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2017年12月25日03:29

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【映画日記】『エンドレス・ポエトリー』、『十年』

 12月24日、日曜日。クリスマス・イヴ。日曜日のクリスマス・イヴというところ、カップルさんにとってはワンダフォー。やもめ男の僕にとっては…… あ、寒い……(‐‐;)

 昼前に出かけようとしたのだけれど、前日にいただいた新世界東映のラインナップチラシに誤りがあることに気付いて、劇場に電話。配布劇場にも電話。支配人が不在の時間帯であったため&僕が繋いだという事情もあるため、僕が動いた。多分、落着。
 
 新世界東映は、他館上映作品の棚を新設なさったようである。なら、他にもどこか繋げようかなー、と。まだ数軒、アテはあるし。

 と、思わず時間を取られてしまったので、出かけたのは昼過ぎ。神戸・元町映画館に行くのだ。ギリギリなのだ。

 三宮に到着したのが上映の25分前。5分でブックオフに移動し、5分で映画雑誌&パンフレットコーナーを物色・購入し、15分で移動すればなんとか行ける!! いやね、秋に塚口のブックオフが閉店しまして。閉店前にFC店である三宮店の金券400円分をいただいたの。その有効期限が今月末迄なの。でもって、今回が、今年最後の神戸行きなの。更に、20時閉店だから映画観賞後だと閉まってるの。だから怒涛の勢いで物色。

 ガサガサガサガサガサーーーーーーっ!!


(映画パンフレット)
・『美女と野獣』(2017年版)
・『ローマの教室で 〜我らの佳き日〜』
・『君の膵臓をたべたい』
・『チャ刑事』


 移動。

 元町映画館。なんとか間に合った。

 
●『エンドレス・ポエトリー』

 『リアリティのダンス』に続くアレハンドロ・ホドロフスキーの自伝的作品第2弾。本作からアップリンクの浅井隆がプロデューサーとして参加している。また、柳下殻一郎さんも出資したらしい。が、クレジットを見てもわからない。アレはわからない。御本人も「クレジットに載っているはずだけど、わからないです」と仰っていた。うん、アレはわからない。

 まず、『リアリティのダンス』については、以前に以下のように書いた。

(転載、ここから)

 アレハンドロ・ホドロフスキーが自伝を原作として撮り上げた異色のドラマ。ストレートな伝記物では無い。自身の少年時代が背景だが、一筋縄ではいかない。メタ・フィクション的に時制を交錯させもする。『エル・トポ』、『ホーリー・マウンテン』、『サンタ・サングレ/聖なる血』といった作品群を連想させる場面も多々有る。フリークスらが踊り、金貨が舞い、海が荒れ、鰯が撥ね、海鳥が翔び、男女が交わり、時代は乱れ、国から離れ、戻り、また離れる。そこで繰り広げられる多種多様なダンス。そう、全てはダンスなのだ。<イマジネーションの洪水>と言って良いほどに幻想的でありながらも、ホドロフスキーの視線は人生を真摯に凝視している。達観しているが、決して諦観はしない。その強さたるや!!

 強烈な色彩美の中で、最も鮮烈なインパクトを残すのは赤。

 赤、即ち、血。

 赤、即ち、血縁。

 赤、即ち、生。

 赤、即ち、営み。

 そして時折、赤、即ち、死。

 全ては表裏一体。

 人生はコイン。生きるも死ぬもコイン。

 コインが回る。裏が表となり、表が裏となる。

 少年が履く赤い靴。赤い靴と言えば、ダンス。やはり、ダンス。

 踊れ、踊れ、踊れないなら死がやって来る。

 踊れ、踊れ。そして、あがけ。そして、生きろ。

 映像の魔術、語りの錬金術。

 アレハンドロ・ホドロフスキー、健在也。

 傑作である!(←あまりねー。「傑作、傑作」と言わないようにしているのよ。乱打しないようには心がけているのよ。でも、これ、傑作!!)

(転載、ここまで)


 といったところで、『エンドレス・ポエトリー』である。

 冒頭。スクリーンが真紅に染まる。その瞬間、「おおっ!!」っとして期待に胸を膨らまた。無理もない。以降、しばらくは快調、快調。ただ、『リアリティのダンス』(2014年度洋画部門マイ・ベスト2位)ほどにはのめり込めなかった。いや、決して出来が悪いわけではない。あくまで、前作と比べると劣るということである。

 撮影監督はウォン・カーウァイ作品で名を上げ、今や世界的巨匠となったクリストファー・ドイルで、確かに素晴らしいショットが随所に観られる。しかし、『リアリティのダンス』とテイストがやや異なる。ここは、前作と同じジャン=マリー・ドルージュを起用して欲しかった。

