「オイラーの贈り物」という本がある。eのiπ乗が-1となる解説書で、450ページの厚いハードカバーとなっている。著者は吉田武。
この式は数学者オイラーが記したもので、実に素晴らしい。私もその証明を知りたいと思い、10年ほど前に購入して、少し読んではいたのだが、なにせ分厚いし、証明には直接関係ないだろうと思われる記述が延々とあるので、途中で止めていた。
一昨日、久し振りに手に取り、ぱらぱらとめくっていると、eのiπ乗が-1となることはテイラー展開を利用することで、あっという間に証明できることに気がついた。
ならば、テイラー展開を理解すればいいことになる。それはテイラー多項式を理解すればよく、造作もないことだ。ということで、ほんの1時間で氷解したのである。
そうすると、この本のやり方に疑問を感じざるを得ない。パスカルの三角形、関数、微分、積分、三角関数、テイラー展開と続き、やっとオイラーの公式となるのだが、いろいろ裾野を網羅して、その上で証明しょうとするのは、ひどく面倒で、これでは行き倒れが多発する。
私が思うのは、真っ先にテイラー展開を使って、eのiπ乗が-1となることを示し、次にテイラー展開とはこういうものだと、示していけばいい。その中に微分、積分が使われているので、そのことを知らない人は、次に微積分を追及すればいい。
肝心な証明との関係が示されないで、砂を噛むような準備が延々と続くような説明はいただけない。とまあ、散々と、この本の良くないところを書いたが、この本のお陰で難題を理解できたことは間違いないので、大事にしたいと思っている。
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