【質問】　大須事件って何？（下書き）

　【質問】　大須事件って何？

　【質問　kérdés】
　大須事件って何？
　3行以上で教えて！
Mi az Ószu lázadás?
Kérem, mondja meg a három vagy több sorban.

　【回答　válasz】
　朝鮮戦争の最中の1952年7月7日，愛知県名古屋市中区大須で発生した騒擾事件．
　大須球場で開かれた中ソ訪問議員歓迎報告集会後，約1000人が無届デモを始め，波状的に火炎瓶攻撃を行うなどした．
　これにより警察官70人，消防士2人，一般人4人が負傷し，デモ隊側は1人が死亡，19人が負傷した．

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　朝鮮戦争が勃発すると，当時米軍占領下にあった日本は，後方兵站基地としての役割を果たすことになった．
　兵站を叩くのは兵法の常である．
　孫子は言う．
「軍に輜重無ければ則ち亡び，糧食無ければ則ち亡び，委積無ければ則ち亡ぶ」
と．
　当時，北韓の後ろ盾となっていたのは中ソであり，中国は孫子の兵法発祥の地であるから当然，後方兵站基地としての日本を叩くことを考えた．

　とはいえ，その頃の中国に，日本海を渡って日本を攻爆撃するような軍事力は無い．
　そこで毛沢東理論の出番である．
　毛沢東の遊撃戦論によれば，「遊撃戦争が敵の兵站を破壊し，戦闘部隊を牽制し，全国人民の民心掌握に成功すれば，戦略的に正規戦争に呼応することが可能となる」のである．

　中国にとっては幸いなことに，日本には日本共産という，便利に使える駒がある．
　遊撃は彼らにやらせればいい．
　孫子も言うではないか．
「車は雑（まじ）へて之に乗り，卒は善（よみ）して之を養ふ．
　是れを敵に勝ちて其の強を益ますと謂ふ」
と．

　このため，日本に幾つもの騒擾事件が起こることとなった．
　その一つが大須事件である．

　1952年7月7日午後6時40分頃，日本社会党の帆足計と改進党の宮越喜助の両代議士の帰国歓迎集会が，大須球場において行われた．
　彼らは北京において日中貿易協定の調印式に臨み，その後，帰国していた．

　大須球場はちょっと変わった野球場で，本願寺名古屋別院境内にあった．
　名古屋大空襲で焼失した本願寺名古屋別院（西別院）の再興と大須の発展のため，大須七ツ寺勤労協和会が中心となり，愛知県と名古屋市の協力も得て，1947年に建設された．
　センターからレフト，ライトは膨らみがなく一直線になっており，しかも，フェンスが低い．
　このため，非常に本塁打が出易く，元プロ野球公式記録員の千葉功は著書の中で，
「いわば『校庭グラウンド』」
と述べている．
　お坊さん方は，野球を自分でやったことがなかったのかもしれない．
　どうもそんな気がする．

　午後9時50分に集会が終わると，名古屋大学の学生がアジ演説を開始．
　その煽動に乗った約1000人が，スクラムを組みながら球場正門を出て無届デモを始めた．
　集会に参加した者の多くは共産党員であったため，煽動するのは実に楽な仕事だっただろう．

　しかし，これに備えて名古屋市警察は警備体制を強化し，全警察官を待機させていた．
　この計画的な騒擾は，事前に察知されていたからだ．
　というのも，1952年7月6日に帆足・宮越両代議士が名古屋駅に到着した際，彼らを歓迎するため，約1000人の群集が駅前に集合．
　無届デモを敢行し，その際に12人が検挙されたのだが，その中の1人が所持していた文書から，翌日の歓迎集会に火炎瓶を多数持ち込んで，アメリカ軍施設や中警察署を襲撃する計画が発覚したのである．
　兵法書『三略』に曰く，
「謀（はかりごと）は密なるを良しとす」
　機密が漏洩した時点で，大須での騒擾は失敗に終わることが目に見えていたのである．

　警察の放送車がデモ隊に対し，解散するよう何度も警告したが，デモ隊は放送車に火炎瓶を投げ，これを炎上させた．
　警察は暴徒を鎮圧すべく直ちに現場に直行．
　わずか5分後，警官隊は拳銃発砲を含む実力行使でデモ隊を解散させる．

