ラノベの感想を思うがままに述べるコーナー。
「ギルド<白き盾>の夜明譚(オーバード)3」
著・方波見咲
MF文庫J
待望の3巻が発売されました。
今回は、1巻を上回る面白さだったと思います。
読み始めてその日のうちに読破して、あとがきを読んでいたら「これで最後」だそうで。
なんでやねん!
3巻は間違いなく面白いと思うんですが、やはり2巻の内容がいまひとつだったというのが影響あるかもしれませんね・・・
ストーリーを説明すると、舞台は異世界ファンタジー。
騎士として落ちこぼれた主人公レイが、故郷を離れて新大陸へ。そこで傭兵稼業「ランサー」を目指すが、戦闘能力に乏しい彼はギルド<白き盾>の運営職として雇われた。
しかしこのギルド、マスターは正義感が強いものの情に厚すぎる少女。そして雇われているランサー3人は「ストライカー」という、高火力ながらも高費用のポジション。しかもよそのギルドから弾かれた問題児でもあった。
お人よしのマスター、経費のかかりすぎるランサーたち。レイは運営として、どうやって仕事を切り盛りしていくのだろうか。そして諦めきれないランサーとしての夢の行方は。
というわけで、戦闘能力のない主人公が頭脳で仕事やトラブルを切り抜けていくという流れなんですけど、ランサーとして戦いたいという夢も捨てきれない。そういう葛藤も、ストーリーとしてすごく面白いんですよね。
ただ、3巻すべてそうなんですが、後半でレイが逆転の一手を思いつくのが、かなり唐突というか、伏線が少ないのが気になりますね。
それでも1巻、3巻は、ストーリー展開が面白いので読み進められます。
特に3巻の、死を覚悟しつつも豪胆さを発揮して交渉するシーンは圧巻。
しかし問題の2巻です。
この2巻の問題点は「ストーリーの軸がとっちらかっている」印象を受けるんですよ。
この巻では、ストライカー3人のうちの1人、ネコ耳少女アメリアが中心となった話・・・っぽいんですけど、2巻でいきなりやることじゃないと思うんですよね。
ストーリーの基本的展開は、やはりレイの「商売的逆転」なんですよね。
ギルドがピンチになって、それをレイの交渉術や作戦で切り抜ける。
自分のギルドよりもはるかに大手のマスターと交渉で渡り合い、あるいは政府を相手に利益を引き出す。
もちろんというか、ラストはランサーたちとモンスターのバトルシーンがくるわけですが、作品の見所はそこじゃない。
そして、レイの葛藤と、ギルドマスターでありヒロインのマリールイズの葛藤もまた、作品の味だと思います。
主人公のレイやヒロインのマリールイズに感情移入しながら、自分たちより巨大な企業や政府といった「社会」と対峙するわけです。
ランサー3人の過去の話は、うまく扱えばストーリーの軸になりえると思いますが、2巻では、主な視点主であるレイがほとんどアメリアと絡まなかったので、消化不良感がありました。
レイはレイ、アメリアはアメリアで分裂してしまっている。
もったいなかったなぁと思うわけです。
それにしても、まさか3巻で打ち切りとは思いませんでしたよ・・・
「輜重車の悪魔」とか、もう一生忘れないふたつ名だろうなぁw
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