「ヤング･アダルト･ニューヨーク」
監督･脚本：ノア･バームバック
ｍ：ベン･ステイラー，アダム･ドライヴァー，チャールズ･グローディン
アダム･ホロヴィッツ
ｆ ：ナオミ･ワッツ，アマンダ･サイフリッド
ニューヨーク ブルックリンに暮らす40代の夫婦の
オレたちだって“大人になれるもん！”みたいなお話(笑)。
もう８年も新作を撮っていないドキュメンタリー監督ジョシュと
映画プロデューサーであるその妻コーネリアが
映画監督を目指すジェイミーとその妻ダービーの20代夫婦と出会い
彼らの“イケてるライフスタイル”にハマってしまう…のだが、
40代にして世界に対してつっぱって(・・・・・)いなければ表現者たり得ない…みたいな
息苦しいスタンスから離れられないジョシュ，コーネリア夫婦の在りようが
痛いやら恥ずかしいやらカワイイやら…で、
このハンパないトホホ感こそノア･バームバックなのだ。
表現者であり続けたい欲望と それに成功していない者のジタバタは
この人の作品の核で、
要するにインテリの書くインテリの情けない生態が笑える…ところが
“ポスト･ウッディ･アレン”なんだろう。
乗り越えるべき父の世代(義父は世界的ドキュメンタリー作家)に対し
どうしようもなく不器用なジョシュと対照的に
慇懃にそつなく接する今時の20代ジェイミーのテキトーな距離感が
笑えると同時にリアルで、
ああ40代は色々恥ずかしいなぁ…哀しいなぁ…と思い
でも、大人には大人の平穏を受容する愉しみもあるのよ…と、
ちょっと大目に見てくれるラストが
いちばん大人だったかもしれない。
『フランシス･ハ』が衝撃的によかったから
なんだか上手に納まりすぎ…な気もしたけれども。
「ストリートオーケストラ」、
15年ブラジル映画。セルジオ･マシャード監督作品。
交響楽団のオーディションに落ちたヴァイオリニストが食うために
スラム街の学校のオーケストラを指導することになるお話。
実話が元になっているらしい。
いわゆる感動路線を外すことはない展開なのだけれど、
とにかくファベーラは危険！
子供たちの環境は非常に過酷で
クラシックを演奏し それを楽しむ…なんて場所じゃない。
才能のある少年があっさり死んでしまう件に唖然としてしまった。
普通この少年がラストの演奏会へ向けて物語を引っ張るキーパーソンだろうに
ギャングの抗争は容赦ないのだ。
主人公ラエルチが暮らすエリアからスラム街へと入って行く道程に
ブラジルの格差や貧困が映っている。
音楽がそれを往還する“力”となり得る…と語るには
かの国は問題が多すぎるような気もするけれども…。
「魔法使いの嫁 星待つひと【前編】」、
ヤマザキコレ原作のコミックのアニメ化らしいのだが、
原作を読んでいないし、人気も評価も知らなかった。
アニメは原作本編の前日譚というか
ヒロイン「チセ」が魔法使い「エリアス」に発見される以前のお話のようで、
元のお話を知らないので今一つキャラたちを楽しめなかったりもするけれども
“魔法”は大変頑張って作画されているし
背景や美術も及第点なので 楽しく観ることができる。
ただ正味４０分ではキャラとその性格を披露するのと
前日譚を語り出すのだけで手いっぱいなので、
正直 この前日譚が面白いのかどうか判断しかねる。
元の話を知らない者には
面白いか面白くないのか どうかさえ不明…ということ。
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