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2016年10月09日20:23

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郷原信郎さんがリツイート:高畑裕太さんに関する誤報問題、「創」篠原氏の記事。

「今更、美人局の被害者をとっ捕まえておいて、相手は男女セットの暴力団関係でした、被害者は高畑裕太氏ですとは、格好悪くて言えない
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1955698799&owner_id=38378433
の追記

2016/10/09
郷原信郎さんがリツイート
*−−−−−−引用開始−−−−−−−−−*
川島素晴 ‏@action_music

高畑裕太さんに関する誤報問題、「創」篠原氏の記事。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shinodahiroyuki/20161007-00063019/
9/10には郷原弁護士により、推定無罪を無視した人権侵害との指摘が。
https://nobuogohara.wordpress.com/2016/09/10/
様々な損害を生じさせる誤認逮捕と誤報。皆様もお気をつけ下さい。

2:05 - 2016年10月9日
*−−−−−−引用終了−−−−−−−−−*

高畑裕太さんに関する誤報問題、「創」篠原氏の記事。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shinodahiroyuki/20161007-00063019/
*−−−−−−引用開始−−−−−−−−−*
高畑裕太「強姦」報道の誤りは、事件報道の構造に関わる深刻な問題だ
篠田博之 | 月刊『創』編集長
2016年10月7日 22時56分配信

高畑裕太「強姦致傷」事件の真相について書いた月刊『創』11月号の記事は予想通り反響を呼んでいるが、意外だったのは、私の知人のメディア関係者の間でも「こんなこととは知らなかった」という人が結構多いことだ。確かに当初の報道が違っていたことは週刊誌などで断片的に伝えられてはいるのだが、多くの人にとっては最初に新聞・テレビが一斉に報道した内容がいまだに記憶に残っているわけだ。つまり裕太さんが「歯ブラシを持ってきてほしいと女性を呼び出し、部屋に引きずり込み、手足を押さえつけて強姦した」という誤報が、いまだに流通していると言ってよい。

この事件、調べれば調べるほど、そのひどさに深刻な気持ちにならざるをえない。ひどいというのは、現在の事件報道の構造的欠陥が見事なまでに反映されており、しかもそれをどう改めたらよいのかというと、ほとんど絶望的な状況だということだ。そもそもこの事件は、逮捕されたのが人気急上昇中のタレントで、母親も有名な女優だったから大きく報道されたのだが、例えば相模原事件などのように丹念に続報が行われるケースではない。その後は、9月9日に不起訴になったという報道があっただけだが、この不起訴というのがどういうことなのか説明もなされず、何が何だかわからないまま事件が突然、終息した。高畑さんサイドが金を使って事件をうやむやにしたのではないかと、事実と正反対の解釈を信じている人も少なくない。

そもそもメディアが8月23日から翌日にかけて一斉に裕太さんの逮捕を報じたのだが、そこでは「警察の発表によると」という前置きに続いて「歯ブラシを持ってきてほしいと女性を呼び出し、部屋に引きずり込み、手足を押さえつけて強姦した」という説明がなされていた。ほとんど同じ内容が全マスコミで報じられたというのは、それが警察から出たものである以外ありえないのだが、実は今に至るも、警察はそういう正式の発表はしていないと言っている。誤りだったとしても責任をとらないですむように、それはリークないしオフレコの懇談といった場で説明され、警察はマスコミが勝手に書いたと主張する。これはもう警察とマスコミによる常態化した慣習だ。

さらに言えば、逮捕時の警察発表というのは、これから本格的な捜査や取調べがなされるという段階で、容疑内容について確実な裏取りがなされていないものだ。だから警察も責任の所在を曖昧にしてマスコミに伝えるのだが、それをまたマスコミは独自の裏取りもせずにそのまま記事にしてしまう。

