◆2日目
5:20/上高地バスターミナル(標高1505m)着(ここで最終日の荷物をデポ・登山届け
提出・朝食・装備と天気のチェック・トイレを済ます)⇒6:50/上高地を出発、登山
開始⇒7:50/明神(ここで8:10まで小休止)⇒8:55/徳沢(標高1562m/ここで9:10ま
で小休止)⇒11:00/横尾(標高1620m/ ここで11:00までお昼休憩)⇒11:25/岩小屋
跡⇒12:05/本谷橋(ここで12:30まで小休止)⇒Sガレの手前と後で小休止各10分⇒
14:35/涸沢⇒14:55/涸沢小屋(標高2350m)到着、チェックイン
続きました。
【岳人の聖地へ】
今回は4人パーティーですが、歩く速さが極端に違う(OG原さんと舞Tさんは極端に速くて自分とHGさんは極端に遅い)ので取り合えず次回の合流ポイントは横尾山荘としました。俊足2名は寄り道せずに横尾に直行。鈍足2名はおそらく晴天は今日だけだろう、せっかくなので河童橋の方に寄って行こう、と出だしからパーティーは2分割。但し4人中3人が無線を持っているので、連絡に関しては心配無し。舞Tさんには必ず無線持ってる人と2人以上で行動し、単独行動は絶対しないように念を押す。
それにしても良い天気だ。朝の清々しい(かなり寒いのですが)空気と相まってホントに気持ちが良い。これから天気が崩れるのだから、せめて快晴の今日だけは景色を楽しまないと。河童橋では記念撮影をしている登山客がかなり居る。自分たちも、と思った矢先、一斉に聞いたことのないアラームが鳴り出す。周囲にいる人全員だ。かなりの音量。地震速報ではない。スマホをチェックすると予想通りＪアラートだった。北朝鮮がミサイルを発射したとのこと。頑丈な建物に避難しろって書いてあるが、そんな場所ねえよ、ここ上高地だぜ？5分くらいするとまたアラームが。ミサイルは日本を飛び越えたとある。せかっくの山旅のスタートなのに気分台無しじゃねえか、黒電話頭のカリアゲデブめ！ホントやめてくれよ〜！
気を取り直して河童橋を出発。梓川はいつ見ても美しい。景色を楽しみながら写真など撮りつつ、ノンビリと歩を進める。程なくして明神に到着。スタートは4℃だった気温も知らぬ間に10℃を越えている。歩いて暑くなってきたので、ここでウェアリング調整。続いて徳澤に到着。トイレだけ済ませて直ぐに出発。10時ちょうど、横尾に到着。俊足2名と合流して横尾山荘で少し早めのお昼ご飯。毎度お約束の「スタミナ丼」をいただく。昼食含めここで1時間ほど大休止。やはり人が少ない。平日なのに加え台風予報なので、まあ予想通りではありますが。
11時丁度、横尾を出発。ここからも俊足2名と鈍足2名で別行動。次回の合流地点は涸沢小屋。横尾大橋から先は自分には未知のエリア。初めての場所に足を踏み入れるワクワク感とドキドキ感がたまらない！事前のリサーチ通り、橋を渡って暫くは平坦な道。左手には国内最大級の大岩壁「屏風岩」が！いやー、デカいねこれ！最大で1000mの高さがあるって話ですよ。屏風岩を眺めながらテクテク歩いて最初のポイント、岩小屋跡に到着。ここからだんだんと石が多くなり、傾斜も徐々に登り勾配となってくる。相変わらず屏風岩を眺めながら歩く。目を凝らすがクライマーが取り付いている様子はない。実際この岩を登る場合、どうやってアプローチするのか見当もつかない。しばらく森の中の道を進むとと開けた場所に出た。
知ってる、よく話に出て来る「本谷橋」だ！対岸に先行の舞TさんとOG原さんを発見。吊り橋を渡り合流、ちょうど小休止を切り上げて出発するところだった。場所を入れ替わってザックを降ろし、こちらも小休止に入る。川の水を触ってみる。冷たい！いやー、気持ちいい場所だな、ここ。ただ増水した時などはちとヤバいかも知れないね。水飲んで行動食を少し摘まんだら休憩終了。次に先行2名と会うのは本日のゴール、涸沢小屋だろう。これも事前の情報通り、本谷橋から先は本格的な登山道だ。一気に勾配がきつくなる。道も岩だらけになって歩きにくく進むスピードがグンと遅くなる。
右手に川を見ながらゆっくりと標高を上げて行く。思いの他キツいじゃねえか。しばらく進むと視界が開け、真っ白い場所に出た。小さな木の標識がいくつも立っている。
