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2017年06月14日23:09

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彼岸のAdagiio・・・

ビール一缶と日本酒二合で,これを大音量で聴きながら自失・・・。
悠然たる大河の流れのような第2楽章Adagioを聴きつつ,暫し人事不省に陥り,そのまま曲想の如き彼岸へ逝ってしまいそうな錯覚に囚われる・・・。


交響曲第7番変ホ長調(ノヴァーク版 アントン・ブルックナー 1822-96墺)。
経験なクリスチャンで,リンツ近郊のザンクト・フローリアン修道院のオルガニストでもあったこの作曲家の交響曲の中で,最も叙情的で宗教的色彩が濃いと言われる作品。
殊に,第2楽章では,敬愛する大作曲家ワーグナーの訃報に際し,急遽導入したと言われるワーグナー・チューバ五重奏が,痛切に響く・・・。
第1楽章冒頭,弦楽のトリルに載って,チェロとホルンのユニゾンで大らかに奏されるのは,原始霧が晴れ,厳然たる偉容を次第に明らかにしていく南ドイツのバイエルンアルプスか西オーストリアのチロルアルプスの黎明か・・・。
終章コーダが明るく大きく結ばれるのは,次第に明るさを増すアルプスの山容か・・・。


鬼才と呼ばれたロリン・マゼール(1930-2014米)の指揮するベルリン・フィル。
1988年2月の録音だから,カラヤンの治世最末期ということになる。
分厚い弦楽,高らかと鳴る輝かしいブラス。
近代兵器で武装されたようなブルックナーだが,曲者と呼ばれたこの指揮者らしく,随所に仕掛けが散見される。
唯,それがろ恣意的にならず,悠然たる流れと嫋々たる美音が顕著なのはさすがと言うべきだろう・・・。


私が求めたのは,翌89(平成元)年の7月だったと記憶しているが,その4年後の10月に,同じ組み合わせによる第8番の交響曲を求めたことも,今となっては遠い若き日の思い出だ・・・。

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