 また、『エンドレス・ポエトリー』はホドロフスキー翁の青年期を描いている。お話としても少年期を描いた『リアリティのダンス』の方が、僕としては魅力的であった。

 ただ、(鑑賞作品が少ないということも大きいのだが)ベストテンには入れると思う。多分。


 さて、続けて、もう一丁。


●『十年』

 これ、第七藝術劇場で観逃したんだわさ。だから追いかけた格好。

 5人の若手監督が2025年の香港を舞台とした短編競作オムニバス。香港電影金像奨で最優秀作品賞に輝いた。インディーズ作品としては異例の受賞である。尚、本作は2015年製作作品。2025年は<現在から10年後>という設定であるわけ。だからタイトルが『十年』なんです。

 上映された5作品は以下の通り。

(上映順)
1.『エキストラ』(クォック・ジョン監督)
2.『冬のセミ』(ウォン・フェイパン監督)
3.『方言』(ジェヴォンズ・アウ監督)
4.『焼身自殺者』(キウィ・チョウ監督)
5.『地元産の卵』(ン・ガーリョン監督)


 評価の高い順に番号を並べると<5、4、3、2、1>となる。

 1はピンとこなかった。2はビジュアルはお見事だけれど、観念的に過ぎる。3は広東語が離せないため、生業であるタクシー業務に支障をきたしていく中年男性が主人公。なかなか深い。4は反体制者や意思表示として焼身自殺を行う人々を軸として、ドキュメンタリーとドラマを混淆させた作品。よく出来ている。5は、言葉狩りが横行する近未来で迫害の対象とされえる個人商店(雑貨屋、書店等)を中心に描いている。あ、こりゃ『華氏411』だわ。レイ・ブラッドベリ、或いはフランソワ・トリュフォーの。雑貨屋が<地元産の卵>として卵を売っていると、軍服様の制服を着た子どもたちがやって来て「『地元』という言葉がいけない!! 禁止リストに載っている!!」といって取締まる。店主は、正論をもって反論するが、子ども取締官は、「……そりゃそうだと思うけど、リストに載ってるからダメ!!」と。ここに仮託されているメッセージを読み取りませう♪(←尚、5は随所に「おっ♪」と感じるアイテムが散りばめられている。映画版『時計仕掛けのオレンジ』のイラスト・ポスターや日本産アニメ『進撃の巨人』のポスターなどである。ちなみに、『進撃の巨人』は取り締まり対象ではないが、『ドラえもん』はアカンらしい^^;)


 観賞後、外に出ると大雨。うわー、やってもうたー。傘、持ってきてないー……

 この後、大阪に戻ってシネ・リーブル梅田に行く予定をしていた。「クリスマス・イヴに独りで『全員死刑』を観るというのは楽しいかもかも♪」と思ったのである(←ヒネてるなあ……‐‐;)

 けれど、雨足が、かなり強かったので、シネ・リーブル行きは断念。元町映画館、シネ・リーブル神戸で新作映画チラシを収集し、その合間にkaidiにて『桜チップで燻した鶏ハム』を購入。レーズンバターも買いたかったのだけれど、無かった。ここに長居すると散在してしまうので早々に退店。

 大阪に戻る電車の中で『寒灯・腐泥の果実』(新潮文庫:刊、西村賢太:著)に所収されている短編小説『肩先に花の香りを残す人』を読み始めた。4篇収録されている中では、これが一番気持ちが良さそうだなあ、と。

 全然、そんなことは無かった。そもそも、西村賢太の小説に清々しさや気持ち良さを求めた僕が悪いのだ。内容は、2012年1月に、マイミクさんと三宮の温泉施設に行った際に読んだ『腋臭風呂(わきがぶろ)』に近い。なのに、こんなロマンチックなタイトルをつけやがってぇ…… 主人公の貫太(=半ば西村賢太本人を投影した人物である)の口汚さは僕とは全くタイプの異なるもので、ただただひたすらに「ひでぇなあ……」と思う。特に女性に悪罵の数々と暴力は耐え難い。けれど、読んでしまう。とはいえ、少し飽きてきた(←尚、マイミクのイチローさん曰く、「プッチン♪」とキレてしまった際の僕の口調や言葉の選別は「怖い。やめて、怖い……」とのことである。そうかなあ?)


 大阪に戻り、梅田ブルク7へ。新作チラシ、無し…… 従業員さんと、ちょっと会話してから帰宅。  

 帰宅してから、『鮭ハラスと舞茸、えのき、オクラのホイル焼き』、『ちくわと甘長唐辛子の煮物』、『たたき胡瓜の梅肉和え』、『かき玉汁』を拵え、これに白ご飯で夕食。

 そしてのんびり。

 明日は昼からメルヴィル三昧でいっ♪

 朝一番で動くのは避けよう。眠い。

 以上である。

<左添付画像使用許諾:(C)Pascale Montandon-Jodorowsky>
<右添付画像使用許諾:(C)2017 Ten Years Studio Limited. All Rights Reserved >
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