「落石多発！ここで休むと危険！」
「落石注意！休まずに進め！」
ここも知ってる！有名な場所だよね。ただ2ヶ月前の上高地⇔涸沢日帰りピストン企画に参加した弟君の写真とはだいぶ景色が違う。
これ↓
【'17.07.29 上高地−涸沢日帰り登山】
http://ilovewhisky.naturum.ne.jp/e2958506.html
何というか歩く場所がきれいに整地されている。2ヶ月前の写真はもっとガレガレだった。やっぱりまた崩れて整備しなおしたんだろうね。確かに上も下も一面のガレ。ここは素早く通過するに限る。トラバース完了した少し先で小休止を挟み更に登ると大きな岩がゴロゴロしている場所に出た。前方に吹き流しらしきヒラヒラした物が見える。更に進んで高度を上げると今度は茶色い人工物が見えてきた。涸沢ヒュッテだろうか。行った人達皆が
「涸沢はね、見えてからが遠いんですよ見えてからが！」
と口を揃えて言っているので、焦らずここでもう一回小休止。歩いて来た道を振り返る。屏風岩をグルっと巻いて結構高度を上げて来たんだなあ。横尾から涸沢って簡単に行けるイメージだったけど飛んでもない！しっかり登山ですよ、これ。休憩を切り上げ、最後の登りに取り掛かる。石の階段を上がって行くと「涸沢」と書いてある道標が出てきた。左が涸沢ヒュッテで右が涸沢小屋だ。右に進む。しばらく登ると視界が開けた。
「うわー！涸沢カールだ！スッゲー！」
初涸沢です。正確には涸沢カールね。いやー、スゴイねこれ、何て大きさだ！そして航空写真だと平地に見えるけど、全面かなりの傾斜です！本日の目的地、涸沢小屋まではまだかなり高度を上げないと行けない。石の階段をテクテクと歩く。左を見れば涸沢ヒュッテとテント場。見上げると前穂高岳。涸沢小屋の真後ろを見上げると涸沢槍が見える。そのすぐ左隣が涸沢岳か。15時5分前、涸沢小屋のテラスに到着。見えてからが通り、本当だった。最初に視認してからここまで実に20分もかかってしまった。テラスには先着のOG原さんと舞Tさんが既に角のテーブルを取ってビール飲んでる。早速荷物を置いて生ビールを買いに。涸沢小屋のロゴが入ったマムートのジョッキで生ビールをあおる。最高に旨い！
乾杯だけ済ましたらしばらく写真撮影タイム。晴天は今日だけかも知れない＆時間が経つと暗くなってしまうのでね。テラスから見える風景は予想とかなり違っていた。色々と大きすぎて遠近感がおかしくなる。涸沢ヒュッテと涸沢小屋がこんなに距離が離れていて、こんなに高さが違うとはね。ちょろっと気軽に行き来出来る距離と高さじゃない。テントは流石にこの予報だと少ないんやね。紅葉の時期だと1000張り以上って話ですからな。今回はホントまばらです。しかし大自然は凄いよねえ、何万年もかけて氷河に削られてこういう地形が出来たんだもの。
しばらく景色を堪能したら、席に戻って宴会開始。担ぎ上げた酒と食材を消費する。16時半過ぎ、だいぶ寒くなって来たのでチェックイン。予想通り全然宿泊客が居ない。当然余裕で一人布団1枚。前回欠席の2年前の縦走の時はシルバーウィークの5連休で、ホントに寝る場所が無かったって聞きましたからね。山小屋でゆったり休めるのは嬉しい限りです。夕食は2回目のターン。でも2回目は十数人しか居ないので、やはり宿泊客は少ないのだ。夕食後は売店側にある自炊スペースに移動してまた飲む。ホント飲んでばっかだよこのメンバー。まあ飲み屋の集まりですから当然なんですけどね。
で、気になる天気予報をチェック。予報は好転して「てんきとくらす」も「Mountain Forecast」も明日18時までは晴れ、と出てる。うお！マジか！ただ明日の夜からは降り始め、日曜日は大荒れの予報。北穂高小屋泊が確実に無いのは変わらずだが、この予報なら明日は十分北穂のピストンが可能、かつ、雨に濡れずに横尾まで降りてこれそうだ。この人出なら涸沢小屋連泊も問題ないだろうと思ったのだが、日曜が確実に雨の場合、明日は無理にでも横尾まで降りてしまった方が最終日は確実に楽になる。その日は横尾から上高地に戻るだけなので3時間もあれば十分。朝の出発を遅くすればその間に少しでも雨が弱まる可能性がある。涸沢小屋連泊は北穂ピストンに時間がかかり過ぎた場合や、途中で雨が降り出した場合の第二選択肢とし、明日は基本、横尾まで降りて横尾山荘泊とすることにした。