だから警察の見立てが間違うとマスコミ報道もそのまま間違えるという構造なのだ。それをわかりやすく示したのが松本サリン事件の河野義行さんのケースだ。あれはオウム真理教が犯人だと後に判明したので河野さんの嫌疑が晴れ、マスコミも謝罪したのだが、通常はそんなふうに責任を問うことなく曖昧にされる。

検察が事件を不起訴にしたのは、取調べが進むうちに、当初の警察の見立てに無理があることがわかり、事件にするのが難しいと判断したからだろう。この事件の場合、被害者とされた女性の「内縁の夫」と称する元暴力団組長が事件を通報し、騒ぎを拡大する一方で示談交渉を進めていくのだが、途中で警察はそれに気づき、高畑さんサイドに「気を付けた方がいい」とアドバイスまで行っている。

警察も途中から、慎重にしないと危ないと思い始めたようなのだが、弾みのついた芸能マスコミは、一度決めた方向性にのっとってこれでもかとバッシング報道を増幅させていった。裕太さんが本当に容疑を認めているのか否認しているのかという基本的なことを確認する報道機関もなかったのだ。実際は、高畑淳子さんが8月26日に記者会見で「被害者とされた女性」という表現をしていたその時点で、既に裕太さんサイドは否認に傾いていた。

裕太さんは8月23日の午前5時前に寝ていたところを警察に踏み込まれて、前橋警察署へ任意同行され、午後1時40分に逮捕されるのだが、その間、どんな動きがあったかは次第に明らかになりつつある。

被害者とされた女性から話を聞いて、通報を行った元暴力団組長X氏は、自らホテルに乗り込み、同じホテルに宿泊していた映画関係者に詰め寄り、真夜中であるにもかかわらず、東京の裕太さんの事務所に連絡させている。事務所責任者と弁護士が現地に行けたのは朝になってからだが、弁護士が午後1時前に裕太さんに接見して事実を確かめる前に、前橋署の控室でX氏は表ざたになる前に示談金を用意することを事務所側に詰め寄っていた。

裕太さんは、午前中の事情聴取で「強姦していないと言ったって被害者女性が強姦されたと言っているのだから強姦罪は成立するんだ」と警察に説明され、容疑を認めたかのような調書をとられてしまう。

その後、午後1時前に弁護士が接見し、悠太さんに認否についての説明などをするのだが、午後1時40分に警察は逮捕状を執行し、マスコミに「本人も容疑を認めている」という説明を行ってしまう。それによってマスコミが一斉に動き出し、大騒ぎになっていった。

そして高畑さん側がどんどん窮地に追い込まれていくのを見て、X氏の要求額は1000万、さらには何千万という金額に跳ね上がっていく(最終的には1500万円で示談が成立したという)。強姦してないのならなぜ示談に応じたのかという人は少なくないのだが、あの騒動が拡大していく過程では、起訴される可能性もあり得たし、示談に応じるという判断はやむをえなかったのではないだろうか。

示談というのは通常、事が大きくなる前に双方の利益を考えていっさいを不問に付すということだが、この事件の場合、問題は、裁判どころか本格捜査が始まる前の第一報の段階であらゆるマスコミが、もう裕太さんの「強姦致傷」を確定した事実と報道してしまっていたことだ。無罪推定どころか、マスコミが捜査も始まらない段階で、事実上の「裁き」を行ってしまったといってよい。

歯ブラシ云々の説明は事実として大々的に報道された。実際には事情聴取で、裕太さんは、全く異なる経緯を供述していたのだが、当初の警察の見立てが、裏のとれた事実であるかのように報道されたのだった。

経緯を追っていくと本当にひどい話なのだが、ではこの誤りがどう正され、どうすれば改められたかと考えると、これがなかなか難しい。そこはまさに事件報道の構造的問題で、深刻だと思わざるをえないゆえんだ。結果的に多くのマスコミが誤報を行ったわけだが、ほとんど他人事だ。

