父が小学校4〜5年生くらいのことだと言うから、もう60年程前の話になると思います。
父は、その頃の子供らしく、砂場で相撲をして遊んでいたらしいのですが、当時は子供も多かったのか、同じ砂場で別の子供達も相撲をしており、そちらの子が投げられて、父の脚にのしかかるような形になったそうです。
父の脚には激痛が走り、近所の外科に運ばれ、骨折と診断されたとのことです。
とりあえず何らかのギブスをして家に戻ったようですが、痛みが全く引かないどころか、あまりの痛みに脂汗が絶えず、1週間程夜も眠れない日が続いたそうなのです。
さすがに、このままではと思った祖父母は、人づてに良い先生を紹介してもらい、父を連れて行ったとのことです。
東京の外れにあるそのお医者さんは、父の患部を触ると、すぐに、
「これは、骨がズレてついている…」
と言い、グッと力を込めて、その骨を戻し、その瞬間はとんでもない激痛があったようですが、次の瞬間から非常に楽になったらしいのです。
当時はまだレントゲン設備なども乏しかったはずですし、瞬時に症状を判断する力と言い、それに対して最適な施術をする力と言い、まさにゴッドハンドそのものです。
僕が目指したいのはこういう先生で、他の塾で全く芽が出なかった子や、他の人ではどうしようもなかった不登校の子であっても、僕の手にかかることで流れが変わって来るような、そんな仕事を沢山していきたいのです。
今でも時々そういうお褒めの言葉を頂くこともありますが、まだまだ自分しかできない仕事にどんどん磨きを掛けて、沢山の子供達に良い影響を与えていくつもりです。
父がもしその先生に逢うことなく成長していたとしたら、恐らくは痛みこそ少しずつ薄くなっていったかもしれませんが、何らかの障害が残った可能性はかなり高いと思います。
僕が仕事上出会う子供達も、多かれ少なかれ、僕の目の前で人生の岐路に立っているようなものです。
その事実をしっかりと考えて、日々の仕事に邁進していきたいと思います。
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