9月10日
やっと仕事が落ち着いてきたと言うYAMACHANさんから大台の山に誘われた。
大台林道の千尋トンネルの少し下の花抜峠(土倉古道の道)から花抜峠〜加茂助谷ノ頭〜奥坊主〜、口坊主の往復というコースだ。
相方も行くことになった。
前日海山の道の駅で落ち合う。
早朝4時過ぎにYAMACHANさんのランクルで落石の多い林道を登山口に向かう。
5時20分に歩き出す。まだ薄暗い。
だが、花抜峠までの道へのとりつきでまず間違えた。
はっきりとした道があったのだが、10分ほどで消えてしまった。
地図を見ると明らかに違う。
戻ると、少し離れたところにロープが下がっていた。暗くてわからなかったのだ。
仕切り直しだ。
今日の大台ヶ原は霧がかかる天気予報だ。
尾鷲の町は晴れ予報だが・・・
しばらく歩くと雨が降ってきた。
カッパを着る。
私の晴れ女パワーも雨男二人と一緒ではかなわないらしい。
だが、すぐに止んだ。
まあ、たまにはカッパも着てあげないとねえ〜〜〜
花抜峠に着くと、尾鷲の海が眼下に見える。
その右に今日の目的地の奥坊主口坊主の鋭鋒も見える。
あそこまで行くのか・・・
花抜峠からは土倉古道が通っているが、そちらは遠回りだし山抜けしているらしいので、稜線をたどることにした。
YAMACHANさんと相方が地図とコンパスを見ながら現在位置を確認したり、進む方向を考えたりしている。
台高の山は地形が複雑だ。細かい支尾根がたくさんある。
YAMACHANさんも相方も読図が好きだ。
二人でああだこうだと話している。
私には手に負えない。
それでも地図を出して考える。
YAMACHANさんが地図で現在位置を教えてくれる。
なるほどと思う。
行きは加茂助谷ノ頭は巻くことにした。
すると・・・
樹林を抜けた所に素晴らしい苔の世界が広がっていた。
まるで苔の海だ。
ほとんど人が来ないところだからだろうか。
全く踏み荒らされずに美しい苔が広がっている。
「こんな開けたところ、日も当たるのにどうしてこんなに苔が生えているんだろう。」
するとさっとガスがかかってきた。
この大台特有のガスがこの苔の世界を育てたのだろう。
奥坊主、口坊主への稜線に入る。
だが、広い尾根はどこを進んだらいいのかわかりづらい。
なんども地図で確認しながら進む。
少し間違えて戻ったりもしたが、痩せ尾根になってくる。
これで間違いないだろう。
急坂を登ると奥坊主の山名版がかかっていた。
10時半だった。
YAMACHANさんは11時をリミットと考えていた。
ゆっくりしないで口坊主に向かう。
だが、下った所で方向がおかしいとなる。
あっちの尾根だろうとトラバースした先はなんと奥坊主の手前だった。
「今日は口坊主までは無理ですね。」
地図を見ると、口坊主までは急な下りに急な登りがあり11時までには着けそうにない。
今日はここまでにする。
その後加茂助谷ノ頭に登る。
加茂助谷ノ頭のあたりは苔が美しい。
この山は展望のいい岩場の与八高と展望のない加茂助谷ノ頭の双耳峰になっている。
与八高からは尾鷲の海が近い。
紅葉している葉があって驚いた。
加茂助谷ノ頭で今回唯一のスリーショット!!!
三人三様の表情が面白い。
すると、少し先に二頭の子熊がいる!!
一頭はすぐに左の方に逃げたが、一頭はそばの木に登った。
遠くから母熊らしい声が聞こえる。
子熊も呼応している。
我々は少し後ずさりし、大声を上げる。
やっと子熊が木から降りて逃げて行きほっとする。
少し様子を見てから進む。
するとYAMACHANさんが「間違えた!こっちに行くと沖見高に行ってしまう。」と言った。
確かに我々は東でななくて北に向かっていた。
道を間違えた結果子熊に遭遇してしまったのだ。
それからも何度も道を間違えた。
やはり皆疲れていたのだろう、行きほど地図で確認することをしなかった。
行きではスマホのGPSを使わなかったYAMACHANさんだが、疲れた下りではGPSで現在位置を確認していた。
無事花抜峠に着く。
ここまで来れば間違うことはないだろう。
ほっとする。
登山口に4時半に戻る。休憩を入れて11時間の山歩きだった。
下の川で顔を洗う。
安堵の笑顔になる。
北アルプスや人気の山のメジャールートでは地図やコンパスがなくても登山道や標識がしっかりしているので迷うことはほとんどないだろう。
だが、台高の山は複雑な地形の上に、人気の山以外は入る人がほんの少しだ。
たまにテープがあっても、それがどこに行くテープなのかはっきりしない。
読図力が試される山域だ。
今は多くの人はGPS頼りだが、今回のように地図とコンパスを駆使して歩くというのはこの山域ならではの山歩きの醍醐味だと思う。
充実した山歩きで私も相方も大満足だった。
誘っていただいたYAMACHANさんには感謝感謝です!
また今度口坊主、リベンジしましょう!
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