mixiユーザー(id:19500344)

2017年08月07日11:48

1086 view

静かな白山から素敵な出会いが

人気の白山、多くの人は別当出合から室堂、御前ヶ峰あたりに行く。
そのあたりは夏はいつも人が多い。
だが、北部の道を歩く人は少ない。
去年の秋に歩いた加賀禅定道も静かだった。

岩間道は今は通行止めだが、楽々新道が途中から岩間道に合流する。
途中には小桜平避難小屋がある。
中宮道は一番長い。室堂まで20キロだ。
途中にはゴマ平避難小屋がある。
今回はこの二つの避難小屋に泊まって、楽々新道から大汝峰に登り、中宮道を下りるというコースにした。
人の多い室堂や御前ヶ峰は通らない。

レコが少なく、不安な点は北部白山管理人の乾さんにメールで問い合わせた。
丁寧なお返事をいただいていた。
彼は中宮温泉のくろゆり荘の支配人もしている。
下山したら挨拶に行こう。そう思っていた。

8月3日

歩き始めの林道はアブが多い。
虫よけをスプレーできない背中を狙ってくる。手も届かない。
汗はしたたり落ちる。
この時期に標高800mから歩きだすのはやっぱり修行だ。

やがてブナや針葉樹の大木が出てくる。
ほっとする。
大きな木は安らぎを与えてくれる。でも暑い。

フォト

フォト

フォト

フォト

フォト


小さな湿原が現れると今日の目的地小桜平避難小屋は近い。

フォト

フォト


まだ桧の香りがする避難小屋には誰もいなかった。

フォト


やがて男女の二人連れ、単独の男性が登って来た。
今夜は4人の避難小屋だ。
二人連れの男性は「ねじりはちまきおじさん」という名前のブログを書いているという、このあたりの山に精通する方だった。
いろいろな便利グッズも持っていて披露してくれる。

パンパン!
ピストルを鳴らす。
100均で買ったおもちゃのピストルだ。
これが熊や猿避けにいいと言う。
「カーブを曲がったところとか休憩の前に鳴らすといいですよ。休憩中は鈴も鳴らないですからね。」

夕焼け空がきれいだった。
絵本の挿絵のような雲が面白い。
明日は晴れるだろうか。

フォト

フォト


8月4日

4時15分に出発する。
どこかで御来光を見ることができるだろうか。
視界の効かない道を歩く。
するとぽっかり東側の木がない場所に出た。4時55分、そろそろ日の出の時刻だ。
日の出前の空が美しい。
やがて太陽が昇って来る。
青空に白とピンクの雲が美しい。

フォト

フォト

フォト

フォト


樹林帯を抜ける。
「この先火口域から2km圏内」の立札がある。
地獄尾根だ。
私が今回見たかったのがこの地獄尾根とそれに続く火の御子峰。
名前がすごい!
一体どんな尾根なのかずっと気になっていた。

フォト

フォト

フォト


ここは火口なのだ。
赤茶けた切り立った尾根が不気味だ。

七倉の辻に着く。

フォト


大汝峰に登る前に四塚山に行く。
去年の秋加賀禅定道を歩いたときは四塚山までだった。
ここから四塚山まで歩けば道が繋がる。
去年、七倉の辻まで来ていれば良かったなと思う。往復30分ほどなのだ。

だが・・・

そこに広がっていたのはおとぎの国の世界だった。

フォト


真っ青な空の下の石が積まれた四塚の周りには小さなチングルマの島がいくつも点在していた。
離れたところにはハクサンコザクラの絨毯も見える。
四塚山まで来て良かった!去年七倉の辻まで歩かなくて良かった!!

