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2018年02月08日05:32

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転載 祈りは遺伝子を活性化する〜村上和雄氏

人の思いは、他の人や物に影響を与えることが可能である。つまり、祈りというものが、実際に影響を与えることが起こりうるということである。
 祈りについては、既に多数の実験が行われており、アメリカでは、厳密な実験環境の下で行われ、正統な科学の基準を十分満たした百を超える実験のうち、実に半数以上で、祈りが様々な生物に多大な影響をもたらすという結果が出ている。
 祈りにはある程度の治癒効果があることを示すことに成功したのは、元カリフォルニア大学の心臓学の権威ランドルフ・ビルド教授である。ビルド教授は、心臓治療ユニットに入院した393人の患者に対し、次のような実験を行った。患者を、祈りを受けるグループ(192人)と、祈りを受けないグループ(201人)とに、振り分けて行われた。患者の振り分けはコンピューターで無作為に行われ、患者、看護婦、医師はどのグループにどの患者が入るかは知らされない。いわゆる二重盲検法という厳密な実験方法が採られた。
 ビルド教授は、患者のために祈る人たちとして、アメリカ全土のローマ・カトリックとプロテスタント教会から募集して、患者の名前と病状を教え、毎日その人たちのために祈るように依頼した。しかし、祈り方についてはなんの指示も与えなかった。祈る人は患者一人につき、5人から7人という割合だった。
 その結果は、大きな反響を呼んだ。祈りを受けた患者のグループ(A群)は、祈りを受けなかったグループ(B群)とは驚くほど異なる結果を示したからである。

1、抗生物質を必要とした人は、A群はB群に比べて5分の1。
2、心臓疾患の結果、肺気腫になった人は、A群はB群に比べて3分の1。
 (6人に対して18人)
3、喉に人口気道を確保する気管内挿管を必要とする人は、A群ではゼロ。
  B群では12人が人口気道を必要とした。
4、 死亡した人は、A群では少なかった

 この実験は、祈りには効果があることを示した。ある人の祈りが、遠くいる人の健康状態に影響を及ぼすことができること、しかも何百マイルあるいは何千マイルも離れていても、距離的なへだたりは障害にはならないことも明らかになった。
 こうした祈りの実験は、人間を対象としたものだけでなく、マウス、ひよこ、酵素類、菌類、酵母菌、バクテリア、その他様々な種類の細胞などにまでわたっている。
 中でも、オレゴン州セーラムにある研究機関スピンドリフトが行った実験が広く知られている。スピンドリフトでは、さまざまな祈りの効果を客観的に評価するという試みが、十年以上にもわたって行われた。例えば、ライ麦の種子をそれぞれ同数の二つのグループに分ける。それらを、植木屋が使う軽土、バーミキュライトを満たした浅い容器に入れる。その容器の真ん中には紐を張り、種子を二つに分けます。そして一方の側の種子についてのみ、発芽をするように祈る。もう一方の側の種子については、祈らないようにする。
 こうして、ライ麦の種子が育ってくると、発芽した数を数える。すると、何度実験しても、祈りをした側の種子の方が、祈らなかった側よりも、はるかに多く発芽したのである。この実験は、多くの人によって何度も繰り返し確認されている。
 この実験は、祈りという人間の思考が、人間や人間以外の生命体に対して影響をもたらすことを、明らかにしている実験の一つである。しかも、この影響は、測定可能であり、また再現可能である。
 筑波大学名誉教授・村上和雄氏は、最近の祈りに関する実験の結果を報告している。平成30年1月11日付の産経新聞に寄せた記事には、次のようなことを書いている。
 すべての生き物は、生命活動に必要な遺伝情報を、DNAの塩基配列として暗号化している。また、時間や環境の変化に応じて必要な遺伝情報を取り出す仕組みとして、遺伝子の発現をスイッチのようにオン・オフしながら調節している。「オン」とは遺伝子の発現が活性化している状態、「オフ」とは遺伝子の発現が弱まる、あるいは停止した状態である。個々の状態もオン・オフに影響する要因の一つである。
村上氏らは、宗教的な祈りや瞑想を研究対象にしている。祈りや瞑想は単なるリラクセーションや集中力アップの手段ではなく、大自然と調和した一体感や神仏との合一体験などの意識状態の変性を伴うものであり、そこに「祈りや瞑想」の本質があると考えたからだという。
 村上氏らは、まず、祈りや瞑想が身心にどのような影響を及ぼしているかを調べるため、高野山真言宗僧侶における遺伝子発現の活性化の検討を行った。その結果、僧侶のグループには、「僧侶型オン遺伝子」が見出された。その遺伝子はいずれもI型インターフェロン関連遺伝子だった。I型インターフェロンは、ウイルスの増殖を抑えたり、感染した細胞を除去したりすることによって、ウイルスから身体を守っているタンパク質である。僧侶のグループにI型インターフェロン関連遺伝子が見出されたことは、僧侶になるための修行か、あるいは日常の行において獲得・維持された資質であり、また僧侶では自然免疫系が全体に活性化していると考えられる。
 また、村上氏によると、僧侶のグループは他人の感情や行動に対する共感の度合いが高かった。これは、僧侶の心理的な感受性の強さの表れといえる。また、共感性と僧侶型遺伝子に一定の関連が見いだされた。ここから、共感という心理的な感受性と、自然免疫機能という身体的な感受性に共通の基盤があることが推測される。村上氏は、瞑想や祈りによって共感性や慈悲の心を育むことが、免疫機能の強化につながったのではないかと考えている。日々の生活の中で行じられた祈りや瞑想が、ある心理状態を作り、その状態が積み重なることで、遺伝子を介して体に影響を及ぼしたのではないかと推察されるというのである。
 私見を述べるならば、この実験結果とそれに基づく推察は、仏教の一宗派に限らず、広く宗教の修行者にも見出される可能性がある。また、出家者や専従者に限らず、祈りや瞑想を日常的に実践している一般人においても、同様の傾向が見出される可能性も想定できる。今後、さらなる研究が進むことを期待したい。
 以下は、村上氏の記事の全文。

