今度の旅の目的の一つは来年1年で廃線になる三江線に乗る事だった。
広島から芸備線に乗り三次へ。
三次から三江線の中間駅岩見川本駅行に乗る。
三江線はとにかく便が少なく不便である。
だからか一両の小さなディーゼルカーが満員だった。
坐れないで立っている者も沢山いた。
こんなに乗る人がいるなら廃線にしなくて良いはずなのだが、
乗っているのは私と同様に廃線になるからと、
わざわざ遠い所から乗りに来た乗り鉄の中高年ばかりなのだ。
乗り鉄馬鹿のオッサンでこれほど混むとはと本当にビックリしてしまった。
三江線は三次から江津まで乗り換えなしの直通が一本もない。
その上岩見川本で江津行に乗り換えるのに1時間半くらいも待たねばならない。
全線では100キロ以上もあるのに、たぶん日本一走る速度が遅い。
最高でも4・50キロしか出さないし、連続するカーブでは2・30キロくらいで走る。
線路は江川と迫る山に挟まれ、本当に恐る恐る走るのだ。
沿線に見える人家はぽつりぽつり、集落はごくまれにしかない。
山や川は美しく、人家は昔ながらの赤い石州瓦の家ばかり。
昔話に出てきそうな秘境の趣までただよう。
私は運転手の側にずっと立ったまま景色を楽しんだ。
するとディーゼルカーの走る前を狐が横切った。
秘境風な所を走る鉄道では、時々鹿や猪を見ることがある。
しかし狐は初めてだったから本当におどろいた。
こんな所では廃線になっても仕方ないと思いながら、
残してほしいと思わないではいられなかった。
岩見川本駅では地元の人が乗り込んできて、
廃線になる三江線に乗る為わざわざ来てくださり本当にありがとうございますと
大きな声で礼を言うから又おどろいた。
乗り鉄オッサンたちの中に外国人と日本人の異色のペアがいて、とても興味をひかれた。
それで話しかけると、日本人は個人で観光ガイドをしている外国通らしい。
外国人はその友達で日本の大学の教授だという。
その外人が私に輪をかけたような乗り鉄だと知りまたまた驚いた。
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