けものフレンズ８話「ぺぱぷらいぶ」の衝撃

「やあ行き倒れだよ。朝に再放送されているけものフレンズは見ているかな〜？今日は８話「ぺぱぷらいぶ」に迫るぞ。」


作品をまだ見ていないと言う人はネタバレになります
ご了承ください



７話でかばんちゃんは博士達から料理を認められ、副賞として人気アイドル「ＰＰＰ（ペパプ）のプラチナライブチケット」と謎の小箱をもらった！
急に具体的なカタカナ語が登場し面食らった人も多いはず
しかし、それ以上にフレンズ達がジャパリコインでもなく、ジャパリまんでもない、全く独自の形の対価を作り出している事実に驚かされる場面でもある


ジャパリコインは昔、人がいたころのジャパリパークで使われる通貨として使用されていた
ジャパリまんはかつてヒトが作ったラッキービーストが毎日製造し、フレンズ達に配っている総合栄養食である
ツチノコは今はジャパリまんが通貨として使われることもあると言っていたし、現にビーバーは博士にジャパリまん３か月分を支払って求めた物を手に入れた
しかし、これらのものはかつてあったものや、別の者が作り出したモノを借りて使っていただけにすぎない


ＰＰＰのライブ設営に協力したお礼として手渡されたチケットと言う紙はフレンズ達が新たに作り出した価値であり、対価である


博士は「騒々しいのはあまり好きではない」と言い、そのチケットをかばん達に譲った訳である
もしこれが物々交換ならわざわざ好まないものを要求したりはせず、好みのものを選んでもらって来るだろう
明らかにきちんとした文明と秩序が出来上がっている
今時のアニメはここまで話が綿密に作られているのである


そして８話



サーバルちゃんとかばんちゃんが新たな地に足を踏み入れると・・・



！？



たくさんの観客達が！



複数のボスが！
サーバルちゃんはボスが複数いることを知っていた！
ジャパリまんがたくさん入っているカゴを持っている
ご自由にどうぞということか



サーバルちゃんにとってジャパリまんは大好物
しかし、取ったのは自分とかばんちゃんの分の２つだけだった
ここでわかる意外なサーバルちゃんの文明的一面



アイドルユニットＰＰＰ（ペパプ）がステージ上に現れると観客達が歓声をあげた！
しかもアイドルの追っかけまでいる！


これらのことがたった数分でラッシュで起こるものだから初見の人はまず頭が混乱するはずだ
子どもといっしょに見ている親御さんは子どもに説明を求められてもまず上手に説明出来ないだろう


フレンズ達はヒトと似てはいるがヒトではない
「どちらかというとヒトの下位互換」と思い込んではいなかったか
脳の片隅ではそう思っている人もいたのではないか
もちろん、フレンズ達は言葉を話すし、高度な知能もある、それに加えてもとの動物の時の固有能力まで持つ
どう見てもヒトより上位なのだが、かばんちゃんが行く先々でフレンズ達の悩みを知恵を授けて解決する
そういうフォーマットに落とし込んだ話のアニメだと思い込んでいた人達が多かったはずだ
そう言った思い込みを根こそぎ破壊する話がこの８話である
断じて箸休め回とかではない
ここからは今までの思い込みを切り替えてねという回なのだ


５話を良く見ていればこういう話に切り替わることを見抜くことは可能だ
博士からジャパリまん３か月分を要求されたと言うビーバーの台詞
これは単純な物々交換ではなく、対価と価値が発生していることを示唆している
「博士ってのはかなりアレな性格だな」と思ってしまうとここまで思い至ることは難しい


なぜアイドルアニメの真似事のような回をと言う声も当時多かった
そう、これは真似事
私達から見れば
しかし、当のフレンズ達はそんなこと微塵も思っていないだろう


ヒトが遺したモノに想いを馳せるものは居つつも、ヒトがどのような存在だったのかと言うのは大抵のフレンズ達は知らない
ヒトを知らないフレンズ達がヒトらしい生活をしている
この事実を短時間で受け入れるのが難しいだけなのだ


どちらかと言えばこの８話はギリシャ時代に似ている
だが、奴隷はいない
ラッキービーストは自分のことを奴隷とは認識していない


フレンズ達は楽しんだり、目標に向かって頑張ったり、ぶつかりあったり、挫折したり、励まされたりとまったくヒトと変わらない営みをしていた
ヒトのことを知らないはずのフレンズ達からかばんちゃんはヒトらしさを無意識に学んだ回だったのだ
しかし、ヒトのように見えたフレンズ達はやはりもとは動物だったと、ライブ後のＰＰＰ達の会話を聞いて改めて視聴者は認識するのである
なぜあんなに過酷な習性にしたがって当時生きていたのだろうと彼女らは語り合っていた


８話はかばんちゃんは知恵を授ける神様ではなく、ただの登場人物に過ぎないことを知らされる回でもある
主に解決したのはサーバルちゃんだ
かばんちゃんは安心して一歩引いた傍観者になり、フレンズ達の生きざまを見たのである


フレンズ達は何世代か変わっていることも明かされた
ヒトがこのパークからいなくなってかなりの時が経っていることもわかる回だ
ジャパリパークという世界はヒトがいなくても成立しているフレンズ達の世界になっていたのである