◆2日目
5:20/上高地バスターミナル(標高1505m)着(ここで最終日の荷物をデポ、登山届け
提出、朝食、装備チェック、トイレ等を済ます)⇒7:00/上高地を出発、登山開始⇒
7:45/明神(ここで8:00までウェアリング調整)⇒8:45/徳沢(標高1562m、ここで
9:15までレインウェア装着＆小休止)⇒10:10/横尾(標高1620m)到着(ここで昼食
＆登山計画再検討)⇒13:00/横尾山荘チェックイン
続きました。
【2日目】
さて、上高地です。2年ぶりです。取り合えず雨は降ってません。人が少ないです。秋のハイシーズン、不気味なくらい人がいません。シャトルバスがどんどん到着しますが、人が全然乗ってないのです。また、天気は確実に崩れる予報なので少しでも時間を稼ぐためか、みなさんそそくさと出発してしまいます。到着後1時間半以上バスターミナルでのんびり朝ごはん食べたりコーヒー飲んでるのは我々の一行だけではないでしょうか？まあ10分20分焦ったところで大局に影響はないですよ、きっと。ゆっくり支度をして前回と同じ7時ちょうど、上高地を出発です！
天気が悪いので途中の記念撮影はタイムスタンプ以外ほとんど無し。河童橋も素通り。確かに連日の雨のせいか、梓川がかなり増水している。でも不思議だよね。普通川が雨で増水って言ったら濁流じゃないですか。梓川は増水してても水がきれいなんですよ。とても透明。むしろ水量があるので青さが増してすごく綺麗です。川の美しさを思いながら最初のマイルストーン、明神へ到着。やはり動くと暑いね、ここで小休止を兼ねてウェアリング調整です。直ぐに出発。昨日の予報よりも更に悪くなって、雨は昼前どころか9時くらいから降り始めるとのこと。横尾までなら何とかなるかと思っていたが、甘かった。徳澤の手前でついに雨が降り出す。8時ですよ8時。昼過ぎって言ってたから12時くらいまで天気が持つをことを期待してたんですが、歩き始めてわずか1時間で雨が降り出してしまいました。ｼｮﾎﾞｰﾝ。
丁度キャンプ地の公衆トイレが見えるくらいの所で本降りとなり、急ぎトイレの軒下に駆け込む。止むどころかザーザー降りです。ここでレインウェア上下を着込み、ザックカバーを装着してチェストバッグにレインカバーもつける。とにかく横尾まで行ってそこで考えよう、とそそくさと出発。本降りなのでもう写真などは全く撮らず、ひたすら歩く。
10時過ぎには横尾に到着。公衆トイレの下で雨宿りしている人が大勢いる。横尾山荘は軒が小さいので人ひとりが一列になるくらいでないと雨宿りができない。外にいるのは厳しいので中へ。少し(いや、かなり)早いがここでお昼にすることに。3人とも迷うことなくスタミナ丼を注文。うーむ、2年ぶりに食べたけど、やっぱり美味しいね！食後にコーヒーなど頼みつつ、3人で山行計画再検討の緊急ミーティングを行う。元々の登山計画書では少なくとも涸沢まで行くのが大前提の計画となっており、天候による分岐は涸沢から先で3つほど行動パターンを用意していた。ところが今の状況、その涸沢へ向かうかどうかを判断しなくてはならない。
さて、どうしたものか。雨は今日に限ったことではなく、先週からずっと降り続いている。懸念した通り山荘のインフォメーションには
「18日に本谷橋とSガレの間で鉄砲水が発生」
との情報。横尾大橋にも縄がかかっており、増水しているので通行注意の看板が。横尾山荘のスタッフも同じで本谷橋から上は増水しているので往くのは止めた方がよいとのコメント。
そもそも無理して涸沢に上がるメリットを考える。下界でこれだけ雨が降ってガスっているわけだから、上はもっと酷いはず。一過性の雨雲なら通過を待つ、つまり涸沢で様子を見る、という選択肢も考えられるが、この後2日間は確実に雨の予報。雨の中ザイテンを登るのか？今月に入って最初の2週間でザイテングラートで滑落事故で3名も亡くなっている。更に白出のコルに上がって奥穂へのピークアタックの可能性は？最終日は晴れではなくて、単に雨が上がると考えねばならない。雨で濡れた岩稜帯を往くのか？登りはいいとしても吊尾根や重太郎新道は相当危険じゃないだろうか？引き返すとしても濡れたザイテングラートを降りるのも危険では？今月亡くなった3名は全て下山中に滑落している。