いずれにしても行けると思っていた予定がダメになってしまうより、ダメと思っていた予定が実行可能になる方が遥かに嬉しい。今回は初めての涸沢に行ければいいや、と半ば北穂登頂は諦めていたので、一気にテンションが上がってくる！明日は長丁場になる。呑気に酒飲んでる場合じゃねえ！明日に備えて就寝だ！と一人先に布団に入る。前日は夜行バスでほとんど睡眠を取らずに今日は上高地から涸沢まで上がって来ましたからね。夕方の酒もいい感じで回ってきて速攻で眠りの淵へ落っこちる。
んでもって朝。おはようございます。土曜日の朝ですよ。時間は4時半。昨日の夕食で食事は2回のターンに分かれることが判明しているので、当然5時からの1回目のターンに並ぶ。昨日は8時に就寝、8時間以上寝たのですこぶる体調が良い。疲労感は皆無だ。朝食を終え、一服しに外のテラスに出てみる。まだ日は登っていないが十分明るい。天気はどうか？涸沢カール上空は薄っすらと雲がかかっているが、常念山脈の方は青空が広がっている。風はほとんど無い。そして寒くもない。夜明けのこの時間帯はもっと冷え込むと思っていたので意外だ。天気予報をチェックしてみるが、時間が早いせいかまだ更新されておらず、昨夜の情報と変わらない。タバコ組の舞Tさん・OG原さんに続き、HGさんもテラスに出てきた。空を見上げる。みんな同じ反応だ。
「大丈夫そうですね、行けますよ、今日！」
とOG原さん。そうと決まれば早速支度に取り掛からねばならない。というのもここ涸沢小屋はチェックアウトした後、荷物をデポ出来るのだ(専用の荷物置き場がある)。今回はとにかくスピード勝負。北穂をピストンしてそのまま横尾まで降りなくてはならない。部屋に戻り、まずは歯磨きしたりコンタクト入れたりトイレ行ったり。サブザックを出して明らかに不要な酒類・つまみ類・折り畳み傘などを詰める。途中で煮炊きすることもないので、調理用の水を入れている1リッターのプラティパスやバーナーとガス缶・コッヘルなども置いて行くことにした。水はハイドレーションの500ccとスポドリのパウチ、行動食兼用のゼリー飲料のみ。行動食は自作のトレイルミックスを持って行く。そして忘れてはならないのがパスファインダー(チェストバッグ)をしまうこと。これは貴重品が入っているので、デポではなく背負うメインのザックにしまう。直ぐ使う物は取り出してザックのサイドポケットに分散収納。槍ヶ岳のピークアタック時もそうだったが、手を使う岩稜帯の通過で足元の視界が遮られるのは御法度。安全性に直結するので、注意せねばならない。
メインのザックを持ってみると相当軽くなった。やっぱ重量の内、水分の占める割合はデカいなあ。多分10Kgくらいかな？当然ダブルポールもデポしていくので、全備重量は12kg程度だろう。家出る時の全備重量が20.3kgもあったので半分近くになった。これは軽い！これなら岩稜帯でも軽快に動けそうだ。ヘルメットを被ってテラスに出る。出発前に記念撮影など。OG原さんより
「確認しますが、少しでも降り出したらアタックは中止して即下山ですからね！」
「あと、途中で天候が怪しくなっても下山しますよ〜！」
と出発前の確認が入る。
午前6時10分。予定より10分遅れで北穂高岳ピークアタックに出発です！
その��へ続く・・・。
■写真解説(日記の都合上、時系列はバラバラです)
�）榁�橋からしばらく登った所、噂の「休まず進め！」トラバース。上も下もガレだらけ。正に落石の通り道の様な場所。最近整地され直したっぽい感じでした。
�⌒疎�小屋へ向かう石段。小屋が見えてからホント遠かった。しかもかなりの距離を登らなくてはならない。正面真上のトンガリが「涸沢槍」です。
�Ｆ醂佑領農�に出てしばらく登った所。こんな感じの高度感のある岩場を延々と登って行きます。
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