mixiユーザー(id:21183267)

2017年06月30日00:02

38 view

フランスの毒矢

先日、閣議決定された骨太の方針2017には、
日本経済の喉元に刺さった毒矢とでもいうべき
「プライマリーバランス黒字化目標」が残ってしまいました。

もっとも、PB黒字化目標は、内閣が判断すれば、抜き取ることができます。

閣議決定は、確かに重いです。

とはいえ、「閣議」決定であるため、内閣が変更することは可能です。

例えば、PB黒字化が「憲法」で定められていたら? 
あるいは、国際協定で決まっていたら?

毒矢を抜き取ることは、限りなく不可能に近づいてしまうでしょう。
喉に毒矢を突き刺し、ガムテープで抜けないように固定するようなものです。

実際、ドイツは財政均衡主義を「憲法」で定めています。

ドイツ基本法(憲法)には、
「連邦および州の財政は、原則として、借入による収入なしに、これを均衡させなければならない」
と、書かれています。

ドイツでは、赤字国債を発行することは(原則)禁止なのです。

また、EU(欧州連合)のマーストリヒト条約では、
単年度の財政赤字を対GDP比で3%以内に収めなければならない「ルール」になっています。

国際法は国内法の上に立つため、マーストリヒト条約を批准したEU加盟国は、
国内状況がどうであれ、財政赤字を対GDP比3%以内とすることを「要請」されてしまうのです。

先日、フランス中央銀行は、2017年のフランスの財政赤字対GDP比が
3.1%になるとの予想を発表しました。

それを受け、欧州委員会のモスコビシ委員はマクロン大統領に対し、
17年中に財政赤字削減目標を達成するよう要請。

モスコビシ委員は、
「フランスの財政赤字は今後、対GDP比で3%を超えてはならない」
と、発言しました。

露骨な内政干渉ですが、欧州連合とは「そういう国際協定」であるため、許されます。

EUからの「要請」を受け、マクロン政権は公共投資を削減し、
財政赤字を対GDP比3%以内に収めると、ルメール経済大臣が発表しました。

日本でも、財政均衡を「憲法化」しようとする動きがみられます。

憲法にせよ、国際協定にせよ、財政均衡主義が固定化されてしまった場合、
日本のデフレ超長期化と「小国化」は決定的になってしまうでしょう。

団栗の背比べと言われればそれまでですが、日本の状況は、
喉元の毒矢を強力なガムテープで固定化されてしまったフランスよりは「まだマシ」なのです。



0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年06月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 

最近の日記

もっと見る