逮捕時の警察の説明に基づく初期報道が結果的に誤りだったというケースは、実は少なくない。かつ、それを報じられた側が裁判に訴えたケースもある。ところがその裁判で訴えられたマスコミがどう対応するかというと、その報道の根拠が警察の説明であることを、取材メモをもとに弁明するのだ。オフレコという建前だから隠し取りした録音テープなどは証拠提出できないのだが、取材メモを詳細に提出することで、情報源が警察であることが立証されたとして、誤報を行った報道機関が免責されるケースもある。でも、自分たちが独自の裏取りを行わず、いかに警察の言うままに報道しているかを必死になって主張するマスコミって何なのか、見ていて哀しくなる。

本来、マスコミの役割というのは、権力が暴走したり乱暴な捜査が行われないようチェックし監視することだ。ところが実際にそれと反対に、警察の説明をタレ流しているのが実情だ。確かに事件の初期報道でいちいち裏取りを行っている時間的余裕はないともいえるのだが、事件報道の根本の問題点はそこにある。

今回の高畑「強姦」騒動を調べれば調べるほど、事件報道の構造が浮き彫りになってきて、情けなくなってしまう。

そうした経緯については、このブログで以前書いた記述も参考にしてほしい。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/shinodahiroyuki/20160919-00062363/

これを書いたのは『週刊文春』9月29日号が詳細な報道をする前で、同誌の報道によって局面は大きな転機を迎えるのだが、その前に書いたこのブログ記事も間違ってはいない。

事件の詳細については『創』11月号をぜひ読んでほしいのだが、ここで事実関係について書いたごく一部の記述を紹介しておこう。ちなみにこの事件をネットでは「美人局(つつもたせ)」と書いている人もいるが、そこまでX氏側が計画的に仕組んだものではないと思う。以下、『創』11月号「高畑裕太“強姦致傷”騒動の真相はどうだったのか」からの引用だ。

《事件の夜、いったい何があったのか

裕太さんが事件の起きた前橋市内のホテルにチェックインしたのは8月21日、映画『青の帰り道』の撮影のためだった。8月22日夜、被害女性と話を交わしたのは夜8時過ぎで、飲みに行くのだけれどいいお店はないですか、とフロントにいた女性スタッフに声をかけたのだった。映画関係者らと居酒屋とバーで飲んで裕太さんがホテルに戻ったのは深夜1時過ぎだったという。そこで再びフロントにいた女性と会話がなされた。

その中で女性は「群馬にはいつまでいるんですか」と問い、裕太さんが「明日帰ります」というと、「そうですか、残念ですねえ」などと語ったという。そして裕太さんはその女性を「部屋に来ませんか」と誘った。女性は「仕事中だから無理です。部屋に行って何をするんですか」などと話したという。

裕太さんはフロントにあった歯ブラシを部屋に持って来てほしい、5分後に405号室に来てほしいと誘って、一度自分の部屋に戻った。しかし、女性がやってくる気配がないため、2〜3分後に再びフロントへおりた。そして再び女性を誘い、二人でエレベーターに乗って部屋へ戻ったのだった。女性は仮眠をとっていたもう一人の女性にメモを残してフロントを後にしたという。

エレベーターの中で裕太さんは女性にキスをした。そして降りた後、二人は気付かれないように部屋に入った。このビジネスホテルは、実際に取材した記者らが書いているように、隣の部屋の物音が筒抜けになるような作りだった。テレビの音が聞こえるどころか、コンセントを抜き差しする様子さえわかると言われるほどだ。

問題の部屋の両隣には映画のスタッフがいた。そもそも部屋に引きずりこみ、押さえつけて強姦するといった話は、そのホテルの構造を知っていれば、どう考えても状況にあわない。》

そのほかにも当初の「歯ブラシ云々」の報道が事実と違うと思われる事情はいろいろ明らかになっている。裕太さんはあくまでもナンパだと認識していたのだが、その女性がフロントに戻ってから、「内縁の夫」X氏にその話を(恐らく電話で)話し、X氏が乗り出してくるあたりから、様相は一変していったと思われる。

