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2017年03月21日18:53

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小さな「ハムスター」 その4

(ナンシーとの結婚について)「するわけないだろ。俺達は愛し合っているから、それで充分さ」シド・ヴィシャス

ナンシー・スパンゲンは、アメリカの中流家庭の長女。両親、妹弟もいて、いわゆる“いい家庭”。
でも、生まれた時にへその緒が身体に絡みつき、黄疸症状もあったので、すぐに保育器が必要でした。夜泣きと癇癪持ちで、手のかかる赤ちゃんだったのです。
5歳の時、知能テストでは優秀、小学校でも成績は優秀。だけど乱暴な性格で、妹弟やベビー・シッターにも暴力をふるい、放校になってしまいました。
15歳で統合失調症と判断されます。

統合失調症。ちょっと前まで精神分裂病って呼ばれてました。病気ですよ、病気。
日本では今、70〜80万人以上の人が病院で治療をうけてます。これって今の話であり、まず家族の対応が大事なんて、まだまだそーいう時代じゃありません。
ナンシーの場合、診断までに時間がかかって、正しい治療や教育も受けるチャンスがなく、どんどん悪い方向に行っちゃったけど、“家族がナンシーを捨てた”って、そんな簡単な話じゃなかったはず。

16歳でコロラド大学に入学したものの、5ヵ月後、警察のおとり捜査に引っかかってしまい、コロラド州から永久追放。
ニューヨークに住むようになって、ストリッパー、売春婦が職業となり、麻薬の売買も。そしてミュージシャンなら誰とでも寝るグルーピーとなります。ナンシー、17歳。

1977年、ナンシーはロンドンにやって来ます。ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズ(ザ・ハートブレイカーズ)のツアーに、追っかけとして来たんですね。

「あの二人は実にお似合いな怪物同志だったよ。あの怪物女を一目見た時から『こりゃ死神みたいな女だな』ってのが解ったし、一緒にロンドンへやってきた筈のハートブレイカーズの連中にさえ忌み嫌われてるような女だったんだ」
「ギャング映画の情婦みたいに間抜けな女だった。どこから来たんだ?「ニュウ――、ヨォ―ク」。なぜここに来たんだい?「ドラ――ッグよぉ―」」

ここでドラッグと言ってますが、ヘロインはこの時ロンドンに持ち込まれたと言われています。
いろんなドラッグの経験はあるけど、ヘロインはシドにとっても初めて。

グルーピーにとって有名人と寝るのがステイタスですから、彼女はジョニー・ロットンと寝るつもりだったのに、ジョニーは忌み嫌い、しかたなくシドへと目標を変えました。
それで、恋に落ちてしまうんですね、この2人は。

ただ、ナンシーの言葉は、あんまりたくさん見つかりませんでした。
グルーピーという立場だし、“最悪の女”だからそーいう扱いになってるのか、それとも無口な女性だったのか。わかりません。

シドは、ホントにナンシーが好きだったみたいです。
「美しくて、セクシーで、ユーモアがあって、チョー賢い」なんて手紙、なかなか書けないと思うな。

だけど、フツーの人の感覚とは違いますよ。
「シドは「デカダンス、万歳」と思ってた。まだ金がなかった頃、ナンシーは下のガレージにいた黒人の修理工に15ポンドでフェラチオをしてやった。シドはそれを眺めて喜んでたんだとよ。全く、なんてカップルだ」

あるパーティにブロンド美人を連れて来たシド。でも、“彼女”はニューハーフでした。
「ペ二○かワギ○か、どっちをなめればいい?」「ワギ○よ」なんて会話をして、あとでナンシーに電話をかけると、「女とやってなければいいわ」。

でも、女性とはダメだったみたい。
ケーブルテレビの生放送で、女性視聴者からの電話、「シドってかっこいいわ」との発言に、ナンシーが「あんた、もし彼に手出しでもしたらぶっ殺すからね」と。

1978年、ジョニーと和解して新しいバンドを作ろうとしていた時、ナンシーはシドがフロントマンだと決めていて、ジョニーが「じゃあ、おれは何をやるのさ?」と聞いたら、「あなたはドラムでもやったらいいわ」と言ったので、うんざりしたジョニーとの新バンドはお流れに。

「ナンシーはシドを死に向かわせていた。俺はどれだけ、シドにドラッグを止めさせようとしていたことか。でも、あの女は自爆攻撃だった」
ジョニーは専門学校から一緒のシドを、なんとか助けようと思ったのに。ナンシーとジョニー、どちらを選ぶかといったら、ナンシーだったのですね…。

「人間はそれぞれ各自が決断を下す。シドをいろんな奴に紹介したのも、いいことなんだ。あいつは真剣にベースの練習をしてたのに、ナンシーに取りつかれた瞬間――その瞬間を俺も見ておくべきだった――「ニューヨーク デカダンスの旅」への切符を買っちまった」

「酒を飲んでる時のシドは、簡単に言いなりに出来た。方向さえ示せば、そっちに向かう。感動したね。俺があいつを言いなりにしたかって?ああ、でも悪い意味じゃない。俺はあいつをバンドに入れた――悪いことじゃないだろ?それからガールフレンドまで世話してやった。こっちは本当に悪いことだった」
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