♯2
これが初めてのヌードモデルなので,どうしたらいいかわかりませんでした。でもまずはポーズを取らなくてはなりません。ベッドに横たわりました。自分としてはゴヤの「裸体のマハ」を意識したつもりでした。よくよく比べるとだいぶ違いますけどね。すべてをさらけ出していてどこも隠していません。ただ,顔を上げることはできなかったですね。画家さんのほうに視線を向けることはできませんでした。
肘をついていたので結構体勢的にはつらかったですね。でも一時間くらいはじっとしなくてはなりません。いろいろなことが頭の中を駆け巡ります。やはり人前で,しかも今日会ったばかりの女性の前でヌードになるのは,恥ずかしい半面,ヌードモデルに興味があったので,ついに実現したといううれしい気持ちもありました。それから,解放感というか,そもそも普段の生活ではこんなこと体験できないので,新たな世界の扉が開けた気持ちがしました。また,よく男性ヌードモデルがモデル中に勃起してしまったこととか聞いたことがあります。勃起したらどうしようとも思いました。そのためなるべく何も考えずに頭の中を真っ白にしていました。
1〜2時間ほどして,絵が完成しました。同じポーズで別アングルから2枚書き上げたようです。一日に描く枚数は3枚が限度とかで今日の所はこれで終了です。
終了した後もヌードのまま画家さんとしばらく雑談していました。もう,ヌードでいるということが当たり前というか何の違和感もなく過ごせました。画家さんもヌードに全く意識していなかったのでこちらも自然にふるまえたのですね。でも知らない第三者がこの様子を見たら不思議に思うでしょうね。なにせ全裸の自分と着衣の画家さんが狭い空間にいて平常心で雑談しているのですから。モネの「草上の昼食」という作品を思い出しました。思い切って全部脱いだので,画家さんからは,その点について褒められた記憶があります。
終わった後に気付いたのですが,あそこが少しぬれていました。透明なおつゆが糸を引いていました。画家さんには気付かれていなかったと思いますが,どうだったのですかね。やはり人前でヌードになり感じてしまっていたようです。
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