ガープス妖魔夜行「それはまるで風のように」２〜ＧＭ視点であれやこれや〜

　それはまるでいたずらな風のように、
　不意に隙間を抜けて飛び込んできては、
　私の心をかき乱すのだ・・・
　　

今回は謎の妖怪失踪事件の解決と、フォークロアの経営者である雪丸と
その妹分であるひとみの関係の修復（発展？）を目指すシナリオでした。

＜大まかな導入＞
突然イギリスからやってきたユニコーンのジャック。
（文明開化の頃来日していて雪丸・ひとみと面識在り）
彼がいろいろと引っかき回してくれたおかげで、元々「いつか雪丸に要らない子だと
切り捨てられるのではないか」という不安を抱えていたひとみが不安定に。
雪丸はフォークロアの常連客から「最近●●（常連客の妖怪仲間）を見かけなくなった」
というような話が出ていること、しかもそれが複数であることから妖（あやかし）さらい
の可能性を疑い調査中。
そのため自分の目の届く範囲であればとジャックがひとみにまとわりついていることに
ついては静観。
そんな雪丸の態度にひとみはより辛そうな顔に・・・。



＜気になったポイント（記憶違いがあったらごめんなさい）＞


●先生！声大きすぎて（雪丸の）黒歴史暴露してます！

前回の女子オンリーでのセッション（「マシラの鳴く森」）に登場した
カクエンの栄吉が再登場しました。
（ジャックをうっかりフォークロアに案内して連れてきてしまったのは彼。
　OPは彼の土下座から始まりました。）
栄吉は江戸時代の頃から雪丸・ひとみを知る人物。
なんでも出会ったきっかけは、人間の女だと思って襲い掛かったら返り討ちにされた
ことだったとか・・・。その話の流れから、その頃雪丸が女装して旅をしていたことが
明らかに。そしてそんな話を聞いていた相手が声の大きい熱血教師鳥山先生だったから
さぁ大変。店中に響く大声で聞いた内容をリピートする先生。
・・・ああ、厨房（雪丸がいる）の方から怒りの冷気が。


●半妖という存在（妖怪として生きる選択肢を持てなかった人ならざる者）

雪丸は人間の父親と雪女の母親との間に生まれた１０人の子どものうちの長男。
家族を捨て雪山に帰っていった母親。
そんな母親（雪女）に未練たらたらで母親似の自分（雪丸）に依存する父親。
同じ父母から産まれながら人間として生まれてきた弟妹たち。
妖怪の力を受け継いで生まれた自分に怯え敵意を向ける村の人々。
そんな環境で育った雪丸は人間も恋愛も嫌っています。
それでも、人間の世界に産み落とされた彼には妖怪として生きる道はなく、
人間の真似事をして媚びも体も売って生きてきました。
（※雪丸はジャックからラビッシュ（ゴミ）と呼ばれています。
　　が、それなりのことをしてきた自覚があるので雪丸はさして相手にしません。
　　・・・そんな態度だからこそさらにジャックが絡んでいくのですが。）

そんな雪丸が数百年前にふらりと立ち寄った村で出会ったのがひとみです。
父親（大蛇）は行方知れず、母親は難産の末死亡、育ててくれている祖父母は
妖怪の子を育てていると村八分、ひとみ自身はうまく鱗を隠すことができず
村の子そして大人からも虐げられる日々。
そんな彼女を雪丸は引き取り、以降ずっと二人で旅をし、定住してからも共に
過ごしてきました。

雪丸はひとみに対して自分がどう思っているのかよくわかっていません。
しかし特別な存在、共にあることが当然な存在とは認識しています。
ひとみは雪丸に対してどうして自分を引き取ってくれたのか、
どうして今もそばにいて大事にしてくれているのかという疑問と、そこからくる
不安（雪丸にとって面倒な存在になったら自分は捨てられるのではないか）
を常に持っています。そのため２人の仲を壊しかねない存在が出現すると
今回のように非常に不安定になってしまいます。

便宜上彼らは兄妹のようなものだと周囲に言っていますが、いままでその時々の
都合によって夫婦のふりや姉妹のふりをしてきており、彼らの関係性はとても
あやふやなものです。


