(家庭でできる)発達障害の子が自立するために身につけておきたい大切なこと
平岩幹男 先生 PHP(2017年1月24日 発行)
はじめまして(巻頭文)
私が医師になってから、およそ40年の日々が流れました。そのうちの多くの時間に、障害を抱えた子どもたちや大人の方と関わってきました。つい子どもの時期ばかりを見てしまいがちですが、子どもの時間はたった20年しかありません。
そこでできることを「ちゃんと」しておくことが、その後の大人の50年を支えます。「自立」とは、社会で独り立ちをして生きていくことですが、それは税金で養われるのではなく、税金を払って生活する立場になろうということでもあります。
自立という明確な目標を、せめて頭の片隅に置きながら、子どもに接していきたいと考えています。もちろん、思うように自立できない場合もあります。それでも「大人になったときの時給や賃金を10円でもいいから高くするよう、いろいろな練習をしてみましょう」とお話ししています。たかが10円でも、50年ともなれば大きな違いです。
中略
子育てには、愛情だけではなく実は「技術」も必要なのです。様々な障害を抱えた子供たちを診ていると、いろいろなアイデアが湧いてきます。そうしたアイデアのヒントは、子どもたちやその保護者の方からいただいていることが多いのですが、それらのアイデアや考え方、技術は、実は障害を抱えていてもいなくても、どんな子育てにも共通して有効なものが少なくありません。
中略
「障害を抱えていれば、専門家にしか対応はできないのか?」と聞かれることもよくありますが、そんなことはありません。もちろん、専門家の手助けを必要とすることはあるかもしれませんが、基本は、まずは家庭や幼稚園・保育園・学校など日々の生活の中で「できることを増やし」「将来の自立につなげること」です。
くり返しますが、これは障害を抱えていてもいなくても同じですし、誰にでも練習すればできることだと思いますので、それをお話ししていきます。
第1章 発達障害って何?
第2章 「できること」を増やすために
第3章 親が知っておきたい「ほめ方」「𠮟り方」
第4章 子どもが身につけておきたいコミュニケーションスキル(最初のステップ)
第5章 子どもが身につけておきたいコミュニケーションスキル(次のステップ)
第6章 子どもが身につけておきたい生活習慣スキル(最初のステップ)
第7章 子どもが身につけておきたい生活習慣スキル(次のステップ)
第8章 子どもが身につけておきたい学習スキル(最初のステップ)
第9章 子どもが身につけておきたい学習スキル(次のステップ)
第10章 子どもが身につけておきたい運動スキル(最初のステップ)
第11章 子どもが身につけておきたい運動スキル(次のステップ)
第12章 大人になって自立するために
さとちゃんから
誰かが言いました。「知識は勇気を補完する」
知らなければ、何もできないまま、ただ時間だけが過ぎていきます。知らないことで不安にかられます。自分が思うように動いてくれる人など、どこにもいません。だからこそ、支援計画書で連携するのだと思います。
10年を過ぎた支援教育においては、今もなお、「まびき学習」が行われています。「あるものを最初からないものとする学習」が「まびき学習」です。「どうせ理解できないのだから?いいじゃないか」とでも言うのでしょうか。それでは、できることもできなくなってしまいます。私は、そういうことを許していてはいけないと思っています。
「子どもがどこまで理解できるのか?どこまで伸ばせるのか?」、そんなことは占い師でも分かりません。だからこそ、工夫してやる、できる限りの努力をする、伸ばせるだけ伸ばしてやりたい!、と
私は考えています。
平岩先生の著書を拝読していつも感じることは、先生の文章は「思いやりに満ちていて、それでいて力強い」ということです。私が、以前にも先生の著書を皆さんにご紹介したときに、そのことを「静かなる情熱」と表現しました。
今、子育てに行き詰っていて困っておられる方やどうしていったらいいのか?迷ったり分からなかったりしておられる方は、ぜひお読みいただけたらと思います。
自分の中の何かが変わると思います。
できることが見つかると思います。
目標が見つけられると思います。
ぜひ、ぜひ・・。
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