この騒動がどういう経緯でどう拡大していったか、そしてどこに問題があったのか。ぜひ『創』の記事を読んで一緒に考えていただきたいと思う。

http://www.tsukuru.co.jp
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郷原信郎が斬る
https://nobuogohara.wordpress.com/2016/09/10/
*−−−引用開始−−−*
「推定無罪」を無視した高畑裕太氏事件を巡る報道・放送
投稿日: 2016年9月10日 投稿者: nobuogohara

8月23日に、強姦致傷罪で逮捕された俳優高畑裕太氏が、昨日(9月9日)、不起訴処分となり、釈放された。 同氏の弁護人は、以下のようなコメントを発表した。

 今回、高畑裕太さんが不起訴・釈放となりました。

これには、被害者とされた女性との示談成立が考慮されたことは事実と思います。しかし、ご存じのとおり、強姦致傷罪は被害者の告訴がなくても起訴できる重大犯罪であり、悪質性が低いとか、犯罪の成立が疑わしいなどの事情がない限り、起訴は免れません。お金を払えば勘弁してもらえるなどという簡単なものではありません。

一般論として、当初は、合意のもとに性行為が始まっても、強姦になる場合があります。すなわち、途中で、女性の方が拒否した場合に、その後の態様によっては強姦罪になる場合もあります。

このような場合には、男性の方に、女性の拒否の意思が伝わったかどうかという問題があります。伝わっていなければ、故意がないので犯罪にはなりません。もっとも、このようなタイプではなく、当初から、脅迫や暴力を用いて女性が抵抗できない状態にして、無理矢理性行為を行うタイプの事件があり、これは明らかに強姦罪が成立します。違法性の顕著な悪質な強姦罪と言えます。

私どもは、高畑裕太さんの話は繰り返し聞いていますが、他の関係者の話を聞くことはできませんでしたので、事実関係を解明することはできておりません。

しかしながら、知り得た事実関係に照らせば、高畑裕太さんの方では合意があるものと思っていた可能性が高く、少なくとも、逮捕時報道にあるような、電話で「部屋に歯ブラシを持ってきて」と呼びつけていきなり引きずり込んだ、などという事実はなかったと考えております。つまり、先ほど述べたような、違法性の顕著な悪質な事件ではなかったし、仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をしたと思われた事件であります。以上のこともあり、不起訴という結論に至ったと考えております。

平成28年9月9日



弁護人が、不起訴処分になった事件についてこのようなコメントを出すのは異例だ。そうでもしないと、「強姦魔が、金に物を言わせて、被害者と示談し、処罰を免れた」というような憶測に基づくバッシングが続くことが懸念されたからであろう。弁護人としては、「被害者」側の了解がなければ、このようなコメントはできないはずだ。被害者との間での示談も、実質的には、「強姦」というほどの事実ではなかったことを被害者側が認めた上で行われた可能性もある。

高畑氏及び弁護人の側が、そのような懸念を持つのも当然と思えるほど、同氏の逮捕以降の報道は異常だった。「人気俳優が重大な性犯罪で逮捕された」として、連日、ワイドショー等でも大々的に取り上げられた。この時点で、客観的に明らかになっていた事実は、「強姦致傷での逮捕」だけであり、それ以外に、本人や弁護人のコメントはなく、「容疑を認めている」という情報についても、警察の正式コメントか否かも不明であった。

にもかかわらず、逮捕が報じられた後、「俳優高畑裕太が悪質重大な強姦を犯した極悪非道な性犯罪者」だということが、ほとんど確定的事実のように扱われ、母親の高畑淳子氏が記者会見の場に引き出されて、300人もの記者から過酷な質問・追及を受け、その場面での高畑淳子氏の発言までもが事細かに取り上げられていった。