●ロトさんが空気を読んだ！・・・のに！

今回のセッションで１番驚いたことをあげるとすれば、いつもはＫＹなロトさんが
ものすご〜〜〜〜く空気を読んだことでしょうか。
雪丸にひとみの件で単身話をしに行った時も力技で何とかしようとするのではなく真摯
に会話して仲を取り持とうとしてくれました（どうやら２人をエンダーさせたかった
ご様子）。
しかし、ロトさんが思考感知で雪丸の考えていることを読むと、なぜか彼は過去の女性
遍歴を追想中。
（「ゆきまろ、空気読めよ！！！」ってロトさん叫んでました・・・）
ひとみとの関係を雪丸が改めて考えようとすると、今まで彼が利用してきた女性たち
との比較から入らざるをえなかっただけなんですけどね・・・。

雪丸の経歴上彼の中に「関係を持つ＝自分にとって特別な相手となる」という図式は
ありません。
利用するためにいろいろな人間や妖怪と関係を持ってきた彼にとっては、むしろずっと
そばにいながらただ慈しんできたひとみという存在はなにより特別なのかもしれません。
ひとみはひとみで傍にいたい・いさせてほしい以上の気持ちはないようで・・・。
エンダー（するのか？）までの道は遠そうです。


●「 田中ァァァァあああ！！！」

セッション中、ひとみと先生が妖さらい（隠し神）の襲撃に遭い攫われてしまいました。
それぞれ別のコンテナのような場所に閉じ込められ、コンテナの外からは何やら大型の
獣のうめき声が。
先生は一緒にいたひとみの安否を確認すべく声を上げたのですが・・・

田中「あれ？その声、先生ですか？」

下のコンテナに前回前々回とセッション中に登場した専門学校生（人間）の田中君が！
（まさかの田中登場にみんなで「 田中ァァァァあああ！！！」と叫びました）
なんでも、車に轢かれてケガをした黒猫
（実は前回のセッションに登場した不幸な化け猫コタロウ）
を動物病院に運ぼうとしていたところを攫われたんだとか。
（コタロウを抱えていたせいで隠し神のオーラ感知に引っかかってしまったらしい）
不幸体質な田中と不幸な化け猫。
マイナスたすマイナスはよりひどいマイナスだったようです。
とりあえず自分も攫われてるのに近くでケガをしているらしい子供が泣いてると心配
したり、すべて片付いて外に出た後、囚われていた場所（巨大な倉庫）が一瞬で崩れ
去るのを映画の撮影と言われてあっさり信じる彼はもうこのキャンペーンのヒロイン
でいいんじゃないかと思います。


●まさかのＨＰマイナス

先生たちが閉じ込められていた倉庫にＰＣが集合し、倉庫内に番犬よろしく放し飼いに
されていた鬼熊と戦闘になりました。

今回の戦闘ではキャンペーン初、ＰＣのＨＰがマイナスになる事態に。
（幸い死亡者は出ませんでしたが）
宇宙人・鵺・大トラ・火喰い鳥の４名のＰＣにＰＣ側が有利になるギミックを入れての
戦闘ではありましたが、やはり戦闘には危険がつきものですね・・・。

前線が崩壊し（大トラのことりさんと宇宙人のロトさんはダメージが大きかったため
一時戦線離脱）先生と鵺さんで遠距離からの妖術攻撃のみという場面もあったのですが、
ひとみの治癒の妖術でロトさんもことりさんも戦線復帰。
最後の止めは嫁入り前の体に傷をつけられたことりさんの怒りの虎キックでした。

戦闘が厳しかったこともあり、今回の戦果として倒した鬼熊の毛皮は防護点を上げる
防具としてＰＣの物になることになりました。


●人間　―それは業の深い生き物ー

今回の連続妖怪失踪事件の黒幕は旧家のお嬢様、人間でした
（「マシラの鳴く森」に出てきた岩村主 澪の知り合い）。
家のお金を使い込んでしまい、その補てんのために金が必要になり、
隠し神を使って戦闘力の弱い妖怪を攫って生きたまま売ったり
死体が残るタイプの妖怪は殺して毛皮や角を売っていたのだとか。
ここまでのことをされて妖怪たちが黙っていられるはずもなく、黒幕だった
女は妖怪たちに気のすむまでいじられ、命にも体にも別条はなくも元のよう
には生きていけない精神状態に。
報復と証拠隠滅を兼ねて彼女の実家と妖怪たちが閉じ込められていた倉庫は
ガス爆発を装って破壊されたのでした。