mixiユーザー(id:78391)

2016年11月05日22:34

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 【質問】 「ホロコースト」という言葉は,いつから使われるようになったのか?(下書き)

 【回答】
 ユダヤ人の迫害・虐殺という意味での「ホロコースト」は,1960年代に正統性を獲得し,1970年代から北米で広く用いられるようになった.
 1973年の中東戦争は,イスラエルがアラブ諸国によって全滅させられるかもしれないという恐れを抱かせ,これがホロコーストとそれの現代社会への影響について考えさせる効果を生んだ.
 また,1970年代に人権剥奪問題が世界的に注目されるようになる共に,アメリカの教育者たちは人権・ジェノサイド・ホコローストといった問題に目を向け始めた.
 教育プログラムが整備され,アムネスティにはノーベル平和賞が贈られ,ホロコーストの生存者・目撃者の証言の記述が多く発刊されるようになり,70年代末にはテレビで短期連続番組「ホロコースト」が放映されるに至った.

 但し「ホコロースト」という言葉を使うのは不適当と考える研究者もいる.
 ホロコーストの語源であるギリシャ語の言葉は,火によって丸焼きにされ,神にささげられる犠牲の供物を意味しているが,ユダヤ人の迫害・虐殺にはどんな犠牲の意味合いもなく,火との関わりの必然性もないからである.
 今日ヨーロッパでは,ホロコーストという言葉は次第に使われなくなっており,「ショアー」または「ジェノサイド」という言葉が使われる.
 しかし英語圏では,「ホロコースト」という言葉が深く根付いている.

 詳しくは,
ウォルター・ラカー『ホロコースト大事典』(柏書房,2003),序文, p.16-18 & 638

 つまり,アメリカではホロコーストの記憶は主に教育によって与えられるものであるので,ロスの「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」もその流れで自然,他国に対しても「教育的指導」を行おうという姿勢になっているように愚考される.
 そしてそれは,他国の人々にとっては押しつけがましく感じられる可能性があるだろう.

 なお,最初にこの言葉をこの意味で使い始めたのはエリ・ヴィーゼルらしいのだが,編者は未確認.

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