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2017年06月26日22:49

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孤愁と憂愁・・・

齢(よわい)人生の半ばを越えたと思う辺りから,この曲を聴く機会が増えたと思う・・・。
既にして10代の頃から,この滋味溢れる作曲家の外れの無い楽曲には魅せられてきたし,人生の秋を感じさせる曲想にも虜にされてきた。
晩年の楽曲(クラリネット五重奏曲とか6つの小品とか・・・)を好んだのは多分若き日の衒いだったのだろうけれども,歳ばかり喰った昨今は,やはり季節を問わず,この作曲家の作品をCD棚から引っ張り出すことが多い。
何せ,私が持っているCDでは群を抜いて枚数の多い作曲であるし・・・。

交響曲第4番ホ短調op.98(J・ブラームス 1833-97独1884)。
孤愁を感じさせる名曲中の名曲であるし,心に迷いや深い悩みがある時は,それらと同調して深い憂いの中に沈潜していくような曲でもあり,哀歌とも云うべき第一楽章など,作曲者の愛したジプシーの音楽の如く,ラプソディックな味わいに満ち,第2楽章の古代フリギア旋法にむ採譜したという冒頭の旋律など,遠き若き日の思い出を懐古するが如き懐旧の念と,年老いたが故の焦燥の念が交錯する・・・。
途方もない絶叫や嫋々たる旋律の美よりも,古典的様式感への回帰と,かっちりとした様式感が顕著で,厳しい自己抑制の中からも,そうなり切れぬ豊かな情感が滲み出てくる辺りが,真骨頂だろう・・・。

インドに生まれて,ウィーンで学び,アメリカで大成したズビン・メータ(1936ボンベイ−)が,米国の名門,ニューヨークフィルを指揮して,情感豊かな演奏を聴かせる。
私が10代の頃の録音だが,当時の評論家連中は,この演奏をぼろくそにこき下ろした。
音楽とは如何にも主観に訴えるものであり,頭の固い独墺演奏家至上主義(俺もか?)の言っていたことが,当てにならないということを立証することになった(今世紀に入って,30年以上買っていた音楽雑誌を一切買わなくなった)。
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