mixiユーザー(id:78391)

2017年05月09日20:37

1124 view

 【質問】 朝鮮戦争休戦協定について教えてください.(下書き)

 【質問 kérdés】
 朝鮮戦争休戦協定について教えてください.

 【回答 válasz】
 朝鮮戦争休戦協定 Korean Armistice Agreement /정전 협정문 は
「最終的な平和解決が成立するまで,朝鮮における戦争行為とあらゆる武力行使の完全な停止を保証する」
と規定したもので,あくまで「休戦」であって朝鮮戦争を終結させるものではないことに留意.
 休戦合意を巡る協議は1951年7月10日,北韓占領下の開城で始まり,交渉は断続的に続き,また,板門店に交渉の場を変えて,1953年7月27日に署名された.
 この協定により,俗に38度線と呼ばれる軍事境界線が,南北韓の事実上の国境となり,また,捕虜の本国送還を終了した.

 休戦協議の始まりは,1951年6月23日,国連大使であるソ連のヤコブ・マリク外務次官が,国連スポンサーのラジオ番組「平和の代償」を通じて,交戦国間で休戦会談を開くよう呼びかけたことである.
 米中はこれに同意し,6月30日,国連軍総司令官リッジウェイ大将は,ラジオ放送をもって在朝鮮共産軍司令官あてに,休戦会談を開くことを呼びかけた.

 そして7月10日,第1回正式会談が開城で開かれた.
 しかし会談は劈頭から,国連軍側の報道の平等(新聞記者,カメラマンへの公開)と共産側の非公開をめぐって対立.
 ついで,“何を議題として話し合うか”ということの話し合いがもつれ,堂々めぐりで一向に本論に入らなかった.

 7月26日にいたって,ようやく,“何を話し合うかについての話し合い”に決着がつき,次の五項目の議題が決定される.
1,議題の採択.
2,休戦の基本条件として,非武装地帯の設定(軍事境界線).
3,休戦監視機関の構成,権限,機能に関する協定.
4,捕虜に関する協定.
5,双方の関係諸国にたいする勧告.

 その後の怪談は断続的に続いた.
 以下,
児島襄「朝鮮戦争3」(文春文庫)
より引用.

------------
 国連側は,休戦協定成立後の措置として,次の七項目を提案した.
1すべての戦闘行動の停止
2休戦監視のための軍事休戦委員会の設置
3軍事力の凍結(部隊,補給,装備,施設を増強しない)
4自由査察(休戦委員会の行動の自由)
5相手側の支配地域からの撤退
6非武装地帯からの撤退
7非武装地帯の保証
 中朝軍側は五項目を提案したが,その五つは国連側の第三,第四項目を除いた残りに合致するものであった.

 討議の焦点は国連側提案の第三,第四項目におかれ,例によって相変わらずの論争が展開された.
 中朝軍側は,第三項目の中でもとくに「施設」の増強禁止に反対した.
 「施設」すなわち軍事施設だが,その中には飛行場がふくまれる.
 そして,その増強禁止ということは,その復旧も建設も禁止されることを意味する.
 朝鮮戦線における国連空軍の勢威は一方的で,制空権は国連側が保持しつづけている.
 地上部隊の攻撃が鈍くなっても,空軍の活動は制限されていない.
 ということは,休戦協定が成立したときの飛行場事情は,北朝鮮側はさんざんに爆撃された状態となり,韓国側は,攻撃されないのだから無傷のままである.
 国連側提案第三項は,その状態を凍結しようというのである.
「この提案は北朝鮮の再建を妨げようとする陰謀であり,内政干渉である」
と南日中将は叫び,拒否の姿勢を維持しつづけた.

 元帥は,十月二十三日,ニューヨークから帰国途中に訪日した中華民国外交部長王世杰と会談した.
 会談は午後六時から約二時間にわたったが,中華民国の対日講和会議にたいする姿勢を知るマッカーサー元帥は,つけつけとした口調で滔々とまくしたてた.
 中華民国が日本に多くの賠償を求めている点については,中華民国の新聞が「無限の賠償」を獲得できるように報道しているのは一般市民をあざむくものだ,政府は報道管制をすべきだ,と元帥は強調した.
「中華民国はすでに中国大陸,満州,台湾の莫大な日本の在外資産を接収している・・・・・・日本から奪えるものは,もう無いはずだ」
 元帥は,対日講和についてソ連居気兼ねしているかの如き中華民国の姿勢については,とくに苦々しい表情にもあらわにして批判した.