フォト

フォト

フォト


大汝峰に向かう。
7〜8人のグループが休んでいた。
その中のリーダー的な方が声をかけて来た。
「どちらから登ったんですか?」
「楽々新道の小桜平避難小屋からです。今日は中宮道のゴマ平避難小屋まで行きます。」
「すごいですね。」
それからいろいろ教えてくださった。
「このあたりに詳しいんですね。」と言うと笑っていた。

大汝峰に着く。
誰もいない。
多くの人は御前ヶ峰までしか行かない。
しばらくすると何人か登って来た。
今朝はガスで御来光は拝めなかったらしい。
尾根の途中で御来光を見られた私はラッキーだ。

フォト


中宮道を下る。
初めは石がゴロゴロした急な下りで歩きにくい。

ヒルバオ雪渓に着く。ガスがかかって先がわからない。心配していた通りだ。
だが、今日のものらしいトレースがしっかりとあった。
それを追っていく。
事前に見ていたレコにあった大岩がある。あれを目指せばいい。

フォト

フォト


登山道に出る。
ハクサンコザクラが出迎えてくれた。

フォト


お花松原に着く。数人の人がいた。

フォト

フォト

フォト

フォト


北弥陀ヶ原に着く。池塘がかわいい。

フォト

フォト

フォト

フォト


ここにも人がいた。
だが、みんな室堂からの往復だ。ここから中宮道を下る人はいなかった。

少し行くと、ニッコウキスゲの絨毯が出てきた。

フォト

フォト

フォト

フォト


これは予想外だった。
クロユリやハクサンコザクラは期待していたが、ニッコウキスゲは期待していなかった。ましてこんな群落があるとは思ってもみなかった。
ここまでくる人は少ないだろうな。

あっ!
地獄尾根が見える。
朝は反対側から見た。
そう、今回はこの地獄尾根を両側から見たかったんだ。

フォト

フォト


まだかな、そろそろかな・・・

小屋が現れた。
今夜の宿ゴマ平避難小屋に着く。

フォト


中には一組のご夫婦がいた。
加賀禅定道を登って、奥長倉避難小屋、室堂と二泊して来たそうだ。今夜は3人だけだった。
私が話しかけるといろいろ答えてくれたが、彼らから私に話しかけるということはほとんどなかった。
一人で持ってきたウィスキーを飲んでシュラフに入った。

8月5日

5時に小屋を出る。
中宮温泉まで5時間20分になっているが、下りが遅い私はもっと時間がかかるだろう。
お昼には着きたい。

今日は一番天気が良さそうだ。
地獄尾根の向こうに白山の主峰たちが見える。
こんな白山を見られるのは中宮道だけだろう。

フォト

フォト


登った楽々新道から岩間道の尾根もよく見える。
登った道が見えるのは嬉しい。

フォト


2時間20分で途中のシナノキ平避難小屋に着くはずだが、なかなか着かない。
道は1本だし、見落とすわけはないし・・・
と思っていたら3時間近くかかってやっと小屋に着く。
滑りやすい道でずいぶん時間がかかってしまった。
まあ、急ぐことはないが・・・

中宮道も大きな木が素晴らしかった。
こんな豪雪地帯で頑張っている。
パワーがあふれている。

フォト

フォト

フォト

フォト


木々の間に赤い屋根が見える。

フォト


中宮温泉だ!

それからまだけっこうかかったが無事に中宮温泉に着く。
まだゴールではない。
車を止めた中宮レストハウスまで車道歩きが残っている。

車に乗ると、中宮温泉に戻る。
くろゆり荘に入る。
「乾さんはいらっしゃいますか?」
「乾は今白山から下りて白峰にいます。もうすぐ戻ると思います。」

温泉に入ってランチを食べる。
あっ、まずはノンアルビール

フォト

フォト


ロビーが賑やかになった。
その中の一人がテーブルの所に来た。
「乾です。・・・あれっ?昨日お会いしましたよね。」
何と、乾さんは昨日大汝峰の登りでお話した人だったのだ。

ランチを終えて帰ろうとすると、乾さんが「ちょっといいですか?」と言う。
「彼らは撮影で来ていたんです。あのNHKの「山女日記」です。工藤夕貴さんもいますよ。で、みんなあなたのことをすごい体力のある女性だって感心していたんですよ。みんなに紹介しますよ。」
これにはびっくり。私はあの時工藤夕貴さんには気付かなかったのだ。

私はランチは終わっていたが、結局彼らのランチに付き合っていろいろおしゃべりして楽しいひと時を過ごすことができた。
乾さんは気さくで気がきく素敵な方だった。

車に乗り込んだ工藤さんに手を振る。
「またどこかの山で会いましょうね。」
そんな日が来るかな。

下山後の眠気が取れてハイテンションで運転する。
楽しい人との語らいは山の思い出を一層豊かなものにしてくれる。

ありがとうございました。

フォト


17 33

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する