　しかし解散したデモ隊は，四方に分散して波状的に火炎瓶攻撃を行うなどしたため，大須地区は大混乱に陥った．
　また，同時多発的に，アメリカ軍の駐車場に停めてあった乗用車が燃やされたり，中税務署に火炎瓶が投げ込まれもした．

　警察官70人，消防士2人，一般人4人が負傷．
　一方，デモ隊側は1人が死亡，19人が負傷した．
　しかし上述のように，米軍の損害らしきものと言えば乗用車1台だけで，兵站に打撃を与えるには遠く及ばなかった．
　目的が果たされなかった以上，作戦としては失敗である．

　名古屋市警の捜査の結果，この事件は共産党名古屋市委員会が計画し，朝鮮人の組織である祖国防衛隊とも連携しながら実行に移されたと認定された．
　269人が検挙され，翌53年末までに騒乱罪等で150人が起訴された．
　ここから裁判闘争という名の，長い長い消耗戦がスタートする．
「兵は拙速なるを聞くも，巧久なるを未だみざるなり．
それ兵久しくして国利あるものは，未だこれあらざるなり」（孫子）

　そして裁判の間に，極左の内ゲバ体質がここでも露呈．


　裁判途中で共産党内部での意見の対立が発生．
　宮本顕治は，愛知県国民救援会から，その中心となっている
共産党名古屋市委員長・愛知ビューローキャップ永田末男
同愛日地区委員長酒井博
藤本功事務局長
を排除しようと策謀した．
　愛知県国民救援会の活動方針をめぐる意見の対立があったからだ．

　同会というのは大須事件裁判闘争の支援活動をする基本組織で，全国的にも強力な運動をしていた拠点救援会だった．
　松川事件無罪判決後，愛知県国民救援会は弾圧事件救援活動だけでなく，冤罪・公害・労働者首きり問題の救援にも取り組むようになった．
　しかし共産党中央は，国民救援会を，権力による弾圧事件支援の救援を重点とすべきで，愛知県が主張する路線は，ブルジョア・ヒューマニズムだと批判し，対立したのである．

　…外部から見れば，愛知県救援会の何が問題なのか全く分からない．
　分かるのは，ミヤケンのやりかたが愚策だということだけである．
「我れは集まりて一と為り敵は分かれて十と為らば，是れ十を以て其の一を攻むるなり．則ち我れは多くして敵は少なきなり」
と孫子は述べている．
　自ら味方の分裂を招くようでは，勝てる戦にも勝てない．

　宮本と野坂参三は総会において彼らを排除することに失敗すると，共産党県常任委員会に指令し，愛知県救援会から共産党員・支持者を集団脱退させ，第2国民救援会という分裂組織をでっち上げた．
　そして，口実を設けて永田らを党から除名．
　法廷戦術においても五たび干渉を行った．

　永田は公判において，共産党中央軍事委員会が武装闘争を指令していたことを肯定．
　酒井は
（１）武装闘争を指令した党中央軍事委員会
（２）大須事件において火炎ビン武装デモを命令した党中央軍事委員岩林虎之助，
（３）野坂参三・第一書記，武装闘争時代の党中央軍事委員長・志田重男，宮本顕治常任幹部会責任者
（４）地方派遣の党中央軍事委員たち
を「敵前逃亡」と呼んだ．

　1978年9月4日，最高裁にて刑が確定．
　有罪116人．
　うち実刑5人（懲役最高3年）
　執行猶予付き罰金2000円が38人であった．

　メーデー事件，吹田事件，大須事件は戦後三大騒擾事件と呼ばれるが，有罪判決が確定したのはこの大須事件だけである．

　【参考ページ　Referencia Oldal】
https://kotobank.jp/word/大須事件
http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/osuhonhihyo.htm
http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/osusakai.htm
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/rn/27/rn1955-724.html
http://blog.goo.ne.jp/sisakmjcp/e/c4496fc224f21b8d07b09df426cd5312
http://web.people-i.ne.jp/~kmjcp/sisaprofil.html
http://www.geocities.jp/jcp_saga06/rink.html