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●産経新聞 平成30年1月11日

http://www.sankei.com/column/news/180111/clm1801110005-n1.html
2018.1.11 07:35更新
【正論】
祈りは遺伝子を「活性化」する 慈悲の心が免疫機能の強化につながる 筑波大学名誉教授・村上和雄

 最近、米国を中心に、祈りや瞑想(めいそう)と、健康との関連についての研究が増えている。こうした研究のなかでは、ヨガ瞑想やマインドフルネス瞑想が、ストレスによる免疫機能低下の改善を促したり、抑鬱からの回復効果をもたらしたりすることを実証している。
本質にある大自然との一体感
 私はこれまでダライ・ラマ14世と『仏教と科学との対話』というテーマで、何度も話し合う機会があった。法王は30年以上にわたり、この対話を続けている。そのなかで、『仏教は心のサイエンスである』と言い、常に最先端科学から素直に学ぶ姿勢を示している。
 法王は、拙著『 The Divine Code of Life(『生命の暗号』の英訳本)』に次のような推薦文を書いてくれた。
 『21世紀の人類が直面する課題は、科学だけでも宗教だけでも解決しない。宗教がもたらす人間性の深い理解と、現代科学の知見を融合して苦難を克服しなければならない。村上和雄博士の重要な研究が、私たちの目標に近づけてくれる』
先に述べたマインドフルネス瞑想の研究では、宗教的要素を取り除いた瞑想様式にしている。しかしわれわれは「宗教的な祈りや瞑想」をそのまま研究対象にした。なぜなら「祈りや瞑想」は単なるリラクセーションや集中力アップの手段ではなく、大自然と調和した一体感や神仏との合一体験などの意識状態の変性を伴うものであり、そこに「祈りや瞑想」の本質があると考えたからである。

僧侶は身心の感受性が強い
 まず、祈りや瞑想が身心にどのような影響を及ぼしているかを調べるため、日常的に祈りや瞑想を実践している高野山真言宗僧侶における遺伝子発現の活性化(オン・オフ)の検討を行った。
 すべての生き物は、生命活動に必要な遺伝情報を、DNA(デオキシリボ核酸)という化学物質の配列(塩基配列)として暗号化している。この遺伝情報を遺伝子という。
 時間や環境の変化に応じて必要な遺伝情報を取り出す仕組みとして、遺伝子の発現をスイッチのようにオン・オフしながら調節している。すなわち、「オン」とは遺伝子の発現が活性化している状態、「オフ」とは遺伝子の発現が弱まる、あるいは停止した状態である。
この調節にはさまざまな要因が関与し、いわゆる「心」の状態も「オン・オフ」に影響することが知られている。われわれはこれまでに「笑い」によって、2型糖尿病患者の食後血糖値の上昇が有意に抑えられること、免疫系の活性が適正化することなどを報告してきた。
 今回、「僧侶型オン遺伝子」として見いだされた遺伝子はいずれもI型インターフェロン関連遺伝子であった。I型インターフェロンはウイルスの増殖を抑えたり、感染した細胞を除去したりすることによって、ウイルスから身体を守っているタンパク質である。僧侶群におけるこの特徴は、僧侶になるための修行か、あるいは日常の行において獲得・維持された資質であると考えられる。すなわち、僧侶では自然免疫系が全体に活性化していると考えられる。
 一方で、僧侶は他人の感情や行動に対する共感の度合いが高かった。これは、僧侶の心理的な感受性の強さの表れといえる。本研究で最も興味深い結果とは、共感性と僧侶型遺伝子に一定の関連が見いだされたことである。僧侶における自然免疫系の活性化は、僧侶の身体的な感受性の強さの表れの一つとして捉えることもできる。
 ここから、共感という心理的な感受性と、自然免疫機能という身体的な感受性に共通の基盤があることが推測される。これは、身心の関連を考える上で大変興味深い結果であり、宗教性や祈りがそのような身心基盤の成立に関わっていることが推察されるのである。

慈悲の心が免疫を強化する
 真言宗の開祖、空海の言葉に『菩薩の用心は、みな慈悲をもって本(もとい)とし利他をもって先とす』(秘蔵寶鑰(ほうやく)巻中)とある。これは「菩薩は慈悲の心で他の者の幸せを優先する」という意味であろう。人の悲しみや喜びをわがことのように感じ、利他の心を持つことは、高い共感性に通ずる。
 空海の言葉を日々胸に刻む僧侶たちが、行(瞑想や祈り)によって共感性や慈悲の心を育むことで、免疫機能の強化に繋(つな)がったのではないかと考えている。日々の生活の中で行じられた祈りや瞑想が、ある心理状態を作り、その状態が積み重なることで、遺伝子を介して体に影響を及ぼしたのではないかと推察される。
 ここでは喜怒哀楽の「心」よりも深い、「魂」とよばれるものがこのメカニズムに関わっているのかもしれない。臨床心理学者で文化庁長官だった河合隼雄さんが、私に「心と遺伝子の研究も面白いがもっと面白いものがある。それは魂と遺伝子の研究や」と言ってくれた言葉をあらためて思い出している。(筑波大学名誉教授・村上和雄 むらかみかずお)

http://open.mixi.jp/user/525191/diary/1965060481 から転載しました
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