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2017年01月04日06:25

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さだまさしさんの優しさの原点にある体験

「人のあたたかさに
 触れたとき」と言えば、
今も忘れられない思い出が
あります。

中学2年の終わりの春休み
です。
当時、バイオリンの勉強の
ため東京で一人暮らしを
していた僕は、
一日でも早く親許の長崎へ
帰りたくて、ある日、
キップもお金も持たずに、
急行「雲仙」に飛び乗り
ました。
東京駅を朝10時30分に
出て、翌朝には長崎に着き
ます。
「キセルをしよう」と
考えたわけではないん
です。
ただ、実家からお金を
送ってくれる予定が
何かの事情で届かない。
望郷の念にかられた僕は、
気づいたら「雲仙」の
座席にバイオリンの
ケースを抱えて座っていた
のでした。

列車が動き出しました。
長崎駅までは23時間と
57分。途中で車掌さんが
検札に来れば、すぐに
無賃乗車がばれるのは
子どもの僕にでもわかり
ます。
「よくない」と思いつつも、
「次の横浜駅まで行って
 引き返そう」と身を硬く
して座っていたら、
意外に早く車掌さんが
検札にやってきました。
「どうしよう」。
もう、心臓が破裂しそうな
ほどバクバクです(笑)。

「正直に話して、
 次の横浜駅で降りようか」
とも思ったのですが、
結局、帰りたい気持ちが
勝ちました。
僕は咄嗟にポケットに手を
突っ込んでキップを探す
ふりをし、
「サイフとキップを
 落としたみたいです」と
泣きそうな顔でウソを
ついたのです。
車掌さんは困った顔で
「どこまで行くの?」と
聞きました。
「長崎」と答える僕。
一瞬の沈黙が流れたその
ときです。
向かいに座っていた
大学生のお兄さんが
立ち上がり、
「僕が立て替えて
 おきましょう」と
キップ代を
支払ってくれたのです。
「同じ長崎だから、
 長崎に着いたら返して
 くれたらいいよ」
と言って。

お兄さんは僕のウソを
疑うどころか、
「お腹、減っただろう」
と昼どきと夕方に
駅弁とお茶を買ってくれ、
翌朝にはうどんまで
食べさせてくれました。
長崎駅に着くと
お互いの住所を交換し、
僕は
「できるだけ早く
 お返しに上がります」
と深々とお辞儀して走り
出したら、
「おーい、おーい」
とお兄さんが後ろから
追いかけてくる。
何だろうと思って止まると、
「どうやって帰るの?」
と聞く。
「歩いて帰ります」。
お兄さんは
「歩いてたら、2時間
 かかるじゃないか」と、
百円玉を握らせてくれ
ました。
「これは貸すんじゃない。
 上げるから
 電車で帰りなさい」。
そう言い残して去っていく
お兄さん後ろ姿を見送り
ながら、涙がぽろぽろ
こぼれました。
おかげで市電に乗って
30分足らずで帰ることが
でき、
事情を聞いた母は
その日のうちに、
カステラを持って
お兄さんの家へお金を
返しに上がりました。

そのお兄さんとは
それっきりですが、
このとき、こんな大学生に
出会えたというのは、
僕の人生において
本当に幸運でしたね。
13、4歳のいちばん多感な
年代に、人のあたたかさに
触れただけでなく、
「人に親切にするとは
 こういうことですよ」
と教えてもらったわけです
から。

あのお兄さんに
出会わなかったら、
その後の人に対する
接し方も変わっていたで
しょうね。
非常に勇気づけられる、
ありがたい体験でした。

『奇跡 〜大きな愛のように〜』 さだまさし
https://www.youtube.com/watch?v=-ChZaEs46ZM

さだまさしさんの優しさの原点にある体験 http://open.mixi.jp/user/4996713/diary/1957805815
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