ビットコインとは、仮想通貨というよりは「暗号通貨」です。
公開鍵と秘密鍵で暗号化した「取引履歴」こそが、
ビットコインなのです(ものすごく簡略化して書くと)。
取引履歴の集合体をブロックと呼びますが、
ブロックとブロックのつながりを示すハッシュを探索する
(マイニングと呼びます)ことで、新たなビットコインが発行されます。
さて、ビットコインは利用者に匿名性があり、
かつシニョリッジ(通貨発行益)が明確という点で、
実は政府発行の硬貨(コイン)に似ています。
100円玉などの硬貨がデジタルで発行され、かつ単なるデジタルデータであるため、
グローバルで利用可能という点がビットコインの特徴です。
個人的には、ビットコインの国際決済における優位性は認めるところです。
例えば、日本円からユーロなど、ドル以外の通貨で銀行振り込みをしようとすると、
複数の銀行を経由せざるを得ず(必ずドル経由になるため)、手数料が高額になります。
振り込んだ金額よりも、手数料が高くなるというケースは、
普通にあり得るのです。
ビットコインであれば、「日本において、円預金でビットコインを買い、
指定金額分を振り込む」「欧州でビットコインを受け取り、ユーロに両替する」と、
おカネの移動がスムーズになり、手数料もほとんどかかりません。
とはいえ、ビットコインが「国内決算」において主力になるかといえば、
これは難しいと思います。
ビットコインを「支払い」として受け取ってくれる商店は、まだまだ少数派です。
おカネとは、結局は「モノやサービス」という生産物に交換しうる「譲渡性」が高くなければ、存続は難しいのです。
加えて、税金の問題があります。
我々が現金紙幣、硬貨、銀行預金というおカネを使わざるを得ないのは、
政府が税金の支払いの際に、前記三つでしか受け取ってくれないためです。
また、ビットコインはその「国際性」故に、特定の思惑に振り回されがちです。
何の話をしているかといえば、中国です。
中国共産党が人民元から外貨への両替を制限する、資本移動の規制を強化しているため、
中国の資産家がビットコインを大量購入しています。
結果、ビットコインの円建て価格は2016年夏の1BCT500ドルから、
現在は何と2500ドルと、五倍に高騰している状況なのです。
今後、中国共産党が外貨への両替規制を緩和すると、
現在のビットコイン・バブルは崩壊することになるでしょう。
上記の通り、ビットコインは「特定の用途では有益だが、
社会全体で浸透するおカネとしては不安定すぎる」というのが実情なのです。
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