…「RED」/KING CRIMSON
最初にこのニュースを見たのは、マイミクさんのつぶやきだった。
…うそだろう?
ここのところ訃報が多かったし、彼も体調を崩していたとは聞いていたので、まさか、とは思ったが、やはり素直には受け入れることができず、自分でネットで調べてみた。
そしたら、facebookの公式アカウントに、カール・パーマーの声明が掲載されていた。
僕が彼の歌声を初めて聴いたのは、高校生の時。
当時、クラシックロックの名盤を聴き始めていて、KING CRIMSONの「宮殿」を聴いて、感動していたころに、いとこが
「KING CRIMSONなら、このアルバムもかなりカッコいいよ。」
と聴かせてくれたのが、「RED」。
衝撃的だった。
鉛の塊が頭上にガツンとぶつかるような、重くて硬い、暗い音。
ドラマティックに展開していく曲。
そして、暗くて陰鬱な哀愁のメロディを歌う、深い歌声。
特にラストの“Starless”の絶望のどん底から響くような歌声は衝撃的だった。
その時聴いた彼の歌声が気に入って、いとこにその話をしたら勧められたのはASIA。
当時の僕がBOSTONやJOURNEY、TOTOといったバンドが好きだということを考慮して、勧めてくれたんだけど、その時に聴いた「ALPHA」はまた衝撃的だった。
ポップでキャッチー、では済まないような劇的に美しいメロディとアレンジをもった名曲群が詰め込まれた、まさに名盤。
冒頭の“Don't Cry”からラストの“Open Your Eyes”まで、すべてが聞き逃せない、まさに神懸ったアルバムで、今もよく愛聴している。
僕が彼を初めて知ったころはすでにASIAを脱退してしまって、ソロで活動していて来日公演も行っていたんだけど、彼が歌う傍らにはスティーヴ・ハウかロバート・フリップがいてほしい、という思いもあって、結局この頃はLIVEには行かなかった。
でも、2012年にASIAがオリジナルラインナップで来日公演を行うというニュースを知ったときには即決で行くことにし、渋谷公会堂で観たんだよね。
凄く良かった。
深い歌声は健在だし、クリムゾン在籍時のような狂気じみた暴れん坊ベースも聴かせてくれたし、本当に素敵だった。
この来日公演の後も彼が在籍していたころのクリムゾンやASIAをすごくよく聴いていたと思う。
こうやって、僕の彼に関する思い出話を書いてみたんだけど、来日公演には行けて本当に良かったし、願わくばロバート・フリップとの共演が見たかったけど、もうそれもかなわない。
本当なら、追悼の言葉なんかを並べて、締めるのが通常なんだろうけど、どうしても彼の場合はそんな気分に、今はなれない。
ただただ、来日公演で見せていた、ジョン・ウェットンの眩しい笑顔が、瞳の中に焼き付いている。
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