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2017年01月07日21:30

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「2016年度 私的ベスト20」 洋画篇

あけましておめでとうございます。

…って、もう7日ですが
ようやく昨年度の「ベスト20」ができました。

3日の夜から風邪をひいてしまって
風邪薬でボーっとしながら選んだよ(笑)。

で、
先にも書いたように
昨年は邦画が大豊作だったので、
今回は洋画と邦画を分けて
別々に「ベスト20」を作りました。
2006年から「ベスト20」作ってますが
こんなことは初めてである!

まずは洋画篇ね。
邦画篇は今からワープロ打ちます。





「2016年度私的ベスト20」



1.凱里ブルース ’15 (中) 畢贛(ビー・ガン)

「アジアフォーカス福岡国際映画祭2016」での鑑賞なので一般公開はされていないのだが、昨年観た中で最も衝撃を受けた。42分のワンシーンワンカットから観客を幻惑へ誘い、記憶を詩で語る…その手腕に圧倒される。


2.グランド・フィナーレ ’15 (伊・仏・スイス・英) パオロ・ソレンティーノ

高級リゾートに滞在する80歳のじいさんの話なのだが、「魔の山」の風格がユーモアで語られ、ラストとんでもない感動に胸を衝かれる。出演作に節操のないマイケル・ケインの(笑)代表作になるだろう。


3.とうもろこしの島 ’14 (ジョージア・チェコ・仏・独・カザフスタン・ハンガリー) ギオルギ・オバシュビリ

ジョージアとアブハジア間の紛争を背景に、両者の間を流れるエングリ川の中州でトウモロコシを育てる 老人と孫娘の営みが静謐に綴られる。戦争の息遣いが聞こえる傑作。


4.サウルの息子 ’15 (ハンガリー) ネメシュ・ラースロー

観客はゾンダーコマンド サウルの2日間を体験し、彼の目が見 彼の耳が聞くものをひたすら受け取り続け、その緊張を耐えねばならない。すさまじい―としか言いようがない映画。


5.或る終焉 ’15 (メキシコ・仏) マイケル・フランコ

終末期患者の在宅ケアに従事する看護師デヴィッドに寄り添って、遠からず訪れる“死”と対峙し続ける患者と暮らし、その日常を共有するしかない映画。衝撃のラストの後、観客はエンドクレジットの黒い画面に何を読むか…?を問われるだろう。


6.イット・フォローズ ’14 (米) デヴィッド・ロバート・ミッチェル

SEXによって感染する“それ”は人の形をして後ろからひたひたとついて来て、追いつかれると無残に殺されてしまう―という分ったような分らないような設定のホラーが面白いのは、世界に対する不安に閉塞する若者の現在が反映しているように感じられるから。


7.父を探して ’13 (ブラジル) アレ・アヴレウ

アヌシーで最高賞を受賞したアートアニメ。簡素で愛らしいキャラが旅する時空はブラジルの厳しい過去と厳しい現在を美しすぎる色彩で彩り、思わず「ああ…!」と胸を衝かれる。


8.シチズン・フォー スノーデンの暴露 ’14 (米・独) ローラ・ポイトラス

スノーデン事件を扱ったドキュメンタリー…というか、そもそもこの記録映像こそが一連の騒動の源なのだから、映画としてどうか?という以前に ただただ驚愕するしかない。


9.オマールの壁 ’13 (パレスチナ) ハニ・アブ・アサド

パレスチナ人への抑圧が彼らの日常や友情や恋愛までも易く蹂躙するさまが描かれる。ジョー・サッコのバンドデシネ「パレスチナ」を思い出させる閉塞がエンタメになっているのだ。


10.COP CAR コップ・カー ’15 (米) ジョン・ワッツ

保安官が置きっぱなしにしたパトカーを盗んだプチ家出少年の冒険譚…というには、あまりに苦くて酸っぱい感慨だが、それは上等なジュブナイルになっているからなのだ。


11.神なるオオカミ ’15 (中・仏) ジャン・ジャック・アノー

名古屋でだけ一般公開されたらしい。文革時 モンゴル内陸部に下放された青年が書いた自伝的小説の映画化だが、人間にではなく草原のオオカミの孤高と矜持に涙が流れる!大大大感動作。


12.ブリーダー ’99 (デンマーク) ニコラス・ウィンディング・レフン

リバイバル作品は他にサミュエル・フラー3本と侯孝賢「風櫃の少年」と王家衛「恋する惑星」、ウェイン・ワン「スモーク」、ジッロ・ポンテコルボ「アルジェの戦い」が候補に残ったが、長編2作目にして既に出来上がった“レフン色”が楽しすぎるこれを!


13.マジカル・ガール ’14 (西) カルロス・ベルムト

愛らしい魔法少女のドレスを纏う少女アリシアの これだけは観たくなかった結末に、胸くその悪い感慨を耐えねばならない不健康な映画であり 稀有な作品。


14.好きにならずにいられない ’15 (アイスランド・デンマーク) ダーグル・カウリ

43歳 デブ ハゲ もちろん独身 たぶん童貞…の空港の貨物取扱従業員フーシの物語。騙されたと思って観て! 戦闘オタクフーシがいかに平穏をもたらす癒しの存在かを!


15.エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界は僕らの手の中に
                                   ’16 (米) リチャード・リンクレイター

スポーツ特待生ジェイクが大学の寮に到着後 授業が始まるまでの3日間が描かれるだけなんだけど、必ず終わるモラトリアムのキラキラが愚かで眩しい。リンクレイター作品の中で一番バカで一番いい!(笑)


16.山河ノスタルジア ’15 (中・日・仏) 賈樟柯(ジャ・ジャンクー)

1999年から2014年を経て2025年を描く映画は、中国人は何でできているのか?と問い、中国語と餃子からできている―と答えて、かすかに微笑むのだ。


17.獣は月夜に夢を見る ’14 (デンマーク・仏) ヨナス・アレクサンダー・アーンビー

“異形のものの哀しみ”を描いた美しく不穏な“狼女”の物語。人間の 異質なものに対するいわれなき恐怖が暴走し、暴力に雪崩れ、それが大殺戮を招くのだが、圧倒的に寂しい!
そこを読む作品。


18.ソング・オブ・ザ・シー 海のうた
                    ’14 (アイルランド・ルクセンブルグ・ベルギー・仏・デンマーク) トム・ムーア

人間や動物はおろか 海や街や田園はもちろん 風や光までが細密にデザインされた アートアニメの洗練を眺める快感♪ ツル女房ならぬアザラシ女房のお話。


19.エルヴィス、我が心の歌 ’12 (アルゼンチン) アルマンド・ボー

エルヴィスのそっくりさんとしてクラブで歌う中年男の話…なのだが、不器用で愚かで迷惑で厄介な彼の人生に羨望を感じる自分を発見する奇妙な作品。


20.シークレット・オブ・モンスター ’15 (英・ハンガリー・仏) ブラディ・コーベット

ヴェルサイユ体制がドイツに強いた苛酷がヒトラーを産んだ―という図式を読ませるのに、映画はスコット・ウォーカーの音楽を容赦なく浴びせる。あの時代の不穏に戦慄する映画。

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