<中略>

「中国の混乱と日本の状態を比較するとき,中国では,米国は中国を犠牲にして日本を再建していると考えられている」
 対日講和について,とくにその会議の議決方式について,王部長はこれまでになく詳細に中華民国の考え方をシーボルト局長に説明した.
「三分の二方式が採用されたら,十一カ国のうち英連邦諸国五カ国と米国とで最初から六票を獲得してしまうのだから,実質的にはソ連だけでなく中国も一票で対抗することになり,重要決定には中国はつねに疎外されかねない」
「わが政府としては,大連の開放問題があるのでソ連を刺激したくないのです.
 私の観測では,ソ連はこの平和条約問題を利用して,大連にかんする協力を拒否する可能性が強いと思います」
 ソ連の圧力があったな,と米国大使スチュアートは胸奥でうなずいた.

 中国は,日本が降伏を連合国に通告した日,一九四五年八月一四日,ソ連との間に,「中ソ友好同盟条約」を締結している.
 この条約は両国の主権尊重のほか,日本を対象にする同盟でもあったが,大連,旅順については「すべての国にたいする開放」と港湾施設の半分をソ連に無償貸与する規定がふくまれていた.
 しかし,同時に日本との戦争の場合は,海軍基地として両国の共同管理下におかれる条項も存在しているため,ソ連は,平和条約が締結されない間は日本との戦争状態は終わらない,という理由で,大連,旅順を軍政下に置きつづけてきた.
 大連,旅順港の開放については,米国政府もくり返してソ連に抗議したが,ソ連は以上の「中ソ友好同盟条約」の条文をたてにとって拒否回答をするだけであった.
 王外交部長の言明は,だから,米国にも不利がおよぶ可能性があるので再考してほしい,との意もふくめていたのである.
------------
 南北朝鮮の境界をどこにするかも難題だった.
 中国と北韓は,北緯38度に残る線が妥当と考え,これを要求した.
 しかし結局,当時実際に対峙していたカンザス・ライン Kansas Line を境界とすることで,双方はで合意した.

 捕虜送還をどのように行うかも難題だった.
 共産側には1万人以下,国連軍には15万人の捕虜がいた.
 国連軍側に捕らえられていた中共軍と北韓軍の多くの兵士が送還を拒否したために送還方法で合意できず,中国と北韓に受け入れられなかった.
 最終的な休戦合意では,送還問題を処理する中立国送還委員会が設立された.
 合意により国際的な委員会による監視が行われた.
 また,兵員や新たな兵器が朝鮮に流入しないよう,半島全土で活動する中立国監視委員会(NNSC)が設立された.
 そのメンバーは共産側が指定したチェコスロバキアとポーランド,国連側が指定したスウェーデンとスイスで構成された.

 その間,リッジウェイ大将は,「平壌〜元山を結ぶ線まで一気に北上する作戦」の立案をヴァン・フリート中将に命じた.
「休戦を決意したからといって,なにも現戦線に遠慮して留っている必要はどこにもない.
 いずれ休戦になるのであれば,できるだけ多くの土地面積を手に入れておいたほうが有利ではないか」
という考えからだった.
 一方,中朝連合軍は崩壊寸前だったが,アメリカが政治的思惑から出てきたところを叩く方針に変更したおかげで,強固な陣地構築に成功.
 ここに,210kmにわたる戦線をはさんで,彼我合わせて200万の大軍が対峙する,凄絶な陣地戦が始まった.
 中朝連合軍は有余る歩兵戦力をもって,少しでも休戦ラインを確保するため,無理やりな攻勢に出ては大損害を受けることを繰り返した.

 ようやく1953年7月19日,双方代表は休戦に関するあらゆる問題について合意に達し,1953年7月27日午前10時,休戦協定は朝鮮人民軍代表兼中国人民志願軍代表南日と国連軍代表ウィリアム・K・ハリソン・Jrにより署名.
 署名から12時間後に休戦協定は発効した.
 また同日午後,汶山里近郊の基地において,国連軍総司令官マーク・W・クラーク大将により正式署名された後,金日成と彭徳懐のもとに送付され,その署名を経てすべての手続きは完了した.

 その前の同年3月,スターリンの死去に際し,ソ連指導部はスターリンの葬儀に出席していた周恩来と協議して休戦の方針を固め,休戦協定に調印することとなったという.
 秀吉の死によって休戦となった朝鮮出兵と似たような話ではある.

 完全な和平に向けての交渉は1954年,ジュネーヴ会議においてインドシナ戦争の和平会談と平行して行われたが,北韓が外国軍の撤退を,韓国が戦後処理での国連の関与を求めたため決裂.
 解決されずに今日に至っている.

 【参考ページ Referencia Oldal】
http://www.y-history.net/appendix/wh1602-008.html
http://prideofjapan.blog10.fc2.com/blog-entry-5995.html
http://ameblo.jp/tank-2012/entry-12055071825.html
http://ktymtskz.my.coocan.jp/E/W/korea7.htm
http://ktymtskz.my.coocan.jp/E/W/korea8.htm



4 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年05月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031