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2017年10月05日22:33

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【仏教】 甲子の日

一昨日は、甲子(かっし)の日でした。
60日に1回まわってくる大黒様のご縁日です。

これで東京にある大黒様の護摩には、全部参加したかな?
他にもあるなら、知りたいですね。

本当は密教の教義では、護摩は明王、菩薩、如来には炊けるけど、天部尊では出来ないことになってるんですけどね。
でも、大黒天、毘沙門天、弁財天などの高位の天部尊は例外とされます。と言いますのも、高位の天部尊は、本当は悟りを開けるのだけど、衆生の現世利益をかなえるために、わざと煩悩を残し解脱していないと考えるからなんですね。

本来、天部尊は、護摩の代わりに円形の祭壇を設けて、そこで祈祷を行います。
大黒天にも、「大黒天神法」と呼ばれる修法があるのですが、東京でこれを行なっているお寺は無いのかな? もしあるのなら、ぜひ参加してみたい。


【上石神井不動尊 三宝寺 大黒堂】
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立派な大黒堂があります。
特筆すべきは、まずは和賛の合唱団(お婆さんばかりだけど)の歌から始まること。
錫杖と鐘を鳴らしながら詠うところは壮観。

もう一つは、珍しい四角の護摩壇を用いるところ。
護摩壇は、日本では9割近くが円形(息災)だと言われる。たまに四角(増益)があり、稀に蓮型(敬愛)があり、三角(調伏)は数えるほどしかないそうですが、ここは珍しい四角形なんですね。
まさに金運、出世に特化したお護摩です。

九条錫杖経と観音経が中核のお護摩。時間にして30分ほど。


【上野寛永寺の護国院】
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大黒様がご本尊の珍しいお寺。
ここのありがたいところは、多くの大黒様のお護摩が60日に1回の甲子の日にしか行なわないのに対し、毎月行なわれること。
また立派な舞台が境内にあって、お護摩の日にはお神楽が演奏される。

大黒様の背後にある大きなお像は、おそらく十一面観音さんじゃないかな。
十一面観音さんは、天部尊のオブザーバー的な存在ですからね。行者の間では、マイナーな天部尊で本地が分からない時は、十一面観音を拝めと言われるほど。
まあ、大黒様の本地はお不動さんなんですけどね。一説には、お不動さんが笑うと大黒様になるとも言われている。

九条錫杖経と観音経が中核のお護摩。時間にして30分ほど。
僕も般若心経とお不動さんの真言を唱えて参加。


【不忍池弁天島の三面大黒堂】
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弁天堂のすぐ横にある。
ここの弁天様のご祈祷の時、毘沙門天と大黒点の真言を唱えると言うから、三面大黒天の関係があるのかな? と思ったら、すぐ横にありました。
お坊さんの説明によると、秀吉の念持仏の三面大黒天さんと所縁があるらしい。
秘仏のようで、甲子の日も御厨子は閉めたままでした。

ここの護摩は太鼓が無い代わりに、修法はかなり本格的で、行者さんが大声で気合いをかけるように真言を唱えるので、最初はびっくりしました。
太鼓が無いぶん、在家信徒が大声で観音経、般若心経を唱えるので、なかなか賑やかです。
もちろん僕も大声で参加してきましたw

約1時間。狭いお堂なので、とにかく煙が凄い。気管の弱い方は、ちょっと覚悟したほうが良いかも。


【神楽坂の大円寺】
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おそらく東京で最も有名な大黒天を祀るお寺。
縁日の参拝客が桁外れに多い。コアな信徒も多く、自宅の大黒天像を持ってくる人も多かった。普通の大黒さん、立派な三面大黒天、現代アート風のお像まで色々。開眼を行なったお寺の宗派は問わないと言うので、次回の護摩には、家の三面大黒天さんをお連れしようかな?
縁日以外の日でも参拝者がおり、お守りも売れているところみると本当に有名なんだね。

背後に平安時代の十一面観音さんの像。中央に大黒様。面白いのは左右に毘沙門さんと弁天さんが祀られていること。
これは三面大黒天を意識しているらしく、聞く所によると一般公開していない秘仏の像があって、それが三面大黒天らしい。

お護摩も非常に本格的。
太鼓を鳴らし、観音経と般若心経、そして真言の詠唱が中核のご祈祷。
時間にして1時間。
終ると、ご住職が参加者たち一人一人に御加持して回る。非常に丁寧。
そして説法もきちんと行なわれる。


大黒様と聞くと、普通の人は、大きな袋を背負った打ち出の小槌を持った、ふくよかな福の神を連想すると思う。こちらは大国主命と習合した福の神の側面が強調されたお姿です。
けど、本来の密教の解釈では三面の憤怒相の神様なんだよね。
ヒンドゥー教のシヴァの化身であるマハーカーラが仏教に取り込まれたわけだから。
でも、現在の仏教教学では、基本的にお不動さんの化身とするのが定説なようです。

天部尊は大きくわけて、御法善神と福徳神があります。
御法善神とは、仏様や信徒を守る神様で、願い事をかなえるようなことは、あまりしません。仁王さん、四天王、十二神将、八部衆などがそうです。
福徳神は、まさに福の神で、願いごとをかなえてくれる神様です。大黒さまは福徳神の代表ですね。
(でも両者の境界は曖昧で、例えば毘沙門さんは、御法善神と福徳神の両方の性質をお持ちです。)

現在でも真言宗の祈祷によっては、憤怒相の大黒様を拝むこともあるそうです。
ただ、僕が回った範囲では、いずれも福の神のお姿の像でありました。


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