっており、一方、昭恵は「籠池」という名前を見ても人物を確定できずに名前を教えてくれと返信している。それに対して諄子は自分の名前ではなく「塚本幼稚園 籠池泰典の家内」と名乗っている。
昭恵と籠池夫妻、特に妻の諄子とが、いかに親密なのかが報道で強調され続けたが、実際の二人の関係がどの程度だったかは、この冒頭部分だけでもよく分かる。
また総理夫人へのご無沙汰挨拶のメールで、映画「殿利息でござる」を薦める諄子の対人距離感や社会性の特殊さも推測がつく。
この後も散発的に諄子から昭恵へのメールがあるが、注目されるのは、森友が事件化して十日経った2/18からのやり取りである。
安倍昭恵:
この度のことはどうなっているのか、ご説明もなく、マスコミから追いかけられて戸惑っております。
昭恵にしてみれば、成り行きで名誉校長を引き受けただけで、籠池の事業経過を全く把握していない。説明がないので、マスコミにどう対処していいかも分からずメールで問い合わせたのである。
2月21日
安倍昭恵:
なぜ売却価格を非公開にしてしまったのですか。やはり怪しまれるようなことはしない方がよかったのかなあとは思います。祈ります。
籠池諄子:
主人は何度も答えていますが伝わりません。公開しなかったのは、土壌汚染や廃棄物のある土地で開校しようとしていると、悪評を立てられたら困るのでしませんでした、とメールしてください。
籠池は、様々な取引や、この後の証人喚問で、非公開にした理由は別にないと説明しているが、妻の諄子は本当のところをちゃんと説明しており、それは実は財務省が再三に渡り国会で答弁した理由と同じなのである。何故籠池は既に明らかになっているこの事を一々隠したがるのだろうか。やはり残念ながら菅野に唆された可能性は否めまい。少しでも安倍政権のマイナスになるイメージを流布させようと目論んだのか………
次の2月25日の諄子のメールには、森友騒動の核心とも言える注目すべき重要な一節が表れる。ここまでの騒ぎになったのが、バカバカしいと思えるほどの………
その30へつづく。
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