歌人である故・河野裕子さんのエッセイ集を読みながら、考えた。
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他者に対して、安易に
「気持ちは分かる」
なんて、言ってはならないと、思う。
なぜなら、人が、自分ではない者の気持ちを完全に理解することなど、あり得ないから。
結局のところ、所詮は他人事(ひとごと)なのだ。
他者を完全に理解することなど、あり得ない。
君は君の体力で耐へねばならないと両肩つかんで後ろより言ふ (河野裕子)
しかし、だからこそ、想像力を働かせて、思いを巡らせて、苦難に直面している他者の気持ちに想いを来すべき。
その他者の気持ちに完全に到ることはできないまでも、そのために努力すべき。
気持ちに寄り添えるように、努めるべき。
俺にはまだまだ、他者の気持ちに寄り添おうとする努力が、足りない。
全然、足りない。
あの時の壊れたわたしを抱きしめてあなたは泣いた泣くより無くて (河野裕子)
大泣きをしてゐるところへ帰りきてあなたは黙つて背中を撫でくるる (河野裕子)
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