黒煙を見る。

稀に黒煙が昇る空を見る。
青空を不穏な黒に染めるそれは、多くの不純物を巻き上げながら散開していく。
火災現場がそこにあることがわかる。

世に煙というものは様々あれど、真っ黒な黒煙に良いイメージはない。
ここだけの話、子供の頃良く火遊びでプラスチックを燃やした時にも、黒い煙が小規模ながら発生して、スゴく悪いことをした思いをした。
そもそもその黒は不完全燃焼の証であり、有害物質であることを正しく理解するほんの少し前の話だ。本能的にヤバイと感じた記憶がある。

３歳の息子はおそらくまだ、火を理解していない。
誕生日ケーキのロウソクの火を吹き消すぐらいの関わりしか知らない。
煙その存在もまだ良くわからないのだろう。
先日夕食を外で食べようとファミレスに行き、店の入り口で、他の家族のお父さんがタバコを吸っていたのを見てこう言う。

「パパもフゥ〜っとしてみて」

僕は君のために、それをやめたんだけどね。