人の外見とは？　優しい看護師さんに癒されました　☆

入院して考えたことの続きです。

一番、感じがよかった看護師さんは、いわゆる派手なタイプの若い女性でした。

看護師さんという職業は、倫理性がむき出しの形で出る職業です。
感じがいい、優しい…は、この職には本質的なこと。偏屈でもいい仕事をすればいい、職人さんとはわけが違います。
相手を傷つけないように正しいことをいうなどのことは、大変ですし、中には煽るような言葉遣いをする人もいます。
まあ、教員と同様、言葉遣いに問題があっても、直ぐクビだというわけには行かないでしょう。
もっとも、看護師さんの仕事は、患者とのコミュニケーションだけではないから、言葉が不自由な老人に、「だから、いいか悪いか聞いているの」「いいか悪いか。××さんが決めるの」「決めるのは、××さんなの」と、煽るように言った嫌な看護師も、何らかの長所があるのかもしれません。

向き不向きの問題もあります。
私が一時行っていた、ビアバーのマスターがそうです。
相手に非がある不愉快なことは特になかったのですが、言い方を代えると、「存在自体が非である」という人です。
適職は、おまわりさんか、中学の生活指導主任の体育の先生というタイプの人。
クラフトビールも摘みも絶品でしたが、行かなくなりました。
「客をリラックスさせるキャラでないのに、バーの看板を掲げるな」と。ちょっと言いすぎたかもしれません。でも、これは、本当。

だが、こうした問題は、明らかに努力もありますね。
その人のキャラとして不向きな職に就いて頑張っている同級生をみると、努力は尊いと思います。
だから、感じがよかった看護師さんは、向いているという以上に、きちっと努力された有能な方だと思います。

少し茶髪気味の、ヒマワリの花が咲いたような、私服の彼女は、どういう職にみえるでしょうか。
キャバ嬢？　風俗？　ＡＶ？
そこまで考えて、重大なことに気が付きました。
見る人が見たら、決してそうは見えない。
堅気の気の良い娘さんに見えるということです。

私の指導教授は、革ジャンにリーゼントでした。一見すると、元暴走族のようだと言われていました。もちろん、院生や教授の誰もが下品な外見の人とはちっとも思っていません。愚かな人が見たら、そう見えるというだけです。

そう考えると、ある条件がある場合、
外見と内面は無関係どころか、逆転するといえそうです。
その条件とは何だろうか。
あるいは、どうしてそういうことが考えられそうなのか。。
オーバーに言うと一日考え続けました。

出した結論は
「人をみる目という知性がない人の判断と、知性がある人とのギャップがある人こそ、有能な人だ。」
というものです。

考えてみたら、これは内容的に、トートロジー（同語反復）であり、循環論法です。
知性がない人は、価値が分からない。だから、評価を低く見積もる。当たり前の話です。

それならば、と突っ込んで考えます。
では、
男なら、短髪にダークスーツ、女は黒いセミロングに清楚なワンピースなどと、
誰にも受けるように、大事を取って仮面をかぶる人はどうか。
私も、服こそカジュアルがほとんどですが、どちらかというとこちらのタイプ。
だから、わかりますが、これには三つのタイプがいます。
一つは、完全に戦略である場合。
一つは、もともとそれが好みである場合

もう一つは、一番、多いタイプでしょうが、それしかできない場合。
教科書にも載っている、森鴎外　『舞姫』は、

…彼人々は余が倶に麦酒の杯をも挙げず、球突きの棒をも取らぬを、かたくななる心と慾を制する力とに帰して、且は嘲り且は嫉みたりけん。されどこは余を知らねばなり。嗚呼、此故よしは、我身だに知らざりしを、怎でか人に知らるべき。わが心はかの合歓といふ木の葉に似て、物触れば縮みて避けんとす。我心は処女に似たり。余が幼き頃より長者の教を守りて学の道をたどりしも、仕の道をあゆみしも、皆な勇気ありて能くしたるにあらず、耐忍勉強の力と見えしも、皆な自ら欺き、人をさへ欺きつるにて、人のたどらせたる道を、唯一条にたどりしのみ。余所に心の乱れざりしは、外物を棄てゝ顧みぬ程の勇気ありしにあらず、唯外物に恐れて自らわが手足を縛せしのみ。

（…あの人たちは、私が、ともにビールを乾杯したりせず、ビリヤードのキユーさえも取らないことを、堅物であり 自制心があるためだと結論づけて、あざけったり、ねたんだりしただろう。しかし、これは私を知らないからである。 ああ、この原因や理由というものは自分自身さえ把握していなかったものだから、どうして人にわかるはずがあろうか。私の心はあの合歓という木の葉に似て、 物が触れると縮んで避けようとする。私の心は処女に似ていた。私が幼いころから目上の教えを守り、学問の道に進み、官吏の道を歩んだのも、みな勇気があってできたことではない。他人がたどられた道を、ただバカ正直にたどっただけである。ただ外界の物に恐れて、みずから自分の手足を縛っただけだ。）
と述べています。

このタイプの人は、多いはずです。
まあ、その結果窮屈な思いをしても、その人の自業自得、勝手ですが、
人と触れる職の場合は、まずいでしょうね。
このタイプには、いい先生は、絶対と言っていいほどいません。

また、
だから、鷗外は、エリス（のモデル）を弊履のように捨てて、
官吏として、俗吏になったのでしょうし、

だから、冷たい看護師さんは、一見まともそうな黒髪、ナチュラルメイクの人でした。