第72代横綱・稀勢の里が誕生
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第72代横綱・稀勢の里寛(キセノサトユタカ)、とうとう正式に昇進と相成りましたね。十四日目に初優勝を決め、千秋楽での横綱白鵬との結びの一番を土俵際逆転の掬い投げで制し、これも自身初の14勝1敗で一月場所を終えたのですが、その一番を待たずして番付編成担当の協会の審判部が臨時理事会の召集を要請、八角理事長(第61代横綱北勝海)の受諾、横綱審議委員会での僅か10分といわれる満場一致での推挙を経て、今日の三月場所の番付編成会議後の臨時理事会で正式に昇進決定。第63代横綱旭富士(現在の伊勢ヶ濱親方)以来続いた昇進基準である「二場所連続優勝」を、先の第71代横綱鶴竜に続いて適用しなかったケースとなり、稀勢の里と同じ一門の二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「昨年は年間最多勝(69勝)という実績があり、今場所も優勝を果たした。審判部の全員が賛成した」とコメントしたようですが、鶴竜のケースでは過去の三場所9勝、14勝同点(決定戦進出)、14勝優勝(初優勝)で37勝で、二場所続いての14番が評価されての昇進でしたが、稀勢の里は10勝、12勝次点(優勝とは星ふたつ差)、14勝優勝(初優勝)で鶴竜と比較すると見劣りする印象は否めず、「優勝に準ずる成績」をかなり拡大解釈しているようにも感じられますね。十四日目の時点では友綱審判部副部長(元関脇魁輝、伊勢ヶ濱一門)が琴奨菊に敗れた一番はじめ内容の伴わない一番が少なからずあり、かつ千秋楽まで横綱戦がなく、大関戦の一番は不戦勝だったことなどを理由に慎重な姿勢を見せていたようですが、第66代横綱(三代)若乃花以来となる「日本出身の横綱」(それも、中学新卒入門(平成14年三月場所初土俵)の“叩き上げ”)誕生と言う大相撲にとって“記念すべき事柄”を目前に、慎重派が折れて、あるいは“何等かの力”が働いて、「審判部の総意」となったのかもしれませんね。 横綱審議委員会内では基本的に慎重派と見られていた守屋秀繁委員長でさえ「最高の幕切れだ。優勝したので、明日の白鵬戦はそれほど重要視しなくていいのでは。日本中の人がそれを望んでいる」と千秋楽を前にしてその結果にかかわらず昇進に積極的な姿勢を示したとなると、一潟千里に昇進へ進むには最早何の“壁”もなくなったと言うのが、協会内の情勢となっていたのだろうと思います。
横綱と言えば、「心・技・体」ですが、初土俵から千秋楽の不戦敗一回を除いて休場がない「体」はともかく、何度も優勝を逃したメンタル面の弱さを持つ「心」、左四つからの速攻の強さがある一方、腰高で「脇の甘さ」を再三指摘され、下位力士に攻め込まれて呆気なく敗れる不安定さもある「技」と、一朝一夕に解決できるような感じがいまだにしない課題が山積しているのも否めず、優勝せずに昇進した第60代横綱北尾(昇進を機に双羽黒に改名)ほどではないにせよ、“大甘昇進”の謗りは免れないと言えるのではと思ってしまいます。稀勢の里のようなメンタル面の課題のある力士だからこそ、「二場所連続」を遵守して来場所の様子を見るべきだったのではと、私としては考えますね。
使者を前にしての口上では「横綱の名に恥じぬよう、精進いたします」とシンプルな内容を述べたそうですが、「恥じぬよう」 で噛んでしまって上手く言えなかったようで、堂々と言うわけにはいかなかったとなると、いくらか先が思いやられる感じも否めないところ。同時に発表された新十両で、幕下で優勝した石橋改め朝乃山(アサノヤマ、高砂部屋・富山県出身)にでも注目しましょうかね……。
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