しかし、報道されていた断片的な事実などからすると、果たして、強姦致傷の事実があったか否か自体が、疑問な事案であると言わざるを得ない。強姦の被害申告をしてきたのが、被害者本人ではなく、被害者の「知人」であるというのは、あまり一般的ではない。通常であれば、他人には明らかにしたくない事実であって、それが、事件後短時間の間に知人に話し、その知人がすぐに被害を届け出ている。また、態様にしても、ビジネスホテルの客室という周囲に音が聞こえやすい場所なので、被害者が抵抗したり、大声を出したりすれば、すぐに周囲に発覚するはずだ。なぜそのような場所で「強姦」をしようとしたのか、疑問がある。

私は、「示談の成否にかかわらず、起訴される可能性は低いだろう」と考えていた。そのことを、ブログで書こうかとも思ったが、重大な性犯罪で有罪になることを決めつける圧倒的な報道・放送の中で、それを否定する方向での意見を述べても理解されるとは思えない状況であったので、フジテレビのバイキングという討論番組に弁護士コメンテーターとして出演した際に、「強姦致傷といっても、様々な事案がある。まだ逮捕されただけの段階であり、起訴されるかどうかもわからないのだから、重大な犯罪を行ったとの前提で先走って話をすべきではない。」ということを繰り返し述べるにとどめた。

この件に関する同番組への3回目の出演となった8月30日、ある出演者が「これは凶悪犯罪」という発言をしたため、さすがに放置できないと考え、少し踏み込んだ発言をした。以下は、その時の発言内容である。

郷原)凶悪犯罪という言い方は絶対適切じゃないと思いますね。まず、まだ起訴もされていないんです。現時点であまり決め付けたものの言い方は絶対すべきではない。弁護人の立場から言わせてもらうと、「会見」というのは、弁護人としては好ましくないですよね。まだ認否も明らかにしていないわけです、弁護人は。本当にあの強姦の事実を認めているかどうかということも全く正式には何のコメントもないんですよ。しかし高畑さんが、お母さんが会見をすれば、当然聞かれますよね、「本人は認めていましたか?」と。そこでお母さんが何と言ったかと言ったら、「ルールがあって聞いちゃいけないそうです。」と。そんなことないです。母親が面会に行って「あなたやったの?」当然聞きますよ。それを聞いたからといって面会が禁止になるという、そんなことはないです。でも、だからと言って、それは嘘でしょう、なんてことは絶対言ってほしくないんです。そうやって息子が認めているのか認めていないのかということも、母親としては明らかにしたくないんですよ。

坂上)これは例えば、会見を開くということは、弁護士さんと相談していますよね。

郷原)していると思います。ですから、弁護活動という面で言えば、こんな段階で会見はしてほしくないですよ。

坂上)でも弁護士さんが、ある意味、GOを出したから、会見を開いたわけですよね。

郷原)そうでしょうね。もう致し方ないという判断でしょうね。その代わり、事件の中身についてはできるだけコメントしてほしくない。それがああいう発言につながったのかもしれないですね。

ヒロミ)じゃあ聞けることは聞けるんですね。接見の場では。

郷原)聞けます。

坂上)ただそこで変なやりとりというか、作為的な方向に行ったらダメってこと。

郷原)もちろん、罪証消滅の恐れがあるということになると、口裏合わせとかですね。そうなると接見禁止ということになるんですよ。でも、この事件ではありえないじゃないですか、被害者と加害者との間の一対一の話だから。それで面会ができなくなるということはちょっと考えられないですね。

ヒロミ)起訴されるか、されないかというのはどれくらいの時期に。

郷原)いろんな可能性がありますね、今後。ひょっとすると示談が成立して不起訴という可能性があるし、それに、捜査の結果、これは本当に強姦なのか、無理やりやろうと思ったんじゃないんじゃないかということが問題になって起訴できないという可能性だってありますよ

