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2016年11月17日22:11

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晩秋から初冬の甲武信ヶ岳

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甲武信小屋には薪ストーブの火が赤々と燃えていた。

椅子に座るなりご主人の徳ちゃんに「焼酎飲むか?」と聞かれた。
「はいっ!」
「即答だなあ」他の登山客が笑って言った。
私はすっとその仲間に入っていった。

「どうして今の季節に甲武信ヶ岳に登ろうと思ったんですか?」登山客の一人が聞いた。
「多分私の勝手なイメージなんですけど・・・奥秩父、甲武信ヶ岳には落ち葉の季節が似合うと思ったんです。落ち葉を踏んで歩く、葉の落ちた木々の間から向こうの山が見える、それが私の甲武信ヶ岳に対するイメージなんです。」
「そうか、シャクナゲや紅葉よりも落ち葉なのか。」

そう、樹林帯の甲武信ヶ岳、華やかなシャクナゲや紅葉の季節よりも静かな落ち葉の季節に歩いてみたいとずっと思っていた。
11月12日に東京で中学の同期会があると聞いて、参加したついでに行くなら甲武信ヶ岳に行きたいなと思った。

11月13日

西沢渓谷は紅葉が有名だ。もう終わりかけだが、まだ多くのハイカーが訪れていた。
そんな人たちから離れて徳ちゃん新道を登る。
この道を開いた徳ちゃんは人気があるようだ。どんな人なのだろう。
昔ながらの雰囲気を残している甲武信小屋、どんな感じなのだろう。
そして、昔から憧れていた甲武信ヶ岳。どんな山なんだろう。

道は急なところと緩やかなところの繰り返しで歩きやすい。
歩き始めはまだ紅葉が残っていた。

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カラマツの黄葉も少し残っている。

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やがて、すっかり葉が落ちた木々の間から向こうの山が見える。
そう、これが私が思い描いていた奥秩父の山の雰囲気だ。

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今日はコースタイム通りなら3時半過ぎに着く。だが、ゆっくりしていると4時になってしまう。
日の短いこの時期、少しでも早く小屋に着きたかった。
夏のテント泊の荷物に比べたらずっと軽い。足どりも軽い。
もっと早く小屋に着けそうだ。

やがて雪が出てくる。数日前に20センチほどの積雪があると聞いていた。
木賊山には小さな雪ダルマが残されていた。
小屋まであと少し、面倒なのでアイゼンを付けないで下りだした。
つるっと滑ってしまった。あわててアイゼンを付ける。

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昔懐かしいような木の造りの甲武信小屋に着く。

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熱いお茶を出してくれる。ほっとする。
だが、まだ2時半だ。予定より1時間早い。この時間なら山頂まで行って来れる。
今日はいいお天気だが、明日は曇りのち雨の予報だ。
今から山頂に行こう。受け付けを後にしてもらって、山頂に向かう。

山頂に近づくと、上から降りてきた男性が「山頂で写真を撮ってあげましょうか?」と声をかけてきた。
「山頂はまだですか?」」
「すぐそこですよ。どうせ暇だから戻って写真を撮ってあげますよ。」
「今日はまだ自分の写真は撮ってないんです。お願いします。」

3時過ぎだというのに、山頂からは素晴らしい景色が広がっていた。

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新雪をまとった富士山。
すぐ近くには奥秩父の国師ヶ岳から金峰山。その後ろには南アルプス。
遠くには北アルプス。
夕方になってもまだ青空が広がっていた。

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薪ストーブの前での語らいは続く。

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5時になると夕食。食堂に移動する。
今日の宿泊は私を入れて6人だ。
4人ずつテーブルに座る。私の前には徳ちゃん。そして単独の男性二人が同席だ。
もう一つのテーブルには夫婦連れと単独の男性、そして小屋の若い女性のごっちゃんが座った。

いつもはカレーライスにちょっとしたおかずが付くだけのようだが、今日は揚げ出し豆腐、ポテトサラダ、野菜の炒め煮が付いた。豪華な食事だ。
徳ちゃんが貰い物だという焼酎「一刻者」を振舞ってくれる。
今日はラッキーだ!

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徳ちゃんから「徳ちゃん新道」を切り開いた時の話を聞く。
新道とは言え、昔あった道を一部変えて復活させたそうだ。

徳ちゃんは先に休んだが、ごっちゃんと登山客で消灯の8時までいろいろな山の話をした。
今日の登山客はみんな50歳以上だった。年輩のご夫婦は登山歴40年以上のベテラン。
山に対する気持ちで共感できることが多くて楽しかった。

電気が消され、ランプが灯った。

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11月14日

早朝の甲武信ヶ岳山頂にいるのは私一人。
他の登山客は、西沢渓谷に下る人と、雁坂峠のほうに向かう人。
甲武信ヶ岳に登る必要はない。昨日のうちに山頂に登っている。
あえて曇り空の甲武信ヶ岳に登ることもない。

私が下る毛木平への道は山頂を通らないといけない。
だが、小屋から20分で登れる山頂、きっと私なら別のコースにしても早朝の山頂に立っただろうな。

木々の間の雲の間から日が射した。

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ご来光は見られなくてもそれで充分。
薄日を浴びた八ヶ岳が美しい。
南アルプスも昨日よりも雪の様子がよくわかる。

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こんな間近で富士山を見ることはしばらくないだろうな。

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凍結した雪の上をアイゼンを効かせながら下る。

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千曲川信濃川の水源に出る。

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一杯の水を飲んで下っていく。
道は緩やかで歩きやすい。
でも・・・下りだからいいけど、登りだったら飽きちゃいそうな道だ。

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なめ滝がこの道のアクセントだ。

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毛木平に着く。
後は車道を梓山のバス停まで歩くだけ。

広々とした川上村の高原野菜の畑。
取り残された白菜を大型の機械がすきこんでいく。
観光地化された西沢渓谷とは別の世界だ。

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山を下りて、山里の人の生活を感じながらバス停に向かった。



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