フィリピンをめぐる日米・中の綱引き:援助競争で「売り手市場」になる世界
六辻彰二 | 国際政治学者
2016年10月25日 21時27分配信
羽田空港に到着したドゥテルテ大統領(2016.10.25)(写真:ロイター/アフロ)
10月25日午後、フィリピンのドゥテルテ大統領が初めて来日しました。ドゥテルテ大統領はフィリピン国内で麻薬取引に関係した者を「超法規的に」処刑することも辞さず、これを批判した長年の同盟国である米国政府との防衛協力からの「離脱」に言及。フィリピンと米国の関係は悪化の一途をたどっています。一方、ドゥテルテ大統領は前政権が国際司法裁判所に提訴した、南沙諸島に関する領有権問題で悪化した中国との関係修復には前向きです。
この背景のもと、ドゥテルテ大統領の訪問を日本は官民をあげて歓迎し、「日米側」につなぎとめようとしています。
ドゥテルテ大統領をめぐっては、すでに様々な論説がみられます。なかには、ドゥテルテ氏が中国を「本心から」礼賛しているかを疑問視する意見もありますが、これは少なくとも国際政治の観点からいえば、ナンセンスな問題提起です。本心は問題ではなく(第一、それは誰にも測れないものです)、どこに利益を見出し、どんな行動をとったかを問題にすべきです。
その観点からすれば、ドゥテルテ大統領がどこまで計算ずくかはさておき、同氏の行動パターンは現代の世界では決して珍しくないものといえます。そこでのキーワードは「援助競争」と「売り手市場」です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mutsujishoji/20161025-00063688/
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