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2017年08月05日15:09

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「ありふれた悪事」「ありがとう、ト二・エルドマン」「タレンタイム 優しい歌」「シーリーン」「ジョン・ウィック:チャプター2」「ライフ」

「ありふれた悪事」 ’17 (韓)

監督:キム・ボンハン

福岡アジア映画祭が日本初公開となる
1987年6月民主抗争を背景とした社会派エンタテインメント。
連続殺人事件を捜査する刑事が主役だが
知的障害者冤罪事件やパク・ジョンチョル拷問死事件を翻案し
国家安全企画部の謀略を面白く描くもので、
娯楽に資するための韓国映画のサービス精神には毎回驚かされる。
日本映画ではこの手のテーマではこんなエンタメにはならないだろう。
だから非常に興味深く抜群に面白いけれども
ラストの民主化運動の高揚を顕彰するような構成は
え?そんな着地なの?…という印象。
解かるし悪くはないが1987年の市民の意思の波動で〆ると
何か映画全体の印象が変わってしまうような…。
来福していた監督によると
この時代がテーマというだけで出資を得ることがままならず
製作は難航したとのこと。日本公開決定済。
ソウルオリンピック前年の話。興味がある方は是非!





「ありがとう、トニ・エルドマン」 ’16 (独・墺)

監督・脚本:マーレン・アデ
m:ペーター・ジモニシェック
f :サンドラ・ヒュラー

グローバル経済社会の先端で働く娘と
宅配のお兄ちゃんさえからかって遊びたいイタズラ大好きオヤジの父親
―のお話なんだけど、これがめっぽう面白い♪
独・墺ドイツ語圏映画は二人の関係性が
アメリカ映画のように解かりやすくベタベタしていなくて微妙。
その“微妙”にトニ・エルドマンとなった父ヴィンフリートの
寒いギャグが寒いままに挿入され続けるものだから、
娘イネスのいたたまれない気持ちに激しく同調しながら
父の介入が晒して行く経済アニマル(♀)としてのイネスの日常の
疲労と疲労と疲労と孤独に
深くふかくため息をついてしまうのだ。
可笑しくも潔く素っ裸になったイネスが真新しく再生する…
などという感動も用意されていなくて
父娘はそれなりに距離を縮めはするものの
“現在を生きる”経済の徒であるイネスは変わらず
ただ“お前は人間か?”と父に問われて
ヘンな帽子に出っ歯の入れ歯でにっこりほほ笑むくらいには
人生を楽に覚悟できるようになった…という語りもドイツ語圏映画らしく、
ここにも激しく同調してしまう。大人だなぁ…(笑)。
大人テイストの上等な映画。佳作。





「タレンタイム 優しい歌」 ’09 (マレーシア)

監督・脚本:ヤスミン・アフマド

09年のアジアフォーカスで上映されたが観逃がしていた作品。
この年はファルハディ「アバウト・エリ」やチャン・リュル「イリ」
ダン・ニャット・ミン「きのう、平和の夢を見た」が上映されていて
優しい恋愛もの―みたいな印象の本作まで手が回っていなかったみたい。
ところがこの“優しい”に非常に意味がある作品だったのだ。
ヤスミン・アフマドは多民族国家マレーシアの市井の人々を
寛容や受容をもって優しく見つめ、
民族や宗教や階層によらず人と人が出逢い解かり合おうとすることを
自然な営みとしてドラマにしようとしていて、
ほんとうに“優しい”映画になっているのだった。





「シーリーン」 ’08 (イラン・仏)

監督:アッバス・キアロスタミ

キアロスタミの劇場未公開作品。
劇場で12世紀の叙事詩「ホスローとシーリーン」の映画が上映されている。
それを見ている100人もの女優たちの表情をひたすらに撮り続けた作品。
面白い!
シーリーンの物語を知らなかったが
ただ音声だけで聴く王に愛された皇女の不幸の物語は
男社会に抑圧され続ける女性の物語として
観客たる女優たちを震わせているように眺められ、
彼女らの大きく見開く瞳、息を呑む口元、眉を寄せる額…
そういう諸々が12世紀の叙事詩の姫君ではなく
女優たちが経験し体感している現今の“女性なるもの”を浮上させるわけで、
愛ではなく男社会というシステムにこそ殺されるような
シーリーンの最期に泣くその涙を
キアロスタミは映しているのだった。





「ジョン・ウィック:チャプター2」 ’17 (米)

監督:チャド・スタエルスキ
m:キアヌ・リーヴス

前作がえらいカッコいい劇画だったので期待した2作目は
さらにファンタジー度が増した盛り盛りの内容で、
もはや劇画ですらないマンガ度を愉しむ映画になっていた(笑)。
だから至近距離でのガンアクションを堪能すればよい映画で、
あんなバンバン撃ち合って一般人には一人も犠牲者が出ない設定に
何だかニコニコしてしまうのだった(笑)。
でも天下一武道会と一緒でこの展開では
どんどん過剰になって行くしかないんだろうね…。





「ライフ」 ’17 (米)

監督:ダニエル・エスピノーザ
m:ジェイク・ギレンホール,ライアン・レイノルズ,真田広之
f :レベッカ・ファーガソン

きっと誰かがどこかで書いていると思うけれど
「エイリアン」+「ゼロ・グラビティ」な映画だったよ(笑)。
火星の生命体「カルヴィン」の獰猛も
リアルな宇宙ステーションでの活動も重要ではなく、、
実はそれらが合体している胡散臭さがこの作品の魅力なんじゃなかろうか?
お手軽で怪しいB級の魅力というか…ね。
だからそこそこ楽しめる。
TV放映があったら“面白いから観なよ”って薦めるような(笑)。
意外な人が最初の犠牲者になります…。
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