mixiユーザー(id:21183267)

2017年06月17日01:03

175 view

デフレ型経済成長

GDP(国内総生産)とは優れた統計であると
同時に、厄介なポイントを幾つか抱えています。

まずは、金額で見たGDP、つまりは名目
GDPです。名目GDPは金額で見るため、
物価の影響を露骨に受けてしまいます。

● 付加価値100円の商品が、100個売れ、名目GDPは10000円

上記から、商品単価(厳密には付加価値)が
150円に値上がりしたとしましょう。すると、

● 付加価値150円の商品が、100個売れ、名目GDPは15000円。

生産量(=販売量)は変わらないにも関わらず、
物価が1.5倍になるだけで、名目GDPが
5000円、増えてしまったわけです。

実際のモノやサービスの生産「量」の変化は、
名目GDP成長率だけでは判断できません。
だからと言って、モノはともかく「サービスの
生産量」を定量的に統計することも不可能です。

というわけで、物価を定点観測し、
GDPデフレータを物価指数として設定。
名目GDPをGDPデフレータで割ることで、
実質GDPを「計算」しているのです。

分かりやすく書くと、名目GDPの動きから
物価変動の影響を除いたものが、実質GDP
成長率、すなわち、経済成長率です。

実質GDPは実質GDPで、問題を抱えています。

例えば、名目GDP(総需要)が縮小するデフレ期に、
名目GDPの「縮小率」をGDPデフレータの
「下落率」が上回ると、実質GDPがプラスで
「計算」されてしまうのです。

すなわち、デフレ期にGDPデフレータという
物価指数が大きく下落すると、需要が縮小して
いるにも関わらず、経済成長しているという
意味不明な状況に至るわけでございます。

名付けて、デフレ型経済成長です。

本日、2017年1−3月期の
国民経済計算が発表になりました。

●実質GDP 対前期比+0.3%
●名目GDP 対前期比▲0.3%
●GDPデフレータ 対前期比▲0.5%

見事なまでの「デフレ型経済成長」に
陥っているのが分かると思います。

デフレ型経済成長を「ミクロ(企業)」で考えると、
以前よりも生産量が多い(=実質GDPの成長)にも
関わらず、物価下落により所得が減ってしまっている状況です。

怖いのは、デフレ型経済成長では、曲がりなりにも
実質GDPが増えている(ように見える)ため、
政治家や国民が「経済は好調だ」と勘違いし、
肝心要のデフレ対策が打たれなくなる可能性が
生じるという点です。

特に、安倍政権は「デフレ脱却します」と四年間も
やっておきながら、緊縮財政によりGDPデフレータ
がマイナス化、つまりは再デフレ化をもたらしてしまいました。

再デフレ化が進む中、計算される実質GDPの
成長率を「五期連続プラス成長!」などと自画自賛し、
正しいデフレ対策が打たれない。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年06月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 

最近の日記

もっと見る