野平さんのピアノ譜が送られてきたときは、その硬質で煌びやかな筆致に、その完成度にどうオーケストラをつけたものかと悩みまして、先づはそのピアノ譜を書き写すところから始めるわけですね、もう自分で写譜をするなんてことは何十年絶えて無いことですから、なかなか辛い、それでも他人の譜面ですから自分では選ばないような音が使われていて驚くわけです、それが続けているうちに自分のなかに入ってくる、これは勉強になるというか得難い経験でしたね、その完成度を活かして敢えてオーケストラをつけないということもしました
書かないというのも決断ですよね
それにこの人はクライマックスのところで4オクターブもの飛躍を、バンバンと(手振り)入れてくるのも私としてはあり得ないことで
あれはなんか叫びたくなったんだね
それに対して私は一回めはスルーしましたが、二回めからはオーケストラを反応させまして、しかも私ならそういうところを4/4とかきっちりと書くのですが、この人は8拍子とかそういうことをするもんですからオーケストラもピアノも大変なことになっている、これからこの人はピアノを弾くわけですが云はば自業自得
自分で書いたときは弾けると思って書いているわけですよ、でも完成してみるとね、ひと月ぐらい前になってそう云へばどうするのかと心配になるわけでして
ゲネプロを聞いていて思ったのは、そういった困難な箇所ほど演奏に熱が入って良くなるんだなあ、という
──【音楽】作曲家の個展II 2016 西村朗、野平一郎/サントリーホール
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[話し]下野竜也
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