冷静に考えるとリスクしかない。ガスで景色も何も見えないなか、無理しても良いことないんじゃなかろうか？無理に涸沢に上がっても、そこで2日間滞在して戻って来る、という結果しか見えない。そもそも涸沢に着くまでに事故に遭う可能性も非常に高い。
昨年同ルートを通っているHGさんとOG原さんは二人とも
「危ないから止めよう」
とのこと。こういう時経験者の意見は非常に参考になる。確固たる根拠があるからだ。ってことで穂高方面へ進む案はここ横尾を以て中止が確定。問題はこれからどうするか、である。まだ11時前なので、今から上高地に引き返しても本日中に帰宅することは十分可能。帰りの電車の切符は払い戻せばよい。しかし松本のホテルはキャンセル料が発生してしまう。折角休み取って上高地まで来たのに、ノーピークで撤退は余りにも悔し過ぎる。
「んじゃあ蝶ヶ岳、登りますか」
唯一にしてベストの選択肢。全員同意。横尾に滞在出来ることが条件だが、初日は横尾山荘泊。翌日常念山脈の稜線に上がって蝶ヶ岳ヒュッテに泊。3日目に徳澤に下山して上高地に戻る。これなら蝶槍・蝶ヶ岳・長塀山と、ピークも3つ取れる。上高地から頑張れば日帰り可能な山を3日かけて登ることになるが、どうせ雨でスピードも出せないわけだし、のんびり登山もたまには悪くない。
早速横尾山荘に泊まれるか確認したところ、問題ないとのこと。但しチェックインが13時からなので、このまま食堂で2時間以上待たないといけない。一服しに外に出たり中に入ったりしながら時間が過ぎるのを待つ。人はまばらだ。まあそうだろうね、この時間でこれだけ雨が降っていたら、昼に上高地着で予定組んでる人はだいたいキャンセルなんじゃね？通過する人はみんな槍ヶ岳方面に歩いて行く。槍沢ロッジが目的地なら、この雨でも問題ないだろう。槍沢ロッジにはお風呂もあるしね。
それにしても横尾大橋を渡って行く登山客は皆無である。ずっと観察していたけど、本当に誰もいない。自己責任でどうぞ、なわけだけど、普通の感覚からしたらこれは通行止めだよね。
そうこうしているうちにチェックインの時間。宿泊受付へ移動。中はとてもきれい！初めて入ったけど、旅館みたいです。部屋は大部屋ではなく二段ベッドの8人部屋に案内される。これは快適だ。この部屋に泊まるのは自分ら含めて5人。昨日のバスに続き、ここ横尾山荘でも充電ができるのがうれしい。お風呂の時間までまだ2時間以上あるので、外で飲むことにした。庇のある公衆トイレまで移動して持参したワインとか日本酒とか焼酎とか売店で買ったビールとかで酒盛り開始。OG原さんが持参したフランスパンのバゲットをナイフで切って、ロースターで炙る。缶詰もバーナーで温める。カマンベールチーズのホールも登場。HGさんは持参したキャベツ半玉切って何やら調理開始。基本酒飲みの集まりなので、こういうことに妥協は一切ない。どのみち生食材は初日で消費、ザック重量を軽くしてから登るつもりだったので、明日の登りを考えるとむしろ予定通りか？
風呂の時間が来たのでそそくさと撤収。風呂は宿泊棟とは別に新設された施設で、これもとてもキレイ。石鹸やシャンプー類の使用が不可なのは槍沢ロッジと同じだが、ここはシャワーが自由に使えてお湯に困らないのがよい。ひと風呂浴びてきれいサッパリしたところで夕食。食後は談話室でビール飲みながら山雑誌など読みつつ、消灯時間を待ってするすると入眠。
その��に続く・・・。
■写真解説
�＿Ｈ�山荘の隣にある公衆トイレの軒下で酒盛り開始なのです。こういうワインのボトルなど、重量物は上に登る前に消費してしまわないといけないのです。ちなみにプラボトル。
��注意書きです。内容は書いてある通りで、横尾山荘のスタッフにも涸沢行くのは止められました。他にも「今月に入ってからザイテングラートで3名死亡」の張り紙もありました。
��時系列が前後しますが、蝶ヶ岳への登りはこんな感じ。見通しの利かない樹林帯の急騰を延々と登って行きます。
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