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2017年11月16日00:31

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前作「ブレードランナー」といえば

 本当にこんな未来になってしまうかもしれないという「リアルな近未来」感によって映画史にその名を残す名作であったわけですが、残念ながら(いや、幸いにも、か)公開(※1)当時にブレランが予想したような未来と現在の世界は異なる世界線に入ったようであります(※2)。

※1 1982年だ。
※2 まぁ、現実は表面上ではだいぶマシに見えますねw

 そんな35年後の未来に送り出されることになった続編「ブレードランナー2049」の話を聞いたとき、いまやまったく違うものとなった現実とブレランの世界、そのどちらにテクスチャを寄せるのかというところがやはり最も注目されるところであり、下手に"近未来"にこだわればおそらく別物になってしまう危惧はあったわけです。

 そんな心配も杞憂(※3)に終わり「ブレードランナー2049」はリアルな現代の世界からはかけ離れた"ブレードランナーの続編"になっていました。相変わらず酸性雨をはじめとする旧いタイプの環境破壊にさらされる地球を舞台に、制度面だけは進んだレプリカントたちへの忌避感情はそのまま、結果としては新型の(※4)レプリカントが旧型を狩りたてるようなある意味ではさらに荒んだ世界になっております。

※3 ところどころ頑張って近未来的なガジェットは入れてます。ドローンみたいなw
※4 新型は反乱したりしないんですよ(建前)。

 んで、それで興味がうせるのかというと実はそうでもなくて、いわゆる"原作者”であるディックが描くような世界観には今回のほうが近づいている感じもありますし、ブレードランナーのファンには受容しやすい、ある(期待通りという)意味では見ていて心地よい映像になってますかね。一見では把握できなかったところがあるとは思いますけど。

 旧型レプリカントの欠点を改良し、精神面での不安定さをほぼ克服した新型が普及した2049年、レプリカントの最後にして最大の欠点である「繁殖が不可能である」点を解決する鍵となるのは前作のヒロイン・レイチェルが産んだとされる子供。その子供へといたるためのキーパーソンはレイチェルとともに失踪した前作の主人公デッカードだった、ということで、ストーリーはほぼこの一点に向かって収束していきます。前作の設定を把握していてSFにそこそこ親しみがあれば驚くほどの意外性とかはないのじゃないでしょうか。

 なので、映画としてのみどころはそのストーリーを成立させるための説得力、ありていにいって作りこまれた画面そのものと言うことになりますか。食料やエネルギー問題を解決すべく拡張された昆虫農場だったりソーラー発電プラントだったり、前作と似た、それでいて時代の流れも感じる少し整理された街並みであったり、相変わらず手間隙のかかった見事なモンです。

 とくに、前作から進化したバーチャルアイドル・JOYがとってもカワイイ。アイドルもみんなのアイドルから一人ひとりに専用アイドルがつく、なんかここだけ普通に近未来っぽいのは世間向けの言い訳なのか、それともどんな世界でもアイドルはそうなっていくものだという皮肉かなんかなのか。とにかく、このJOYと主人公が(ピー)するシーンがこの映画の最大の見所・・・なんじゃないかとすら思えます。

 逆にアクション映画としては物足りない部分もあって、リドリー・スコットというよりスタンリー・キューブリックみたいな・・・というのは言い過ぎかな。それはそれとして、最近のスコット先生は、人間がするには倫理的にグレーなことをやらせるためにアンドロイドを出してるみたいなとこはありますかね。

 ともあれ、今年下半期の最優先視聴対象だったブレランを片付けてはみたものの、ゴジラもマジンガーもジャスティスリーグもスターウォーズも・・・となるとさすがに無理があるんですよなー。かといって来年はキングスマン2が来るしなー。そんな感じに映画熱を高めてくれたブレードランナー、なかなかいい作品だと思います。
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