ここで発言しているとおり、この時点でも、不起訴処分は十分に予想されたことだった。

この種の性犯罪では、今回のように、被害者側の事情に加えて、今回のように不起訴で決着する可能性も十分にあるので、一般的には、逮捕されたというだけで、起訴前に事件が報道されることはほとんどない。マスコミは、事件の性格に配慮している。この事件では、高畑氏が人気芸能人であり、しかも、逮捕時の罪名が「強姦致傷」というセンセーショナルなものだったために、逮捕の段階から異例の「前のめりの報道」が行われた。

このような「前のめりのマスコミ報道」を招いた原因には、弁護士等の専門家のコメントが、影響したことも否定できない。

強姦致傷という罪名で逮捕されたというだけで、まだ、どのような事案なのかは全く不明であるのに、新聞でのコメントやテレビ番組での発言の多くが、「強姦致傷」という罪名だけで長期の実刑になるのが当然のように発言するものであった。

逮捕直後のスポーツ新聞の記事では、「元検事の弁護士」が、「恐らく高畑容疑者は4、5年の実刑判決」、「強姦致傷罪の場合、裁判員裁判で行われるので、もう少し重い実刑判決を受けるのでは」「一般の方の裁判員は性犯罪に厳しい傾向がある。このため最近の性犯罪の量刑は重くなることが多い。また強姦致傷罪は求刑通りの判決が出ることが多く、執行猶予が付くことは考えにくい」などと、高畑氏が強姦致傷罪で長期の実刑になるのが当然のようにコメントしているだけでなく、「手口や高畑容疑者のコメントを聞く限り、本当に初犯なのかどうかを疑いたくなる。手口が巧妙で、思いつきでやったとは思えない」などと、全く的外れな「指摘」まで行っているのである。

このような専門家コメントが、マスコミの「前のめり報道」を煽る結果になったことも否定できない。

今回の事件ほど、「推定無罪」という原則(「有罪判決が確定するまでは何人も犯罪者として取り扱われない(権利を有する)ことを意味する」(国際人権規約B規約14条2項))が著しく踏みにじられた例は他にないのではなかろうか。

一度犯罪者とされた人間が、不当な取扱い、辱め、迫害を受け、冤罪が繰り返されてきた不幸な歴史の中で、近代法の原則として、近代社会のルールとして確立したのが「推定無罪」である。

もちろん、有罪判決が確定するまで、「犯罪者」として扱うことが一切許されないわけではない。犯罪の嫌疑を持たれた時点、逮捕・勾留による身柄拘束、起訴、裁判で、本人が罪状を認め、それが公表されることなどによって、最終的に有罪となる可能性が高いと判断されれば、その程度に応じて、「有罪」との前提で取扱うことも相応に許容されるであろうし、特に、覚せい剤のように、本人が認めている限り、有罪判決になることはほとんど確実な事件であれば、逮捕段階から有罪視することも、それほど問題にはならない。

しかし、本件のような性犯罪では事情は全く異なる。事件の内容からして、起訴されるか否か、有罪判決に至るか否かには、多大な疑問があり、しかも、被害者の保護の要請もあるのであるから、逮捕の段階での事件報道は、極力差し控えるべきだった。

そして、そのためには、マスコミに対してコメントをする専門家の側にも、公表されている事実、明らかになっている事実から、客観的に事態を把握し、冷静になって、可能な限り正確なコメントをすることが求められていることは言うまでもない。

今回の高畑氏の事件に関する「前のめり報道」は、有名芸能人などの刑事事件に関する報道に関して多くの教訓・課題を残した。新聞・テレビ各社は、まず、これまで高畑氏に関して行った報道を真摯に検証し、不起訴処分・釈放という事件の結末と弁護人コメント等に照らして、不適切だったと考えられる報道や放送については是正措置をとるべきであろう。

(コメント欄に続く)

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