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2017年10月11日22:43

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【映画】「死霊のはらわた」と「惑星ソラリス」についての覚え書き

★こないだ観た「死霊のはらわた」、普通にスプラッターホラーとして楽しみ、80年代のホラーブームの火付け役として重要な映画らしい…と、レビューには書いたんだけど、借りてきたDVDの特典映像を観たら、それ以上にいろいろ歴史的意義のある映画だったことを知ったので、ちょっとメモ。

★「死霊のはらわた」はいわゆるインディーズ製作の映画で、最初から全米の映画館に配給されるような映画ではなかった。インディーズ専用の小さな映画館で他の半素人映画、ゲテモノ映画と一緒に上映され、それほどの反響もないまま、忘れ去られていく運命のはずだった。

★状況が変わるのは、この映画がビデオ販売されてから。この映画が作られた当時(1981年)はこうしたB級スプラッター映画は、映画館での上映よりもビデオ販売でマニアの間で流通していた。これらは「残虐ビデオ」と呼ばれ、半分病的なものとして、いわば裏ビデオ的に売られていた。そのマニアの間で評判になり、そこからメジャーになっていったのがこの「死霊のはらわた」だったそうだ。

★なるほど、今でいうと2ちゃんねるやなんJで流行していた内輪ネタがメジャー世界に出て行ったようなものか。しばらく前の「電車男」とか「〜ンゴ」みたいな経緯があるわけだ。

★そうするとこれがホラーマニアの間で「伝説の映画」として語り継がれるのも納得がいく。日本でも劇場公開よりも前にビデオが入ってきたようだ。そうすると、80年代にビデオでこの映画を私に見せてくれた先輩も慧眼だったわけだ(笑)。

★資料本に指摘してあった「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」との類似点も、そういう意味だったのか。「ブレア〜」は最初から「それ風」に仕組まれたプロモーションだったが、「死霊のはらわた」は実際にあんな感じの経緯で世に出たものだったんだなあ。

★ついでに、その次に観たタルコフスキーの「惑星ソラリス」についてもメモ。

★レビューでは「主人公クリスの孤独と救済の物語」と書いたが、よく考えるとクリスには妻に対する罪の意識があることをしっかり読み取っていなかった。彼の罪悪感を軸に考えれば、彼は贖罪のためにソラリスに残ったことになり、そうすると宗教的な読み取りも可能になってくる。そして原作者のスタニスワフ・レムがこの映画を「彼が作ったのは『罪と罰』だ」と批判したというのもよく分かる。…もっとも、彼の動機の中心が罪の意識であるようには描かれていなかったように思えるけど。いずれにしても「惑星ソラリス」は、いろんな観点から何度も反芻できるスルメ映画だということも再認識した。

★いや〜、この二本、ぺろっと観てぺろっとレビュー書いたけど、後から考えるといろんな見落とし、味わい残しがあるなあ。ワイの映画修行もまだまだだ。
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