【質問 kérdés】
「ちょっとお花を摘みに行っただけで共謀罪で逮捕」ということも有り得るの?
【回答 válasz】
さすがにそれは無い.
単なるデマ.
中央大学名誉教授の椎橋隆幸弁護士によれば,共謀罪が成立するには
1) 組織的犯罪集団による犯罪の計画
2) 実行準備行為
の2つが必要となる.
そして「組織的犯罪集団」とは,「重大な犯罪の実行を組織結合の目的とした団体」と定義づけられている.
要するに,犯罪を起こすこと自体が目的となっている団体に属していなければ,そもそも逮捕されない.
普通の企業の中の一人の会社員が犯罪準備行為を行ったからといって,その会社の全員が逮捕されるわけではない.
企業の目的は営利であって犯罪ではないからだ.
ただ,私見だが,テロ組織を「組織的犯罪集団」と認定するのは,そう簡単ではないと思う.
世の中には,隠れ蓑として営利企業やNPOを装う集団も少なくないからだ.
たとえばハマスやヒズボラは,共に米国からテロ組織認定を受けているが,テロだけを行っているわけではなく,パレスティナやレバノンで福祉事業も行なっている.
ハマスがパレスティナで支持されたのは,テロ組織だからではなく,福祉組織だからだ.
日本でも,NGOや市民団体に潜り込んで,しまいにその組織を乗っ取ってしまう,いわゆる「加入戦術」を極左テロリストは多用してきた.
そういう組織を「犯罪を起こすこと自体が目的となっている」と立証するのは,非常に難しいのではないかと思われる.
ちょっとでも犯罪以外の活動実績を何か作っていたら,「組織的犯罪集団」と立証するのは殆ど不可能なんじゃないかな?
まあ,そのへんは判例の積み重ねがなされるまでは,よう知らんけど.
想像するに,共謀罪の現実的な使い方は「引きネタ」,とりあえず共謀罪容疑で逮捕拘留しておいて,取り調べの過程でもっと具体的な犯罪容疑に切り替えるような形になるのではないかな?
オウム事件の時は,他にやりようがなくて,カッターナイフを持っていただけで銃刀法違反で逮捕したり,偽名を使っていたということで旅館業法で逮捕したりしたが,今後はこういう無茶の代わりに共謀罪が使えるようになるわけ.
まあ,だからこの法律が全くテロ対策に役立たないことにはならないのだけれど,本質的なテロ対策とは言えない気がするのは当方だけだろうか?
【参考ページ Referencia Oldal】
読売新聞,2017.6.16付
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